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見習いが増えた日 5
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ミゼアスはコリンを膝に乗せたまま、話をした。時折甘い菓子に手を伸ばし、コリンがとろけるような笑顔を浮かべるのが微笑ましい。
しかしコリンの語る内容は微笑ましいものではなかった。
「ああいうことをすれば、みんな僕に優しくしてくれるから……。嫌がったりすると叱られて、折檻されていた子もいたし……」
いきなり奉仕をしようとしたことは、やはりもともといた家で仕込まれたらしい。
「変な白い液体をかけられたり、飲まされたりするのは嫌だったけれど……それくらい。にっこり笑って嬉しそうにしていれば、優しくしてもらえたし。嫌がってばかりの子はひどいこともされていたみたい。痛いことをされるって泣いていた子もいた」
嫌だったことはないのかと尋ねてみれば、こう返ってきた。
「僕はいい子だから、綺麗なところで美味しいものが食べられるって言われたの。それでここに来たの。いい子にしていれば可愛がってもらえるからねって。だから、僕、ここでもいい子にしようと頑張っているよ」
無邪気に首を傾げるコリン。
「……そうだね、コリン。きみは頑張りやさんだ」
そう言って撫でてやると、コリンの顔が嬉しそうに綻ぶ。
「ただね、きみの育ったところと、この島ではちょっと風習が違うんだよ。今までとは違うから大変だろうけれど、この島の風習を覚えていこうね」
「うん。僕、頑張る」
「いい子だね、コリン」
「……僕、抱っこしてもらったの初めて。あったかくて気持ちいい。頑張ったら、またしてもらえる?」
思わずミゼアスはコリンを抱く腕に力をこめる。胸がぎゅっと締め付けられたが、どうにか表情に出すのはこらえた。ただ、優しく微笑む表情を作る。
「もちろんだよ。一緒に頑張っていこうね」
しかしコリンの語る内容は微笑ましいものではなかった。
「ああいうことをすれば、みんな僕に優しくしてくれるから……。嫌がったりすると叱られて、折檻されていた子もいたし……」
いきなり奉仕をしようとしたことは、やはりもともといた家で仕込まれたらしい。
「変な白い液体をかけられたり、飲まされたりするのは嫌だったけれど……それくらい。にっこり笑って嬉しそうにしていれば、優しくしてもらえたし。嫌がってばかりの子はひどいこともされていたみたい。痛いことをされるって泣いていた子もいた」
嫌だったことはないのかと尋ねてみれば、こう返ってきた。
「僕はいい子だから、綺麗なところで美味しいものが食べられるって言われたの。それでここに来たの。いい子にしていれば可愛がってもらえるからねって。だから、僕、ここでもいい子にしようと頑張っているよ」
無邪気に首を傾げるコリン。
「……そうだね、コリン。きみは頑張りやさんだ」
そう言って撫でてやると、コリンの顔が嬉しそうに綻ぶ。
「ただね、きみの育ったところと、この島ではちょっと風習が違うんだよ。今までとは違うから大変だろうけれど、この島の風習を覚えていこうね」
「うん。僕、頑張る」
「いい子だね、コリン」
「……僕、抱っこしてもらったの初めて。あったかくて気持ちいい。頑張ったら、またしてもらえる?」
思わずミゼアスはコリンを抱く腕に力をこめる。胸がぎゅっと締め付けられたが、どうにか表情に出すのはこらえた。ただ、優しく微笑む表情を作る。
「もちろんだよ。一緒に頑張っていこうね」
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