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友達以上恋人未満 5
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寝室に移動すると、ヴァレンはいそいそと寝台にもぐりこむ。
「おまえも、添い寝してくれるんだろ?」
寝台の上で軽く首を傾げるヴァレンの姿に、エアイールは奥歯を噛みしめる。
計算づくのようにも見えるが、おそらくそうではないのだからたちが悪い。無言のまま、エアイールも寝台にもぐりこんでヴァレンに寄り添う。
「じゃあ、おやすみー」
目を閉じたヴァレンから、すぐに穏やかな寝息が聞こえてくる。
何がどうなっているのかよくわからないまま、エアイールはヴァレンの寝顔を眺めた。
だが、考えてみれば、眠たいのを我慢してまでエアイールに会いに来てくれたのだ。これは好意といっていいだろう。
さらに、いやらしい方面のことは何も無しで一緒にお昼寝というのは、ある意味ではいやらしいことよりもずっと深い行為といえるかもしれない。
きっとこれは、ヴァレンから特別な感情を持たれているという証なのだ。多分。
「……あなたは、いったい何を考えているのでしょうね」
苦笑を浮かべながら、エアイールはヴァレンの髪をそっと撫でる。
やはりヴァレンの心はつかみどころがない。それでも、エアイールに向けられているのは好意に属するものだろう。
いつかこの心を独り占めしたいが、今は贅沢など言わない。こうして無防備な寝顔を晒してくれる信頼があれば十分だ。
やがてそれだけでは物足りなくなってしまうのかもしれないが、今はこれでいい。これ以上は望まない。
「おやすみなさい、ヴァレン」
胸の奥にほろ苦い疼きを感じながら、エアイールもヴァレンの隣で目を閉じた。
「おまえも、添い寝してくれるんだろ?」
寝台の上で軽く首を傾げるヴァレンの姿に、エアイールは奥歯を噛みしめる。
計算づくのようにも見えるが、おそらくそうではないのだからたちが悪い。無言のまま、エアイールも寝台にもぐりこんでヴァレンに寄り添う。
「じゃあ、おやすみー」
目を閉じたヴァレンから、すぐに穏やかな寝息が聞こえてくる。
何がどうなっているのかよくわからないまま、エアイールはヴァレンの寝顔を眺めた。
だが、考えてみれば、眠たいのを我慢してまでエアイールに会いに来てくれたのだ。これは好意といっていいだろう。
さらに、いやらしい方面のことは何も無しで一緒にお昼寝というのは、ある意味ではいやらしいことよりもずっと深い行為といえるかもしれない。
きっとこれは、ヴァレンから特別な感情を持たれているという証なのだ。多分。
「……あなたは、いったい何を考えているのでしょうね」
苦笑を浮かべながら、エアイールはヴァレンの髪をそっと撫でる。
やはりヴァレンの心はつかみどころがない。それでも、エアイールに向けられているのは好意に属するものだろう。
いつかこの心を独り占めしたいが、今は贅沢など言わない。こうして無防備な寝顔を晒してくれる信頼があれば十分だ。
やがてそれだけでは物足りなくなってしまうのかもしれないが、今はこれでいい。これ以上は望まない。
「おやすみなさい、ヴァレン」
胸の奥にほろ苦い疼きを感じながら、エアイールもヴァレンの隣で目を閉じた。
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