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01.叩けよ、さらば開かれん1
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――叩けよ、さらば開かれん
少し着慣れてきたリクルートスーツを壁にかけて戻ってきた空井晴人は、パソコンの画面に浮かび上がる文字を、首を傾げながら眺めた。
真っ暗な画面の中央に白く文字が表示され、その下には門とおぼしき画像もある。マウスに手を伸ばせば、画面上のカーソルが踊った。
「え? もしかして、ウイルスにでも感染しちゃった? うわー、やっべー」
晴人は他に誰もいない部屋で一人唸りながら、前回パソコンを触ったときのことを思い出そうとする。
晴人は現在、就職活動真っ最中の大学生である。何社か面接まではこぎつけたものの、どうしてもそこから先には行けず、お祈りメールだけが増えていく日々にうんざりとしているところだ。
親元を離れて一人暮らしの上、友人も少なく、彼女など当然いない。日々の楽しみといえば、ゲームくらいのものだ。
ここのところはいわゆるエロゲといわれる、十八歳未満お断りのゲームがお気に入りとなっている。ファンタジーものが好きな晴人は、RPGタイプのもので、性交によって経験値を得てレベルアップというシステムのゲームが特に気に入っている。
とはいっても経済的に厳しい学生の身、無料の体験版だけで終わらせることがほとんどなのだが。
前回パソコンに触ったときは、手当たり次第に無料の体験版をダウンロードしてきたのだった。しかし、大手のダウンロードショップしか利用していないはずだ。
体験版がウイルスに感染していたのなら、問題になっていそうなものだと晴人は下唇を噛む。
「ウイルス感染は考えにくいとすると……まさか、ダウンロードしたとき、一緒にインストールまでしちゃったのかな……で、再起動したらゲームが立ち上がる仕組みになっていたとか」
ぶつぶつと呟きながら、晴人は念のためにLANケーブルを抜く。ダウンロードしたゲームに通信が必要なものはなかったはずだ。インターネットに接続しなければ、仮にウイルスだったとしても個人情報がばらまかれるという悲劇からは逃れられるだろう。
晴人はマウスを動かし、カーソルを門に重ねてクリックした。
ゆっくりと門が開かれていくアニメーションとともに、暗かった画面が明るくなっていく。さらに光が点滅し、晴人は急激に意識が遠のいていくのを感じた。
少し着慣れてきたリクルートスーツを壁にかけて戻ってきた空井晴人は、パソコンの画面に浮かび上がる文字を、首を傾げながら眺めた。
真っ暗な画面の中央に白く文字が表示され、その下には門とおぼしき画像もある。マウスに手を伸ばせば、画面上のカーソルが踊った。
「え? もしかして、ウイルスにでも感染しちゃった? うわー、やっべー」
晴人は他に誰もいない部屋で一人唸りながら、前回パソコンを触ったときのことを思い出そうとする。
晴人は現在、就職活動真っ最中の大学生である。何社か面接まではこぎつけたものの、どうしてもそこから先には行けず、お祈りメールだけが増えていく日々にうんざりとしているところだ。
親元を離れて一人暮らしの上、友人も少なく、彼女など当然いない。日々の楽しみといえば、ゲームくらいのものだ。
ここのところはいわゆるエロゲといわれる、十八歳未満お断りのゲームがお気に入りとなっている。ファンタジーものが好きな晴人は、RPGタイプのもので、性交によって経験値を得てレベルアップというシステムのゲームが特に気に入っている。
とはいっても経済的に厳しい学生の身、無料の体験版だけで終わらせることがほとんどなのだが。
前回パソコンに触ったときは、手当たり次第に無料の体験版をダウンロードしてきたのだった。しかし、大手のダウンロードショップしか利用していないはずだ。
体験版がウイルスに感染していたのなら、問題になっていそうなものだと晴人は下唇を噛む。
「ウイルス感染は考えにくいとすると……まさか、ダウンロードしたとき、一緒にインストールまでしちゃったのかな……で、再起動したらゲームが立ち上がる仕組みになっていたとか」
ぶつぶつと呟きながら、晴人は念のためにLANケーブルを抜く。ダウンロードしたゲームに通信が必要なものはなかったはずだ。インターネットに接続しなければ、仮にウイルスだったとしても個人情報がばらまかれるという悲劇からは逃れられるだろう。
晴人はマウスを動かし、カーソルを門に重ねてクリックした。
ゆっくりと門が開かれていくアニメーションとともに、暗かった画面が明るくなっていく。さらに光が点滅し、晴人は急激に意識が遠のいていくのを感じた。
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