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116.誓いの言葉
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しばしミゼアスの腕に包まれ、アデルジェスは思いに浸る。だが、だんだんと理不尽さも感じてきた。
「……そのときに教えてくれればよかったのに」
「あのときはもう、ちょっと意地になっちゃっていて。でも、時々手がかりになるようなことは言っていたんだよ? 気づいてくれなかったけれど」
「それは……」
そうだっただろうか。まったく気がつかなかった。アデルジェスは口ごもる。
「あとね……きみが僕のこと初恋だって言ったよね……?」
「う……うん……」
どぎまぎしながらアデルジェスはミゼアスを見る。
「恋っていうことは、つまりいやらしいことをしたいってことだよね。いきなり襲っちゃったけれど、大丈夫みたいでよかったよ」
無邪気といえるほどあどけない笑顔を浮かべるミゼアス。
アデルジェスはまた頭を抱えた。天使のような笑顔で言うことではない。
「……実はね、僕もきみが初恋だよ。あのときからずっと、きみだけが好きなんだ。売られてからずっと、きみのことを思い出して耐えていた。売られてから十三年、客を取り始めてから九年……長かったよ……長かった……でも、思いがかなったんだ……」
ミゼアスはアデルジェスにしがみついて泣き出した。
いつから好きになってくれたのだろうとは思っていたが、これほど前からだとはわかるはずもない。
そしてどれだけ辛い思いをしてきたのだろうか。アデルジェスはミゼアスをただ抱きしめることしかできなかった。
「もうきみから離れない。ずっと側にいて……」
「うん、離さない。ずっと俺と一緒にいてほしい」
抱きしめ合いながら誓いの言葉を交わす。
すると周囲から手を叩く音が響き始めた。最初はまばらだったそれは、だんだんと盛大な拍手になっていく。
そういえばここは船の甲板で、周囲には人がたくさんいたのだ。
すっかり失念していたアデルジェスは恥ずかしさに俯くしかなかった。
「……そのときに教えてくれればよかったのに」
「あのときはもう、ちょっと意地になっちゃっていて。でも、時々手がかりになるようなことは言っていたんだよ? 気づいてくれなかったけれど」
「それは……」
そうだっただろうか。まったく気がつかなかった。アデルジェスは口ごもる。
「あとね……きみが僕のこと初恋だって言ったよね……?」
「う……うん……」
どぎまぎしながらアデルジェスはミゼアスを見る。
「恋っていうことは、つまりいやらしいことをしたいってことだよね。いきなり襲っちゃったけれど、大丈夫みたいでよかったよ」
無邪気といえるほどあどけない笑顔を浮かべるミゼアス。
アデルジェスはまた頭を抱えた。天使のような笑顔で言うことではない。
「……実はね、僕もきみが初恋だよ。あのときからずっと、きみだけが好きなんだ。売られてからずっと、きみのことを思い出して耐えていた。売られてから十三年、客を取り始めてから九年……長かったよ……長かった……でも、思いがかなったんだ……」
ミゼアスはアデルジェスにしがみついて泣き出した。
いつから好きになってくれたのだろうとは思っていたが、これほど前からだとはわかるはずもない。
そしてどれだけ辛い思いをしてきたのだろうか。アデルジェスはミゼアスをただ抱きしめることしかできなかった。
「もうきみから離れない。ずっと側にいて……」
「うん、離さない。ずっと俺と一緒にいてほしい」
抱きしめ合いながら誓いの言葉を交わす。
すると周囲から手を叩く音が響き始めた。最初はまばらだったそれは、だんだんと盛大な拍手になっていく。
そういえばここは船の甲板で、周囲には人がたくさんいたのだ。
すっかり失念していたアデルジェスは恥ずかしさに俯くしかなかった。
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