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41.紳士的な獣2
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「あっ……あぁ……」
内部を魔物の舌に蹂躙され、晴人は涙をこぼした。
全身を蝕んでいくのは苦痛ではなく、快楽だ。自らの意思に反し、晴人の中は魔物の舌を奥へ奥へと飲み込もうとしてひくひくと蠢く。
口からもれるのは甘くとろけた声で、羞恥にさらなる涙が流れる。
嫌なのに、どうして快楽を覚えてしまうのだろう。
獣の姿をした魔物にあらぬところを舌で犯され、気持ちよくなってしまって甘い声をあげる自らの姿を思えば、死にたくなってくるほど恥ずかしい。
「しっかり濡らしてほぐしてくれるなんて、紳士的な魔物だね」
「セイ……」
かすむ頭で感心したようなセイの声を聞き、晴人は涙に濡れた顔をセイに向ける。
「……ごめん、僕にはどうすることもできない。本来なら、こんな奴なんて敵じゃないんだけれど、今の僕じゃ……。でも、いずれ済ませなくてはいけないのだったら、いっそ人間以外のほうが僕も……」
吐き出すセイの声はつらそうで、顔にも苦渋が漂うようだったが、晴人のかすんだ頭と目ではよくわからなかった。
もしかしたら、晴人の気のせいかもしれない。
やがて魔物は晴人から顔を離し、体勢を変えた。晴人から直接見ることはできなかったが、いよいよ貞操を奪おうとするのだろうということはわかる。
処女喪失は青姦で獣姦か、とぼんやり浮かんできて、晴人は自嘲の笑みを刻む。
何も知らなかったはずなのに、一気にマニアックな扉を開きすぎだ。
ついでに強姦も追加だと思い至れば、もう乾いた笑いしか浮かんでこなかった。
こんな三重奏はいらない。
まだわけのわからないことを考える余裕はあるようだと思うが、これも現実逃避なのかもしれない。
魔物は晴人の上に覆いかぶさり、昂ぶった塊を尻に押し付けてくる。晴人は諦め、目を閉じた。
そのとき、ひゅんと鋭い音が響いた。
晴人の貞操を奪おうとしていた魔物が動きを止める。
少し離れた場所に何かが刺さり、続いて何度も同じような音が響いては、晴人と魔物の周辺に何かが突き刺さっていった。
連続していた音が止むと、魔物は名残惜しそうに晴人から身を離す。魔物は晴人の貞操をあきらめたようで、逃げ去っていった。
「た……助かった……?」
呆然と呟き、晴人はのろのろと身を起こす。
下半身はむき出しだったものの、服は破られていない。魔物の唾液でべとべとになっているのが気持ち悪かったが、とりあえず服を引き上げて下半身を隠す。
「大丈夫ですか!」
弓を持った青年が晴人に駆け寄ってくる。どうやらこの青年が弓矢で魔物を追い払ってくれたようだ。
「あ……ありがとうございます……」
助かったのだと脱力しながら、晴人は地面に座り込んだまま青年を見上げた。力ないながらも笑みを浮かべてみせれば、とたんに青年の顔が赤く染まる。
青年はあわてたように地面に膝をつき、もじもじとしながら晴人をうかがってきた。
「なんて美しい……あ……あなた様は……もしかして、神子様でしょうか……?」
内部を魔物の舌に蹂躙され、晴人は涙をこぼした。
全身を蝕んでいくのは苦痛ではなく、快楽だ。自らの意思に反し、晴人の中は魔物の舌を奥へ奥へと飲み込もうとしてひくひくと蠢く。
口からもれるのは甘くとろけた声で、羞恥にさらなる涙が流れる。
嫌なのに、どうして快楽を覚えてしまうのだろう。
獣の姿をした魔物にあらぬところを舌で犯され、気持ちよくなってしまって甘い声をあげる自らの姿を思えば、死にたくなってくるほど恥ずかしい。
「しっかり濡らしてほぐしてくれるなんて、紳士的な魔物だね」
「セイ……」
かすむ頭で感心したようなセイの声を聞き、晴人は涙に濡れた顔をセイに向ける。
「……ごめん、僕にはどうすることもできない。本来なら、こんな奴なんて敵じゃないんだけれど、今の僕じゃ……。でも、いずれ済ませなくてはいけないのだったら、いっそ人間以外のほうが僕も……」
吐き出すセイの声はつらそうで、顔にも苦渋が漂うようだったが、晴人のかすんだ頭と目ではよくわからなかった。
もしかしたら、晴人の気のせいかもしれない。
やがて魔物は晴人から顔を離し、体勢を変えた。晴人から直接見ることはできなかったが、いよいよ貞操を奪おうとするのだろうということはわかる。
処女喪失は青姦で獣姦か、とぼんやり浮かんできて、晴人は自嘲の笑みを刻む。
何も知らなかったはずなのに、一気にマニアックな扉を開きすぎだ。
ついでに強姦も追加だと思い至れば、もう乾いた笑いしか浮かんでこなかった。
こんな三重奏はいらない。
まだわけのわからないことを考える余裕はあるようだと思うが、これも現実逃避なのかもしれない。
魔物は晴人の上に覆いかぶさり、昂ぶった塊を尻に押し付けてくる。晴人は諦め、目を閉じた。
そのとき、ひゅんと鋭い音が響いた。
晴人の貞操を奪おうとしていた魔物が動きを止める。
少し離れた場所に何かが刺さり、続いて何度も同じような音が響いては、晴人と魔物の周辺に何かが突き刺さっていった。
連続していた音が止むと、魔物は名残惜しそうに晴人から身を離す。魔物は晴人の貞操をあきらめたようで、逃げ去っていった。
「た……助かった……?」
呆然と呟き、晴人はのろのろと身を起こす。
下半身はむき出しだったものの、服は破られていない。魔物の唾液でべとべとになっているのが気持ち悪かったが、とりあえず服を引き上げて下半身を隠す。
「大丈夫ですか!」
弓を持った青年が晴人に駆け寄ってくる。どうやらこの青年が弓矢で魔物を追い払ってくれたようだ。
「あ……ありがとうございます……」
助かったのだと脱力しながら、晴人は地面に座り込んだまま青年を見上げた。力ないながらも笑みを浮かべてみせれば、とたんに青年の顔が赤く染まる。
青年はあわてたように地面に膝をつき、もじもじとしながら晴人をうかがってきた。
「なんて美しい……あ……あなた様は……もしかして、神子様でしょうか……?」
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