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28.禁制品
しおりを挟む 口づけの途中で、ヴァレンは眠ってしまった。そっとミゼアスが離れると、安らかな寝息が規則正しく響く。もう苦しげな様子はどこにもない。
ミゼアスは軽く息をついて、眠っているヴァレンの頬を撫でた。
「なかなかよい眺めじゃったの。目の保養になったわ」
からかうように医者が声をかけてくる。
「……こんなの、よくある練習光景と同じだろう」
やや憮然とミゼアスは言葉を返す。慣れてはいるが、観察するように見られれば、やはり良い気はしない。
「まあまあ。それにしてもおまえさん、やっぱり五花だけのことはあるのう。上手いわ。ヴァレン坊もすっかり楽になったようだし、後はこのままそっとしておけばよい」
医者の言葉に、ミゼアスはゆっくりと安堵の吐息を漏らした。
「ところで、『明けぬ夜』だったっけ。この島では取り扱いが禁止になっているって言っていたけれど、入手方法はあるのかい?」
「七、八年くらい前は一時期、かなり出回ったんじゃが、今は普通には入手できんよ。国内でまともに取り扱っているところはないはずじゃ。作り方を知っていれば、別かもしれんがの」
「そう……」
簡単に手に入るものではないようだ。おそらくガルトが客に頼んでヴァレンに渡させたのだろうが、どうやって手に入れたのだろうか。その客が所持していたのだろうか。
ミゼアスは唇に指をあてて考え込む。
「ヴァレン坊は客からもらったそうじゃの。その客のこと、ヴァレン坊は覚えておるかのう」
「ああ……ヴァレンなら、間違いなく覚えていると思う」
ヴァレンは見たもの、聞いたことは全て覚えていると言っていた。それならば、覚えているはずだ。
「禁制品を渡したんじゃ。直接使用したわけではないにせよ、罰則対象じゃよ。ヴァレン坊の意識が戻ったら、その客について調べないといけないのう」
ミゼアスは軽く息をついて、眠っているヴァレンの頬を撫でた。
「なかなかよい眺めじゃったの。目の保養になったわ」
からかうように医者が声をかけてくる。
「……こんなの、よくある練習光景と同じだろう」
やや憮然とミゼアスは言葉を返す。慣れてはいるが、観察するように見られれば、やはり良い気はしない。
「まあまあ。それにしてもおまえさん、やっぱり五花だけのことはあるのう。上手いわ。ヴァレン坊もすっかり楽になったようだし、後はこのままそっとしておけばよい」
医者の言葉に、ミゼアスはゆっくりと安堵の吐息を漏らした。
「ところで、『明けぬ夜』だったっけ。この島では取り扱いが禁止になっているって言っていたけれど、入手方法はあるのかい?」
「七、八年くらい前は一時期、かなり出回ったんじゃが、今は普通には入手できんよ。国内でまともに取り扱っているところはないはずじゃ。作り方を知っていれば、別かもしれんがの」
「そう……」
簡単に手に入るものではないようだ。おそらくガルトが客に頼んでヴァレンに渡させたのだろうが、どうやって手に入れたのだろうか。その客が所持していたのだろうか。
ミゼアスは唇に指をあてて考え込む。
「ヴァレン坊は客からもらったそうじゃの。その客のこと、ヴァレン坊は覚えておるかのう」
「ああ……ヴァレンなら、間違いなく覚えていると思う」
ヴァレンは見たもの、聞いたことは全て覚えていると言っていた。それならば、覚えているはずだ。
「禁制品を渡したんじゃ。直接使用したわけではないにせよ、罰則対象じゃよ。ヴァレン坊の意識が戻ったら、その客について調べないといけないのう」
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