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贈り物 3
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ヴァレンはミゼアスから古くなった衣類の切れ端をもらい、小袋を作るべく縫い物をしていた。
器用に細かい縫い目を刻んでいくヴァレンに、ミゼアスは感嘆の吐息を漏らす。
「きみ、普段の行動は大ざっぱだけれど、細かい作業もこなすし、手先は器用だよね」
「できたー」
あっという間に小袋が完成した。ヴァレンは軽く引っ張って、不具合がないかを確かめてみる。
「ねえ、ミゼアス兄さん。エアイールにもお守りをあげていいですか?」
出来に問題がないことを確認すると、ヴァレンはミゼアスに問いかけた。
「エアイール? ああ、あの黒髪の子か。別に構わないよ」
ミゼアスが許可すると、ヴァレンはにっこり笑って小袋をもうひとつ作り始める。
その様子をミゼアスは微笑ましい思いで眺めていた。
友達にもお守りを贈ろうというヴァレンの心遣いに、胸が温かくなる。一時期はいじめられているのではないかと心を痛めたものだったが、友達ともうまくやっているようだ。
ふたつめの袋を作り終えたヴァレンは、ミゼアスからもらった髪の毛を中に詰めていく。紐で袋の口を縛って完成だ。
「あと、港に連れて行ってほしいです! ほんのちょっとでいいんで」
さらなるヴァレンのお願いに、ミゼアスは首を傾げる。
「港で何をするんだい?」
「ヒトデをとってきます!」
「……はい?」
「この間、星型のものを誕生日に贈ると幸せになれるっていう話を読んだので! エアイールの誕生日にあげようと思って」
「はあ……」
幸せになれる贈り物をしたいというヴァレンの心遣いは、とても微笑ましい。愛らしく、優しい贈り物だといえるだろう。
しかし、そこで何故ヒトデを選ぶのだろうか。
「ええと……きみの心遣いは、とてもいいと思うよ。でも、ヒトデはちょっと……もらっても困るんじゃないかな……」
「えー、格好いいじゃないですか、ヒトデ。あの、裏側がうぞうぞ動くところとか!」
ぐっと拳を握り締め、力説するヴァレン。
「……星型のものなら、僕が用意してあげるから、ヒトデはやめておきなさい……」
器用に細かい縫い目を刻んでいくヴァレンに、ミゼアスは感嘆の吐息を漏らす。
「きみ、普段の行動は大ざっぱだけれど、細かい作業もこなすし、手先は器用だよね」
「できたー」
あっという間に小袋が完成した。ヴァレンは軽く引っ張って、不具合がないかを確かめてみる。
「ねえ、ミゼアス兄さん。エアイールにもお守りをあげていいですか?」
出来に問題がないことを確認すると、ヴァレンはミゼアスに問いかけた。
「エアイール? ああ、あの黒髪の子か。別に構わないよ」
ミゼアスが許可すると、ヴァレンはにっこり笑って小袋をもうひとつ作り始める。
その様子をミゼアスは微笑ましい思いで眺めていた。
友達にもお守りを贈ろうというヴァレンの心遣いに、胸が温かくなる。一時期はいじめられているのではないかと心を痛めたものだったが、友達ともうまくやっているようだ。
ふたつめの袋を作り終えたヴァレンは、ミゼアスからもらった髪の毛を中に詰めていく。紐で袋の口を縛って完成だ。
「あと、港に連れて行ってほしいです! ほんのちょっとでいいんで」
さらなるヴァレンのお願いに、ミゼアスは首を傾げる。
「港で何をするんだい?」
「ヒトデをとってきます!」
「……はい?」
「この間、星型のものを誕生日に贈ると幸せになれるっていう話を読んだので! エアイールの誕生日にあげようと思って」
「はあ……」
幸せになれる贈り物をしたいというヴァレンの心遣いは、とても微笑ましい。愛らしく、優しい贈り物だといえるだろう。
しかし、そこで何故ヒトデを選ぶのだろうか。
「ええと……きみの心遣いは、とてもいいと思うよ。でも、ヒトデはちょっと……もらっても困るんじゃないかな……」
「えー、格好いいじゃないですか、ヒトデ。あの、裏側がうぞうぞ動くところとか!」
ぐっと拳を握り締め、力説するヴァレン。
「……星型のものなら、僕が用意してあげるから、ヒトデはやめておきなさい……」
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