6 / 12
デートの約束(永田)
しおりを挟む
美和子は三日休んだ後に、元気に出勤してきた。病院で精密検査をしても、どこにも異常は見当たらなかったらしい。
それはそうだろう、お前の身体に異常が起こるかどうかは、この俺の匙加減で決まっているのだから。
さて、今日はどうやっていたぶってやろうか……
みんなに心配の声を掛けられ、申し訳なさそうな表情で対応する美和子に言ってやった。
「美和子さん大丈夫でしたか?あの時の美和子さん、まるで『船が転覆』したみたいな慌てぶりでしたよ」
この、意味の分からない表現に、周囲の人間は「コイツ何言ってんだ?」という白けた態度を示したが、言われた本人の美和子は、それまでの申し訳なさそうな表情を急に強張らせた。
仕事が始まって間もなく
「永田さんこの書類ちょっと」
珍しく美和子から声を掛けてきた。仕事のことであろうと、こいつは俺とのコミュニケーションを何とかして避けていたから、これは何かありそうな予感がした。
席に向かうと、「ちょっとこっち来て下さい」と、目立たない隅の方に連れて行かれた。書類を広げて見せる美和子は、その書類とは全く関係のないことを口にした。
「ちょっとお願いがあるんだけど、この間のご飯の誘い、断っちゃったけど、やっぱり受けたいなと思って…」
この瞬間の感覚は、ネットの閲覧をしていて、誘うように貼り付けてあるエロい広告をついついタップしてしまいそうになる感覚と似ていた。
美和子の急な意見の移り変わりに妙な感じはしたが、この時の俺は、慎重さよりも性欲の方が圧倒的に意思決定の権限を握っており、二つ返事でそのお願いを受けてしまった。危ないと意識しつつ、あまりにもソソるエロ広告のバナーを思わずタップしてしまうかのように…
そう言えば『θポリス』との出会いもエロ広告のバナーをタップしたのがきっかけだった。中々目的の広告にたどり着けなくて、たらい回しにされているうちに『意中の人にイタズラし放題!』なんて謳い文句が目に入って、面白そうだと思ってインストールしたのが始まりだった。アプリの説明書きを見て、「そんなわけあるか!」と思わず突っ込みを入れたくなるほど信じられない機能だったが、使ってみるとまさかのホンモノの神アプリだった。エロ広告のバナーが出会いのきっかけを作ってくれたに違いない。こんな奇跡的なことはない。だから今回もきっと大丈夫だ。
そして、止めることのできない武者震いをしながら、俺は早速週末に二人で落ち会う約束をした。
胸の奥から僅かに込み上げてくる違和感は、性欲が上から迅速に覆いかぶさってきて、すぐさま隠蔽した。
「きっと美和子も反省したのだ。まあ、今回は許してやる事にするか」心の違和感に対する言い訳はこんなところだった。その言い訳で俺は納得し、後は性欲を満たすためにはどうすればいいのか?ということだけに考えを集中した。
俺は早速週末に店を予約し、ネットのチケット販売で映画のチケットを二枚買い、ホテルの段取りも取った。作戦はある。なんとか最後までヤリ切って見せる。
それはそうだろう、お前の身体に異常が起こるかどうかは、この俺の匙加減で決まっているのだから。
さて、今日はどうやっていたぶってやろうか……
みんなに心配の声を掛けられ、申し訳なさそうな表情で対応する美和子に言ってやった。
「美和子さん大丈夫でしたか?あの時の美和子さん、まるで『船が転覆』したみたいな慌てぶりでしたよ」
この、意味の分からない表現に、周囲の人間は「コイツ何言ってんだ?」という白けた態度を示したが、言われた本人の美和子は、それまでの申し訳なさそうな表情を急に強張らせた。
仕事が始まって間もなく
「永田さんこの書類ちょっと」
珍しく美和子から声を掛けてきた。仕事のことであろうと、こいつは俺とのコミュニケーションを何とかして避けていたから、これは何かありそうな予感がした。
席に向かうと、「ちょっとこっち来て下さい」と、目立たない隅の方に連れて行かれた。書類を広げて見せる美和子は、その書類とは全く関係のないことを口にした。
「ちょっとお願いがあるんだけど、この間のご飯の誘い、断っちゃったけど、やっぱり受けたいなと思って…」
この瞬間の感覚は、ネットの閲覧をしていて、誘うように貼り付けてあるエロい広告をついついタップしてしまいそうになる感覚と似ていた。
美和子の急な意見の移り変わりに妙な感じはしたが、この時の俺は、慎重さよりも性欲の方が圧倒的に意思決定の権限を握っており、二つ返事でそのお願いを受けてしまった。危ないと意識しつつ、あまりにもソソるエロ広告のバナーを思わずタップしてしまうかのように…
そう言えば『θポリス』との出会いもエロ広告のバナーをタップしたのがきっかけだった。中々目的の広告にたどり着けなくて、たらい回しにされているうちに『意中の人にイタズラし放題!』なんて謳い文句が目に入って、面白そうだと思ってインストールしたのが始まりだった。アプリの説明書きを見て、「そんなわけあるか!」と思わず突っ込みを入れたくなるほど信じられない機能だったが、使ってみるとまさかのホンモノの神アプリだった。エロ広告のバナーが出会いのきっかけを作ってくれたに違いない。こんな奇跡的なことはない。だから今回もきっと大丈夫だ。
そして、止めることのできない武者震いをしながら、俺は早速週末に二人で落ち会う約束をした。
胸の奥から僅かに込み上げてくる違和感は、性欲が上から迅速に覆いかぶさってきて、すぐさま隠蔽した。
「きっと美和子も反省したのだ。まあ、今回は許してやる事にするか」心の違和感に対する言い訳はこんなところだった。その言い訳で俺は納得し、後は性欲を満たすためにはどうすればいいのか?ということだけに考えを集中した。
俺は早速週末に店を予約し、ネットのチケット販売で映画のチケットを二枚買い、ホテルの段取りも取った。作戦はある。なんとか最後までヤリ切って見せる。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。
保健室の秘密...
とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。
吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。
吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。
僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。
そんな吉田さんには、ある噂があった。
「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」
それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
獣人の里の仕置き小屋
真木
恋愛
ある狼獣人の里には、仕置き小屋というところがある。
獣人は愛情深く、その執着ゆえに伴侶が逃げ出すとき、獣人の夫が伴侶に仕置きをするところだ。
今夜もまた一人、里から出ようとして仕置き小屋に連れられてきた少女がいた。
仕置き小屋にあるものを見て、彼女は……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる