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26.愉快な仲間
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養子の話は考えておくということで、終了となった。
結論を出さないどころか、前向きに考えるとすら言わないままだったが、それでも領主は続きを話してくれる気になったらしい。
六年前、十五歳を迎えたミゼアスの身に何が起こったのか。
命を吸い取るという花月琴、『雪月花』の仕組みとはどういうものか。
今回、ミゼアスの身に何が起こったのか。
領主はすべて語ってくれた。
ヴァレンにもある程度は想像がついていた部分もあったが、改めて真実を聞かされると、驚きが深すぎてため息しか出てこない。
それでもヴァレンは驚きをいったんしまいこんでおき、聞かされた情報をすべて整理してまとめていく。
「……原因についてはわかりました。うーん……どうやって手紙に書くかな……」
思案しながらヴァレンは呟く。
手紙にまとめるには、少々複雑な内容だ。実際に会って話すのが一番よいのだが、白花の身で島を出ることは許されない。
「直接会えれば……うーん……島を出ないで……海に向かって叫ぶわけにもいかないしなー……」
唸りながら考え込んでいると、ヴァレンの腕をちょんちょんと叩くものがあった。
何事かと思ってヴァレンが目を向ければ、腕を叩いているのはタコだ。
「えっ? あれ? きみ、どうしてここに……?」
目を見開いてヴァレンはタコを両手で掲げあげる。
まさか、部屋を飛び降りてくるところからついてきていたのだろうか。いつからヴァレンにまとわりついていたのか定かではないが、タコは普段と同じ様子でヴァレンを見つめてくる。
タコはヴァレンに向かって何かを語りかけているようでもあったが、ヴァレンにはよくわからない。
「あら……あなたには愉快な仲間がいるのねぇ……。その子、海に向かえって言っているわよ」
領主はしみじみと呟きながら、タコの言葉を翻訳してくれる。
「え? 海に?」
ヴァレンはタコと領主の顔を交互に見比べる。
領主が何故タコの言葉を理解できるのかは不思議だったが、彼女は奇跡の術を行使できる魔女だ。タコの言葉くらい理解できるのだろうと、ヴァレンは自らの疑問を潰す。
「そうねぇ……じゃあ、これをあげるわ。これを使えば、負担なくミゼアスの目覚めを早めることができるわ」
何かを納得した領主は、ヴァレンに小瓶を渡す。
中にはさらさらとした香油らしきものが揺れていた。
「その子と一緒に、海にお行きなさい。ただ、この島の花が花のまま島を出るのは過去に例がないこと。一度でも特例ができれば、それは前例になるわ。そのことだけは覚えておいてね」
結論を出さないどころか、前向きに考えるとすら言わないままだったが、それでも領主は続きを話してくれる気になったらしい。
六年前、十五歳を迎えたミゼアスの身に何が起こったのか。
命を吸い取るという花月琴、『雪月花』の仕組みとはどういうものか。
今回、ミゼアスの身に何が起こったのか。
領主はすべて語ってくれた。
ヴァレンにもある程度は想像がついていた部分もあったが、改めて真実を聞かされると、驚きが深すぎてため息しか出てこない。
それでもヴァレンは驚きをいったんしまいこんでおき、聞かされた情報をすべて整理してまとめていく。
「……原因についてはわかりました。うーん……どうやって手紙に書くかな……」
思案しながらヴァレンは呟く。
手紙にまとめるには、少々複雑な内容だ。実際に会って話すのが一番よいのだが、白花の身で島を出ることは許されない。
「直接会えれば……うーん……島を出ないで……海に向かって叫ぶわけにもいかないしなー……」
唸りながら考え込んでいると、ヴァレンの腕をちょんちょんと叩くものがあった。
何事かと思ってヴァレンが目を向ければ、腕を叩いているのはタコだ。
「えっ? あれ? きみ、どうしてここに……?」
目を見開いてヴァレンはタコを両手で掲げあげる。
まさか、部屋を飛び降りてくるところからついてきていたのだろうか。いつからヴァレンにまとわりついていたのか定かではないが、タコは普段と同じ様子でヴァレンを見つめてくる。
タコはヴァレンに向かって何かを語りかけているようでもあったが、ヴァレンにはよくわからない。
「あら……あなたには愉快な仲間がいるのねぇ……。その子、海に向かえって言っているわよ」
領主はしみじみと呟きながら、タコの言葉を翻訳してくれる。
「え? 海に?」
ヴァレンはタコと領主の顔を交互に見比べる。
領主が何故タコの言葉を理解できるのかは不思議だったが、彼女は奇跡の術を行使できる魔女だ。タコの言葉くらい理解できるのだろうと、ヴァレンは自らの疑問を潰す。
「そうねぇ……じゃあ、これをあげるわ。これを使えば、負担なくミゼアスの目覚めを早めることができるわ」
何かを納得した領主は、ヴァレンに小瓶を渡す。
中にはさらさらとした香油らしきものが揺れていた。
「その子と一緒に、海にお行きなさい。ただ、この島の花が花のまま島を出るのは過去に例がないこと。一度でも特例ができれば、それは前例になるわ。そのことだけは覚えておいてね」
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