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07.晴人の決意1
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「そ、そんな……」
先ほどまでの薔薇色の未来から一転して、奈落の底に突き落とされたようだった。
自分を待っているのが可愛い女の子たちとのめくるめく愛欲の日々ではなく、野郎どもに尻を狙われる日々だとは、どういうことだろうか。晴人はがっくりとうなだれる。
「心配しなくても大丈夫。きみの身体はすぐに順応するから、最初から苦痛もなく、気持ちよくなれると思うよ」
「そういう問題じゃない……」
違う方向に励まそうとするセイの言葉に、晴人はかぶりを振る。
「何が気に入らないんだい? 厳しい訓練などの努力や苦労もなしに、ヤられるだけで強くなれるんだよ。簡単じゃないか」
「……ヤられるっていうのが努力に苦労だし、厳しいだろ……」
「わがままだなぁ」
セイはわかってくれない。ダメだこいつ、という絶望感が晴人の頭を覆いつくす。このふよふよと浮かぶ精霊とやらは、きっと人間とは違う心の構造を持っているに違いない。
どうにか野郎どもから逃れる方法はないだろうか。晴人は必死に考え込む。
「元の世界に戻るための場所って、遠いの? どうにかダッシュで駆け込めないかな」
「距離としては特別遠いわけではない。でも、そこは静謐の丘っていうんだけれど、魔素の充満した場所だからね。魔物がごろごろしているよ。捕まったら、問答無用で犯されちゃうけれど、いい?」
「よくない……」
やはり、いきなり帰ることはできないようだ。安易な案は引っ込めざるをえなかった。
貞操を守る方法について、晴人は今までの似たようなゲームにヒントが落ちていないだろうかと頭を悩ませる。
そこでふと思いついた。性交によって強くなるゲームでも、たいていは処女プレイが可能だったはずだ。普通は周回プレイである程度の強さを得てから遊んでみるものだが、いきなり初回からでも不可能ではないことが多い。
「性交しないでも強くなる方法とか、一回も性交しないでどうにか最後までたどりつくことってできない?」
すがるように尋ねてみると、セイは首をひねって考え込む。
「まず、性交以外で強くなる方法はある。訓練とかね。時間がかかるものが多いけれど。次に性交なしで最後までたどりつくことができるかだけれど、正直言って僕にはよくわからない。過去にそうした例は聞いたことがないから。ただ、僕自身の考えを言えば、かなり厳しいけれど不可能ではないと思う」
「過去の人たちは、みんなヤられて強くなったっていうわけ?」
「うん、そのとおり」
セイはいとも簡単に頷く。めまいがしそうだった。
「そうだ、そもそも過去の人たちっていうのは、みんな無事に元の世界に帰ることができたの? 過去の人たちって、俺と同じように異世界から呼ばれてきた人なんだよね?」
一番大切なことを失念していた。途中で命を失う危険や、帰る道を絶たれてしまう可能性だってあるのではないだろうか。
「うん、約三百年に一度、異世界から召還される。今までだと、ある程度この世界に留まっていた者もいるけれど、結局は順番どおりに帰っていったはずだよ。過去に帰る道を絶たれたという例はない」
セイの答えにひとまず胸をなでおろす。時間さえかければ、どうにか帰ることはできるようだ。
「今回は多分、そんなに大きな敵対勢力はないだろうし、邪魔が入らない分、少し余裕があると思う」
「敵対勢力?」
晴人は眉を寄せ、不穏な単語をなぞる。
先ほどまでの薔薇色の未来から一転して、奈落の底に突き落とされたようだった。
自分を待っているのが可愛い女の子たちとのめくるめく愛欲の日々ではなく、野郎どもに尻を狙われる日々だとは、どういうことだろうか。晴人はがっくりとうなだれる。
「心配しなくても大丈夫。きみの身体はすぐに順応するから、最初から苦痛もなく、気持ちよくなれると思うよ」
「そういう問題じゃない……」
違う方向に励まそうとするセイの言葉に、晴人はかぶりを振る。
「何が気に入らないんだい? 厳しい訓練などの努力や苦労もなしに、ヤられるだけで強くなれるんだよ。簡単じゃないか」
「……ヤられるっていうのが努力に苦労だし、厳しいだろ……」
「わがままだなぁ」
セイはわかってくれない。ダメだこいつ、という絶望感が晴人の頭を覆いつくす。このふよふよと浮かぶ精霊とやらは、きっと人間とは違う心の構造を持っているに違いない。
どうにか野郎どもから逃れる方法はないだろうか。晴人は必死に考え込む。
「元の世界に戻るための場所って、遠いの? どうにかダッシュで駆け込めないかな」
「距離としては特別遠いわけではない。でも、そこは静謐の丘っていうんだけれど、魔素の充満した場所だからね。魔物がごろごろしているよ。捕まったら、問答無用で犯されちゃうけれど、いい?」
「よくない……」
やはり、いきなり帰ることはできないようだ。安易な案は引っ込めざるをえなかった。
貞操を守る方法について、晴人は今までの似たようなゲームにヒントが落ちていないだろうかと頭を悩ませる。
そこでふと思いついた。性交によって強くなるゲームでも、たいていは処女プレイが可能だったはずだ。普通は周回プレイである程度の強さを得てから遊んでみるものだが、いきなり初回からでも不可能ではないことが多い。
「性交しないでも強くなる方法とか、一回も性交しないでどうにか最後までたどりつくことってできない?」
すがるように尋ねてみると、セイは首をひねって考え込む。
「まず、性交以外で強くなる方法はある。訓練とかね。時間がかかるものが多いけれど。次に性交なしで最後までたどりつくことができるかだけれど、正直言って僕にはよくわからない。過去にそうした例は聞いたことがないから。ただ、僕自身の考えを言えば、かなり厳しいけれど不可能ではないと思う」
「過去の人たちは、みんなヤられて強くなったっていうわけ?」
「うん、そのとおり」
セイはいとも簡単に頷く。めまいがしそうだった。
「そうだ、そもそも過去の人たちっていうのは、みんな無事に元の世界に帰ることができたの? 過去の人たちって、俺と同じように異世界から呼ばれてきた人なんだよね?」
一番大切なことを失念していた。途中で命を失う危険や、帰る道を絶たれてしまう可能性だってあるのではないだろうか。
「うん、約三百年に一度、異世界から召還される。今までだと、ある程度この世界に留まっていた者もいるけれど、結局は順番どおりに帰っていったはずだよ。過去に帰る道を絶たれたという例はない」
セイの答えにひとまず胸をなでおろす。時間さえかければ、どうにか帰ることはできるようだ。
「今回は多分、そんなに大きな敵対勢力はないだろうし、邪魔が入らない分、少し余裕があると思う」
「敵対勢力?」
晴人は眉を寄せ、不穏な単語をなぞる。
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