とにかく入れたい穴村

くろ

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開演

ウエディングドレス

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何度も同じことが繰り返されて、もう限界だ。直視し難い現実が、目の前で繰り広げられる度に、心が荒れていく。この怒りはどこから湧いてくるのか、自分でもわからない。いや、怒りだけじゃない。俺の心の中の深い所から湧いてくる、「何か」に対しての期待・・・
このままではいけない。どうにかして状況を変えなければ。
俺は、拳を握りしめた。栗山にこの拳を振り下ろすためだ。
暴力は嫌いだ。でも今回は・・・

そこで舞台に新たなスポットライトが照射された。

華やかで優雅な、美しい白い花が、舞台の中心に大きく咲いていた。
スポットライトが逆反射して眩しいぐらいの、純白のウエディングドレスだった。

彼女は、清楚でかわいい癒やし系な雰囲気の顔立ちをしていた。
地方の田舎から上京してきて、無難に職場恋愛とかして、無難なお付き合いをして、無難な結婚にたどり着きそうな、無難を絵に描いたような、バランスの取れた無難な女性だった。そんな無難な彼女だからこそ、この、豪華な純白のウエディングドレスが最大限に生かされ、彼女の魅力を最大限に引き出していた。ウエディングドレスが、喜びの輝きを放っていた。
俺は、この舞台で最大限にまで魅力を引き出された彼女を応援したくなったし、守ってあげたくなった。男慣れしていないような純情な雰囲気を、壊したくなかった。いや、壊してはいけない。

あの、悍ましいピストンマシーンの姿は見当たらなかった。ウエディングドレスのスカートの中にスッポリ覆われているか、あるいは本当に今回は存在しないのかもしれない。そうだ、きっとそうに違いない。流石に四連続はない。純白のウエディングドレスを汚していいわけがない。ふたを開けてみれば「何もありませんでした」で、平和に終わればいいじゃないか今回は。

彼女のプロフィールが巨大スクリーンに映し出される。

【エントリーナンバー④】
・名前 白鳥自由みゆ
・年齢 二十六歳
・身長 156cm
・3サイズ B:87(G) W:60 H:91
・職業 OL
・趣味 シルバニアファミリー配置換え
・特技 利きたこ焼き、猫をルンバに乗せる
・好きな食べ物 たこ焼き、桃
・好きな音楽 aiko、米津玄師
・好きな香り ガソリンスタンドの匂い
・好きなタイプ ダメな人
・初体験 17歳。バイト先の人
・初体験の感想 ふんわりしていて、中に入っているタコがジューシーで美味しかったです。
・経験人数 二人
・意気込み なんか泣きたい。でも好きかも。
・今の気持ち 洗濯バサミで、何となく指を挟みたくなってしまうときの気持ち。

ピストンマシーンのスイッチに手をかざした彼女の表情は、真剣そのものだった。何を考えているのだろう?。本当は、スカートの中に何も仕掛けられていなくて、スイッチを押したところで何も無いから、リアクションをどうしたらいいのか迷っているのだろうか?
それとも・・・

彼女がスイッチを押した。身体が一気にのけ反る。ウエディングドレスが大きく揺らめいた。僅かに籠ったような、ピストンマシーンの機械音が聞こえる。
桃を床に落下させてしまったときに発するであろう短い悲鳴が、一定リズムで四回ほど、それも少しずつボリュームを大きくしながら響き渡った。
そして、恐らく「たこ焼き通」である彼女が、今まさに食べようとしているたこ焼きに、ソースの替りにチョコレートを掛けて、チョコレートフォンデュみたいにしていいかと問えば、恐らく言うであろう二文字を、これも四回ほど叫び、のけ反らせていた身体を今度は突っ伏した。

なかなか迫真の演技だと思った。まるであのウエディングドレスの大きく広がったスカートの中に、本当にピストンマシーンが入っていて、柔らかな女体に対する苛烈なる責め立ての繰り返しが、冷酷無残な機械の動きによって執り行われているかのようだった。
だが、そのスカートには外見上、全くそのような揺らめきは見られない。マシーンは本当に動いているのか?。作動音は僅かに聞こえるが、そんなモノは演出でどうとでもなる。

勝ったな。

彼女の様子がおかしい。ずっと悲鳴を上げている。突っ伏した顔を上げたり、また下げたり。その度に、ウエディングドレスに合わせてあしらわれた真珠のネックレスが床に干渉して、こそばゆい音を立てた。
彼女は恐らく、大切にしているシルバニアファミリーの家具や小物をペンチで握ろうとしたり、掃除中のルンバにコーヒーを吸わせようとしたりすれば言うであろう、破損や故障を意味する言葉を四文字とか六文字で叫び(六文字の方は小さい「ゃ」を使う)、最後の止めとばかりにまた、たこ焼きをチョコレートフォンデュにされそうになったのを全力で阻止しようと叫び、仰け反った。

巨大スクリーンに彼女の表情がアップで映し出される。
そこには、額を汗で濡らし、困った眉の形をしているのに目は快楽で垂れ下がり、半開きの口を震わせ、恍惚の表情を浮かべる、純潔を汚される悦びを知ってしまった、後戻りのできない快に溺れる、愚かなメスの相貌が映し出されていた。

嘘だろ・・・

いや、待て、きっと演技だ。スカートだってピクリとも動いていない。それに最後の言葉が、前三人とは明らかに違う言葉だった。この違いはかなり大きい。演技で間違いない。

程なくして僅かに聞こえていたピストンマシーンの作動音が止まる。真珠のネックレスが床に干渉する音が鳴り響いた。
軽快なリズムの音楽と同時に、舞台上の彼女を囲う円周の範囲だけが回転を始めた。
彼女の身体の向きが、時計回りで変わっていく。

大丈夫だ、舞台上にピストンマシーンは見当たらない。これは確実に勝った。

彼女の身体の向きは、斜めになり、横になり、隠れていた後ろ姿が、だんだんと露わになってきた。
お尻が完全にこちらに向くと同時に音楽が鳴り止み、セクシーな女性の声の効果音が鳴り響いた。

それはウエディングドレスの後ろ姿でしかなかった。「勝った」と俺は、ほぼ確信した。

しかし突然、音も無く、舞台の脇から二人の黒子が早足で現れ、長いスカートの裾を捲り始めた。

何だよこいつら・・・

コソコソと姑息に怪しく動く二人の黒子は、華やかに飾られた純潔な彼女を汚すために現れたハイエナのようだった。
ピストンマシーンの金型が内部から覗けてきた。
スカートの裾は、内部の様子が客席からギリギリ確認できるように広げられて、ピストンマシーン本体の上に掛けるように乗せられ、黒子は退散した。
そして、もう一度、セクシーな女性の声の効果音が鳴り響いた。

正面を向いたお尻は、ウエディングドレスのスカートがピストンマシーン本体の上に被せられることによって形成された空洞の中で、汗のテカリを光らせながら呼吸のリズムで蠢いていた。
ギリギリポッチャリではない肉付きをした白いお尻と太ももは、白のニーハイで絶対領域が形成され、ガーターベルトのラインでセクシーに彩られていた。
白のパンティーはIラインがパックリと開いたセクシーランジェリーで、恥ずかしい局部の周囲を華やかな柄で縁取っていた。
マシーンの管の先端には、やはりディルドが装着されており、オルガズムの快楽に未だ痙攣を止めることのできない、ヌラヌラとした逆光を放つ液体を滴らせ続ける、ピンクにしとど濡れる膣口の奥に咥え込まれていた。
巨大スクリーンに、その様子がデカデカと映し出されている。

彼女は呼吸を整えると、ハッキリとした聞きやすい声で、お決まりの台詞を口にした。
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