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夢は森の香り 4
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仕事を終えてゆっくりと風呂にも浸かり、あとは寝るだけだった。
ミゼアスは寝台の上で、昼間にもらった二つの小瓶を眺めていた。どちらも薄紅色をした硝子の瓶だ。紛らわしい。
香りを確めてみる。片方はねっとりとわき上がってくるような深く甘い香り、もう片方はやや青っぽさのあるさわやかな香りだった。おそらく前者がエアイールからもらったもので、後者がヴァレンからだろう。
しかし確証はない。それならば、両方使えばよいのではないだろうか。
枕に垂らせばよいのだから、媚薬だったとしてもさほど問題はないように思えた。
肌に触れないよう、枕の端に垂らして上から布でも被せておけばよいだろう。
ミゼアスは両方の小瓶から数滴ずつ液体を垂らす。両方の香りが混ざると、まるで深い森の中にいるような香りになり、穏やかに包み込まれるようだった。
幼い頃、幼馴染と遊んだ森を思い出す。あの森の中で、結婚の約束をしたのだ。子供の遊びではあったし、もう守られることがないだろうこともわかっている。
それでも、ミゼアスは未だこの思い出を手放すことができない。
せめて夢の中だけでも、幼馴染と出会えたらよいのに。
そう思いながら、ミゼアスはそっと目を閉じた。
ミゼアスは寝台の上で、昼間にもらった二つの小瓶を眺めていた。どちらも薄紅色をした硝子の瓶だ。紛らわしい。
香りを確めてみる。片方はねっとりとわき上がってくるような深く甘い香り、もう片方はやや青っぽさのあるさわやかな香りだった。おそらく前者がエアイールからもらったもので、後者がヴァレンからだろう。
しかし確証はない。それならば、両方使えばよいのではないだろうか。
枕に垂らせばよいのだから、媚薬だったとしてもさほど問題はないように思えた。
肌に触れないよう、枕の端に垂らして上から布でも被せておけばよいだろう。
ミゼアスは両方の小瓶から数滴ずつ液体を垂らす。両方の香りが混ざると、まるで深い森の中にいるような香りになり、穏やかに包み込まれるようだった。
幼い頃、幼馴染と遊んだ森を思い出す。あの森の中で、結婚の約束をしたのだ。子供の遊びではあったし、もう守られることがないだろうこともわかっている。
それでも、ミゼアスは未だこの思い出を手放すことができない。
せめて夢の中だけでも、幼馴染と出会えたらよいのに。
そう思いながら、ミゼアスはそっと目を閉じた。
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