◯と△

くろ

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不幸なウサギ

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ある時、ライオンの母親が数匹の子供を出産しました。
驚くことに、そこには一匹の子ウサギが混ざっていました。
そうとは知らない母親は、ウサギも他の子供と同じように育てました。
ウサギがライオンのように育つ訳なく、ウサギはとても苦しみました。
ライオンのように育ってくれないウサギに、母親も苛立ちを覚え、怒鳴りつけたりしました。そして、怒った後必ず「お前のためだ」と、言いました。
ある時ウサギは、自分は実はライオンではなくウサギなのではなかろうかと感付き始めました。
母親にその話をすると、「そんな訳がない、お前は私から産まれた、馬鹿なことを言うな」と、散々ネチネチと説教をくらいました。
ウサギは反省し、ライオンのように生きるためにもっと努力をしましたが、やはりうまくいきません。
悔しくて涙が出てきました。見かねた母親が、そっと寄り添い優しくアドバイスをしてあげました。
ウサギはとても感謝して、アドバイス通り実行しましたが、やはりうまくいきませんでした。
それもそのはずです、そのアドバイスというのは、ライオンがライオンにするアドバイスであって、決してウサギにするアドバイスではなかったのです。

母親は「ハー…」と、あからさまなため息を吐くと、落胆を隠しきれないといった様子でウサギを置いてどこかに行ってしまいました。
母親が去った後も、努力を重ねましたが、ボロボロになるまでやってもできません。
そのうちウサギは、疲労と空腹と自己嫌悪と居場所のない寂しさの中で死んでしまいました。
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