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78.願い2
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晴人は真っ白な世界で目を覚ました。周囲を見回しても、白いだけだ。
セイの姿も消えている。つい先ほどまで抱き合っていたはずなのに、温もりすら残っていない。
「ここは……」
喪失感に包まれながら、晴人は呆然と呟く。
セイと交わっている最中に水晶がひび割れ、神殿が揺れて光に包まれたのだ。いったい何が起こったのだろうか。
「あなたは歪められた魔素の流れを正常に戻すことに成功したのです」
無機質な声が響く。
「え?」
「あるとき、裏切り者が出ました。裏切り者は魔素の流れに歪みを生じさせ、そのときから神子の肉体をあふれすぎた魔素の器とする必要ができてしまったのです」
晴人の疑問に配慮する様子もなく、声は続ける。
「今回、魔素の受け入れ方を覚えていない神子によってこれまでの流れが絶たれました。さらに、内側に魔素の道を作られていない神子は、魔素を体内に取り込むことなく使役できるのです。流れは絶たれてもまだ残る魔素は、あなたを通してもう一人の神子が浄化することができました」
「……それって、もしかして……俺がセイに突っ込んだから……?」
正確には突っ込まされたというか、主導権はセイにあったのだが、細かいところは置いておくことにする。
「そうです。水晶に触れた時点で、魔素はあなたに流れるはずでした。しかし、あなたには内側に魔素の道がないために、入り込むことができなかったのです。この時点で、まずはこれまでの流れが絶たれました」
晴人の疑問に答え、さらに詳しい説明が加えられる。何も言うことなく、晴人は耳を傾けて続きを待つ。
「魔素の継承者はあなたでありながら魔素は入り込めず、先代の神子だけが解放されたのです。残る魔素はあなたの内側に入ることなく、外側で弱められて先代神子の体内に入って浄化されました。あなたも彼も意識していないでしょうけれどね」
声はいったん言葉を区切る。
詳しい仕組みはよくわからず、偶然の要素が強かったものの、とりあえずうまくいったのだろう。
晴人はゆっくりと息を吐く。
「これで魔素は本来の流れに戻ることができました。もう魔素があふれすぎることはないでしょう。今後、神子を器とする必要はなくなります。よくやってくれました」
「はあ……あの、ところでセイはどこに?」
きょろきょろと見回しても、白い世界には何も見当たらない。
セイはどこにいってしまったのだろうか。晴人にとっては魔素がどうこうより、セイのほうが重要なのだ。
「彼は元の世界に帰りました」
セイの姿も消えている。つい先ほどまで抱き合っていたはずなのに、温もりすら残っていない。
「ここは……」
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「あなたは歪められた魔素の流れを正常に戻すことに成功したのです」
無機質な声が響く。
「え?」
「あるとき、裏切り者が出ました。裏切り者は魔素の流れに歪みを生じさせ、そのときから神子の肉体をあふれすぎた魔素の器とする必要ができてしまったのです」
晴人の疑問に配慮する様子もなく、声は続ける。
「今回、魔素の受け入れ方を覚えていない神子によってこれまでの流れが絶たれました。さらに、内側に魔素の道を作られていない神子は、魔素を体内に取り込むことなく使役できるのです。流れは絶たれてもまだ残る魔素は、あなたを通してもう一人の神子が浄化することができました」
「……それって、もしかして……俺がセイに突っ込んだから……?」
正確には突っ込まされたというか、主導権はセイにあったのだが、細かいところは置いておくことにする。
「そうです。水晶に触れた時点で、魔素はあなたに流れるはずでした。しかし、あなたには内側に魔素の道がないために、入り込むことができなかったのです。この時点で、まずはこれまでの流れが絶たれました」
晴人の疑問に答え、さらに詳しい説明が加えられる。何も言うことなく、晴人は耳を傾けて続きを待つ。
「魔素の継承者はあなたでありながら魔素は入り込めず、先代の神子だけが解放されたのです。残る魔素はあなたの内側に入ることなく、外側で弱められて先代神子の体内に入って浄化されました。あなたも彼も意識していないでしょうけれどね」
声はいったん言葉を区切る。
詳しい仕組みはよくわからず、偶然の要素が強かったものの、とりあえずうまくいったのだろう。
晴人はゆっくりと息を吐く。
「これで魔素は本来の流れに戻ることができました。もう魔素があふれすぎることはないでしょう。今後、神子を器とする必要はなくなります。よくやってくれました」
「はあ……あの、ところでセイはどこに?」
きょろきょろと見回しても、白い世界には何も見当たらない。
セイはどこにいってしまったのだろうか。晴人にとっては魔素がどうこうより、セイのほうが重要なのだ。
「彼は元の世界に帰りました」
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