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126.成れの果て
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夕方近く、グリンモルド伯爵領に入った。
馬車は伯爵の屋敷に向かう。アデルジェスが現在住居としている兵舎もその近くにある。
するとミゼアスが荷物をあさり始めた。
「うん……あると思ったら、やっぱり……」
ミゼアスが呟いて取り出したのは、女物の服と化粧道具だった。
「……それ、どうしたの?」
「領主様から渡された。必要なものを詰め込んでおいたって」
「はあ……」
何とも手回しのよいことだ。アデルジェスは半ば呆れすら覚えていた。
馬車の中でミゼアスが着替える。薄緑色の動きやすそうなドレスだ。旅用なのかもしれない。ごてごてとした飾りはないが、胸元や袖に繊細な刺繍が施されている。
続いてミゼアスは自らに化粧を施していった。アデルジェスは化粧をする姿というものを初めて見る。ついついじっと見てしまっていた。
島で見たような化粧ではなく、目元を柔らかく、優しく見えるようにしているようだった。ミゼアスはややきつい目をしているので、そこが和らぐとかなり違って見える。
頬にも何かを乗せ、唇にはうっすらと紅を差す。
髪も両側を編みこみ、後ろを髪留めでとめる。
「こんなところかな」
ミゼアスがそう呟いて身支度を終えると、そこには絶世の美少女がいた。
化粧は全体的に薄めで、柔らかく優しそうな印象だ。今までこれほどの美少女を見たことなどない。
アデルジェスは思わず顔を赤くして俯いてしまう。
「どう? これならフェイちゃんだって思える? 可愛い?」
からかうようにミゼアスが尋ねてくる。
「う……うん……可愛い……」
ぼそぼそとアデルジェスが答えると、ミゼアスがしなだれかかってきた。
「じゃあ、今度この格好でしてみようか? ちょっと倒錯的でいいだろう」
「ええっ!?」
「きみ、まだよく僕とフェイちゃんが繋がっていないみたいだし。だったら、幼馴染で初恋のフェイちゃんを犯しちゃうって、興奮しない?」
「ううっ……」
アデルジェスは頭を抱えた。自分の中にある聖域が崩されていく気分だった。あの甘く、そして切ない初恋の思い出が汚されるような気すらする。
だがこの言葉を吐いたのは、その幼馴染にして初恋であるフェイちゃんの、成れの果てなのだ。しかもすでに何回も肌を重ねている。今更ではある。
そして認めたくはないが、確かに少しだけ興奮してしまった。アデルジェスにはそのことも自分を許せない気分だった。
「ジェスのこと、ずっと好きだったの……ああ、でも恥ずかしい……お願い、優しくして……」
女の子のような声まで作り、恥じらう少女のふりをするミゼアス。
「お願い……やめて……」
アデルジェスはさらに頭を抱える。認めたくないが、興奮してしまった。下半身が反応してしまったのだ。
「ふふ……じゃあ、後は夜にとっておこうね。今日はまだ色々あるし、無理かもしれないけれど。でも、急ぐことはないよね。これからずっと一緒にいられるんだもの」
馬車は伯爵の屋敷に向かう。アデルジェスが現在住居としている兵舎もその近くにある。
するとミゼアスが荷物をあさり始めた。
「うん……あると思ったら、やっぱり……」
ミゼアスが呟いて取り出したのは、女物の服と化粧道具だった。
「……それ、どうしたの?」
「領主様から渡された。必要なものを詰め込んでおいたって」
「はあ……」
何とも手回しのよいことだ。アデルジェスは半ば呆れすら覚えていた。
馬車の中でミゼアスが着替える。薄緑色の動きやすそうなドレスだ。旅用なのかもしれない。ごてごてとした飾りはないが、胸元や袖に繊細な刺繍が施されている。
続いてミゼアスは自らに化粧を施していった。アデルジェスは化粧をする姿というものを初めて見る。ついついじっと見てしまっていた。
島で見たような化粧ではなく、目元を柔らかく、優しく見えるようにしているようだった。ミゼアスはややきつい目をしているので、そこが和らぐとかなり違って見える。
頬にも何かを乗せ、唇にはうっすらと紅を差す。
髪も両側を編みこみ、後ろを髪留めでとめる。
「こんなところかな」
ミゼアスがそう呟いて身支度を終えると、そこには絶世の美少女がいた。
化粧は全体的に薄めで、柔らかく優しそうな印象だ。今までこれほどの美少女を見たことなどない。
アデルジェスは思わず顔を赤くして俯いてしまう。
「どう? これならフェイちゃんだって思える? 可愛い?」
からかうようにミゼアスが尋ねてくる。
「う……うん……可愛い……」
ぼそぼそとアデルジェスが答えると、ミゼアスがしなだれかかってきた。
「じゃあ、今度この格好でしてみようか? ちょっと倒錯的でいいだろう」
「ええっ!?」
「きみ、まだよく僕とフェイちゃんが繋がっていないみたいだし。だったら、幼馴染で初恋のフェイちゃんを犯しちゃうって、興奮しない?」
「ううっ……」
アデルジェスは頭を抱えた。自分の中にある聖域が崩されていく気分だった。あの甘く、そして切ない初恋の思い出が汚されるような気すらする。
だがこの言葉を吐いたのは、その幼馴染にして初恋であるフェイちゃんの、成れの果てなのだ。しかもすでに何回も肌を重ねている。今更ではある。
そして認めたくはないが、確かに少しだけ興奮してしまった。アデルジェスにはそのことも自分を許せない気分だった。
「ジェスのこと、ずっと好きだったの……ああ、でも恥ずかしい……お願い、優しくして……」
女の子のような声まで作り、恥じらう少女のふりをするミゼアス。
「お願い……やめて……」
アデルジェスはさらに頭を抱える。認めたくないが、興奮してしまった。下半身が反応してしまったのだ。
「ふふ……じゃあ、後は夜にとっておこうね。今日はまだ色々あるし、無理かもしれないけれど。でも、急ぐことはないよね。これからずっと一緒にいられるんだもの」
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