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05.突っ込まれるのは、きみ1
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インプは床に座り込んだまま、目を見開いて晴人をただ見上げている。おそるおそる晴人が近づいていっても、動こうとはしない。
「ほ、本当にいいの……?」
振り返ってセイに問いかけるが、セイは自信たっぷりに頷くだけだ。
「大丈夫。その魔物だって、逃げないだろう? きみの魅了の力が働いているんだよ。魔物たちにとって、きみはとても魅力的な存在なんだ。まずは軽く触ってみるといい」
晴人はじっと固まったままのインプの手に、そっと自らの手を伸ばした。
「あ……」
戸惑ったような声がインプの可憐な唇から漏れる。じっと晴人を見つめたままだった視線が照れたようにそっと伏せられたが、手を振り払おうとはしない。恥じらいながらも、従順に晴人を受け入れてくれている。
「か……可愛い……」
生まれて二十一年、女の子からこれほど好意的な反応などもらったことがなかった。晴人は胸にこみ上げてくる熱いものに打ち震える。
次はキスをするべきだろうか。それとも、服の上から身体に触れるべきだろうか。晴人は柔らかい手の感触を楽しみながら、薔薇色の妄想を繰り広げる。
「適当に触れてその魔物が発情したら、今度はきみの準備をさせるといい」
晴人の迷いを見透かしたかのように、セイから助言が投げかけられる。
「お、俺の準備!?」
それは口でのご奉仕というやつだろうか。この可憐な口が、未だ他人に触れられたことのない晴人のものを咥える姿を想像しただけで、はちきれてしまいそうだ。準備など必要ないくらいだった。
「ほら、手が止まってる。まずは相手を発情させないと」
自らの妄想に沈み込んでしまった晴人を、セイの冷静な声が引き戻す。
「そ……そうだね……」
まずは自分のことより、相手のことだ。まずは相手の準備を整えなくてはと、晴人はインプの頬に手を伸ばす。
とろんとした瞳が晴人を映していた。嫌がっているようには見えない。それどころか、瞳には期待の色が滲んでいた。
ごくりと喉を鳴らし、晴人は手を下へと滑らせる。おそるおそる胸に触れてみるが、平坦な板のようだった。膨らみがまったく感じられない。
「……だ……大丈夫なのかな……」
ふと頭が冷え、晴人の胸に不安がよぎる。
間近でよく見てみれば、このインプはまだかなり若いように見えた。十代半ばがせいぜいだ。胸の発育を考えると、さらに下かもしれない。何をどう考えても、十八歳には達していないだろう。
ロリコン、淫行、犯罪といった言葉が頭を駆け巡る。
さすがに警察のお世話になりたくはない。このまま続きをしたい気持ちはやまやまだが、堂々と犯罪者になれるほどの勇気も持ち合わせてはいない。
晴人は手を止め、どうしたものかと唸り声を漏らす。
「変な心配をしているようだけれど、ここではきみの世界の常識は当てはまらないよ。きみがこの魔物と性交をしたところで、何ひとつとして問題などない。そもそも、魔物が見かけどおりの年齢とは限らないしね」
「そっか……ここは異世界なんだ……!」
セイの助言によって目の前が急に明るくなる。もしかしたらこのインプも見かけこそ十代の美少女だが、実際は数百歳なのかもしれない。
「それに、きみが魔物と性交すると、魔物から魔素を浄化して元の姿に戻してやることができるんだ。相手のためにもなることなんだよ。遠慮しないで、続けるといい」
さらにセイから励ましの言葉を受け、晴人は迷いが吹っ切れた。
「ほ、本当にいいの……?」
振り返ってセイに問いかけるが、セイは自信たっぷりに頷くだけだ。
「大丈夫。その魔物だって、逃げないだろう? きみの魅了の力が働いているんだよ。魔物たちにとって、きみはとても魅力的な存在なんだ。まずは軽く触ってみるといい」
晴人はじっと固まったままのインプの手に、そっと自らの手を伸ばした。
「あ……」
戸惑ったような声がインプの可憐な唇から漏れる。じっと晴人を見つめたままだった視線が照れたようにそっと伏せられたが、手を振り払おうとはしない。恥じらいながらも、従順に晴人を受け入れてくれている。
「か……可愛い……」
生まれて二十一年、女の子からこれほど好意的な反応などもらったことがなかった。晴人は胸にこみ上げてくる熱いものに打ち震える。
次はキスをするべきだろうか。それとも、服の上から身体に触れるべきだろうか。晴人は柔らかい手の感触を楽しみながら、薔薇色の妄想を繰り広げる。
「適当に触れてその魔物が発情したら、今度はきみの準備をさせるといい」
晴人の迷いを見透かしたかのように、セイから助言が投げかけられる。
「お、俺の準備!?」
それは口でのご奉仕というやつだろうか。この可憐な口が、未だ他人に触れられたことのない晴人のものを咥える姿を想像しただけで、はちきれてしまいそうだ。準備など必要ないくらいだった。
「ほら、手が止まってる。まずは相手を発情させないと」
自らの妄想に沈み込んでしまった晴人を、セイの冷静な声が引き戻す。
「そ……そうだね……」
まずは自分のことより、相手のことだ。まずは相手の準備を整えなくてはと、晴人はインプの頬に手を伸ばす。
とろんとした瞳が晴人を映していた。嫌がっているようには見えない。それどころか、瞳には期待の色が滲んでいた。
ごくりと喉を鳴らし、晴人は手を下へと滑らせる。おそるおそる胸に触れてみるが、平坦な板のようだった。膨らみがまったく感じられない。
「……だ……大丈夫なのかな……」
ふと頭が冷え、晴人の胸に不安がよぎる。
間近でよく見てみれば、このインプはまだかなり若いように見えた。十代半ばがせいぜいだ。胸の発育を考えると、さらに下かもしれない。何をどう考えても、十八歳には達していないだろう。
ロリコン、淫行、犯罪といった言葉が頭を駆け巡る。
さすがに警察のお世話になりたくはない。このまま続きをしたい気持ちはやまやまだが、堂々と犯罪者になれるほどの勇気も持ち合わせてはいない。
晴人は手を止め、どうしたものかと唸り声を漏らす。
「変な心配をしているようだけれど、ここではきみの世界の常識は当てはまらないよ。きみがこの魔物と性交をしたところで、何ひとつとして問題などない。そもそも、魔物が見かけどおりの年齢とは限らないしね」
「そっか……ここは異世界なんだ……!」
セイの助言によって目の前が急に明るくなる。もしかしたらこのインプも見かけこそ十代の美少女だが、実際は数百歳なのかもしれない。
「それに、きみが魔物と性交すると、魔物から魔素を浄化して元の姿に戻してやることができるんだ。相手のためにもなることなんだよ。遠慮しないで、続けるといい」
さらにセイから励ましの言葉を受け、晴人は迷いが吹っ切れた。
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