不夜島の少年 小話集

見習いが増えた日 ３

　ミゼアスはコリンという見習いについて調べてみた。
　どうやら孤児を引き取ってある程度仕込み、娼館に売ることを生業としている老夫婦に育てられたようだった。本来はもっと格下の娼館を相手としているようだが、コリンは上玉と判断されて不夜島へと売られてきたらしい。
　簡単な読み書きができて、手と口での奉仕ができる。後ろはまだ未使用。それが売られてきたときの触れ込みだった。

　普通の娼館であれば、すぐにでも客を取らせるのだろう。しかしこの島では、まずは教養を叩き込まれる。色事に長けていなくてはならないのは当然だが、それだけでは上には行けないのだ。
　元白花の教師をまいらせてしまうくらいなのだから、色事の素質はあるだろう。成績も上位らしい。花月琴もまだ弾き始めだが、それなりに才はあるようだ。

　ただ、その子を中心として揉め事もちらほらと起きているようだった。まだ大事にはなっていないようだが、奪い合いが起こったことが何度かあるという。誰にでも色気を振りまいているという評判もある。
　確かにこのままでは危ないかもしれない。まずはその子に会ってみようと、ミゼアスは心を決めた。