39 / 77
39.壁の厚さ
しおりを挟む
ルチアからもらった薬草を煎じて準備しておき、ステファニアはゴドフレードとアドリアンを迎えた。
「陛下、隣室に疲労回復によいお茶と果物をご用意してございます。最近の陛下はお疲れのようですので、どうかお身体を労わってくださいませ」
薬草とは別に、ゴドフレードのための茶と果物も用意しておいたのだ。
アドリアンに薬草を試すため、ゴドフレードの監視から逃れたいというのが第一の理由だが、ゴドフレードの体調が心配なのも本当である。
今、国王である彼が倒れたとすれば、混乱の原因となるだろう。そういった立場上の問題もあったが、ステファニアはゴドフレードという孤独な一人の男に安らぎを得てほしいという、切なる願いも抱いていた。
ゴドフレードの望みのために、心が引き裂かれそうなつらい仕打ちを受けているが、それでもステファニアはゴドフレードのことを憎みきれない。
「……そなたは、優しいな」
純潔を失った日からまともに会話などなかったステファニアが切り出した言葉により、しばし茫然と目を見開いていたゴドフレードだったが、やがてぼそりと呟いた。
気まずそうに視線はステファニアからそらされ、口元には自嘲めいた笑みが浮かび上がってくる。
覇気のない姿を眺め、ステファニアはゴドフレードもまた、現状に疑問を抱いているのだと気づかされた。互いにこれでよいとは思っていないのに、止まることができないもどかしさをステファニアは痛感する。
ゴドフレードは逃げるように隣室へと去っていく。
操り人形と化したアドリアンが、己の役割を果たすべく、いつものようにステファニアに触れてこようとした。
「ちょ……ちょっと待って……これを飲んでみてほしいの」
慌ててステファニアはアドリアンを押し止め、寝台横のテーブルに準備しておいた茶をアドリアンに差し出す。
しかしアドリアンは動かない。かといって嫌そうな顔をして拒否するような素振りも見せず、無表情のまま虚ろな目を向けてくるだけだ。
どうしたものかとステファニアは戸惑ったが、ふと思いついて、茶を自らの口に含む。アドリアンに口づけて茶を流し込むと、彼の首がこくりと鳴った。
「ん……あ……っ」
無事に飲ませることができたと安堵する間もなく、ステファニアはアドリアンからさらに深く口づけられて、鼻にかかった声を漏らした。
唇を吸い上げられ、舌先でつつかれる。こじ開けるようになぞられ、熱く柔らかい塊がステファニアの口内に侵入してきた。
「んっ……ふぅ……」
舌を絡め取られ、愛撫されると、ステファニアの身体の芯に熱が生まれてくる。頭がぼんやりとしてきて、心地よさに何も考えたくなくなってしまう。
口づけたまま、ステファニアの寝衣がはだけられ、乳房に手が伸びてくる。
「あ……ん」
乳頭を指先でつままれ、ステファニアの唇から吐息が漏れる。少し強めに引っ張られると、身体中を痺れるような快楽が走った。
とろり、と秘孔から蜜がしたたるのを感じる。
口づけられているせいか、いつもよりも熱が上がっていくのが早い。
初めての口づけは、将来を誓い合ったときに交わした、唇を触れ合わせるだけの幼いものだった。今、貪るような口づけでステファニアの身体に官能を呼び覚ましていく相手は、あのときと同じ相手であって、同じではない。
彼の心を呼び覚まそうと決意しながら、壁の厚さにステファニアの心が軋みそうになってしまう。
「ひっ……あぁん……」
それでも慣らされた身体は快楽を拾い上げ、さらに深く味わおうと無意識のうちにはしたなく腰が揺れる。
花芽を擦られると、それだけで快楽がぎゅっと凝縮して弾けた。ひくひくと物欲しげに痙攣する淫唇からは蜜があふれていく。
「あっ、ああっ!」
やがて熱い肉塊が待ちわびた蜜口にあてがわれ、侵入してくると、ステファニアは媚肉を抉られる歓喜に打ち震える。
何も考えられず、身体を駆け巡る熱に翻弄されるまま、ステファニアは快楽を追い求めた。
「陛下、隣室に疲労回復によいお茶と果物をご用意してございます。最近の陛下はお疲れのようですので、どうかお身体を労わってくださいませ」
薬草とは別に、ゴドフレードのための茶と果物も用意しておいたのだ。
アドリアンに薬草を試すため、ゴドフレードの監視から逃れたいというのが第一の理由だが、ゴドフレードの体調が心配なのも本当である。
今、国王である彼が倒れたとすれば、混乱の原因となるだろう。そういった立場上の問題もあったが、ステファニアはゴドフレードという孤独な一人の男に安らぎを得てほしいという、切なる願いも抱いていた。
ゴドフレードの望みのために、心が引き裂かれそうなつらい仕打ちを受けているが、それでもステファニアはゴドフレードのことを憎みきれない。
「……そなたは、優しいな」
純潔を失った日からまともに会話などなかったステファニアが切り出した言葉により、しばし茫然と目を見開いていたゴドフレードだったが、やがてぼそりと呟いた。
気まずそうに視線はステファニアからそらされ、口元には自嘲めいた笑みが浮かび上がってくる。
覇気のない姿を眺め、ステファニアはゴドフレードもまた、現状に疑問を抱いているのだと気づかされた。互いにこれでよいとは思っていないのに、止まることができないもどかしさをステファニアは痛感する。
ゴドフレードは逃げるように隣室へと去っていく。
操り人形と化したアドリアンが、己の役割を果たすべく、いつものようにステファニアに触れてこようとした。
「ちょ……ちょっと待って……これを飲んでみてほしいの」
慌ててステファニアはアドリアンを押し止め、寝台横のテーブルに準備しておいた茶をアドリアンに差し出す。
しかしアドリアンは動かない。かといって嫌そうな顔をして拒否するような素振りも見せず、無表情のまま虚ろな目を向けてくるだけだ。
どうしたものかとステファニアは戸惑ったが、ふと思いついて、茶を自らの口に含む。アドリアンに口づけて茶を流し込むと、彼の首がこくりと鳴った。
「ん……あ……っ」
無事に飲ませることができたと安堵する間もなく、ステファニアはアドリアンからさらに深く口づけられて、鼻にかかった声を漏らした。
唇を吸い上げられ、舌先でつつかれる。こじ開けるようになぞられ、熱く柔らかい塊がステファニアの口内に侵入してきた。
「んっ……ふぅ……」
舌を絡め取られ、愛撫されると、ステファニアの身体の芯に熱が生まれてくる。頭がぼんやりとしてきて、心地よさに何も考えたくなくなってしまう。
口づけたまま、ステファニアの寝衣がはだけられ、乳房に手が伸びてくる。
「あ……ん」
乳頭を指先でつままれ、ステファニアの唇から吐息が漏れる。少し強めに引っ張られると、身体中を痺れるような快楽が走った。
とろり、と秘孔から蜜がしたたるのを感じる。
口づけられているせいか、いつもよりも熱が上がっていくのが早い。
初めての口づけは、将来を誓い合ったときに交わした、唇を触れ合わせるだけの幼いものだった。今、貪るような口づけでステファニアの身体に官能を呼び覚ましていく相手は、あのときと同じ相手であって、同じではない。
彼の心を呼び覚まそうと決意しながら、壁の厚さにステファニアの心が軋みそうになってしまう。
「ひっ……あぁん……」
それでも慣らされた身体は快楽を拾い上げ、さらに深く味わおうと無意識のうちにはしたなく腰が揺れる。
花芽を擦られると、それだけで快楽がぎゅっと凝縮して弾けた。ひくひくと物欲しげに痙攣する淫唇からは蜜があふれていく。
「あっ、ああっ!」
やがて熱い肉塊が待ちわびた蜜口にあてがわれ、侵入してくると、ステファニアは媚肉を抉られる歓喜に打ち震える。
何も考えられず、身体を駆け巡る熱に翻弄されるまま、ステファニアは快楽を追い求めた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
66
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる