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お馬さんごっこ 4
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今日も無事にミゼアスの仕事は終わった。
ミゼアスは自室に戻り、見習いたちで片付けをしていた。今日は道具をしまうのはアルンの役割だ。
アルンは鞭などが入った黒の箱を、物置にしている部屋に持っていった。
するとその途中、ヴァレンに会ったのだ。足取りはしっかりしていたし、顔にも普段と変わった様子は見られない。しかし、酒臭かった。
「……ヴァレン兄さん、お酒臭いです」
「あぁ……さっきまで、飲み比べやっていたからなぁ。それよりもアルン君、俺はその箱に恐怖しか感じないんだけれど、それはこれから持っていくところ? それともしまうところ?」
「しまうところです」
「それならよかった。今日のミゼアス兄さんの趣向は何だったのかな?」
「乗馬です」
「当然、本物の馬じゃないよね。相変わらず、ミゼアス兄さんは怖いなぁ。そしてもう上がりか。いつもながら、早いなぁ」
「ヴァレン兄さんこそ、今日はもう上がりですか?」
「うん、客が潰れたから俺ももう寝る」
「ヴァレン兄さんも、あまり床入りしませんよね。実はお酒を使った凄い技があったりするんですか?」
「いやー、そこまでの域には達していないなぁ。何か必殺技あたり欲しいところだけれどね」
「そうですか……」
アルンはじっとヴァレンを見る。ここで一番の規格外といえばミゼアスだが、ヴァレンも規格外なのだ。二大ろくでなしとまで言われている。
「……僕も、何か必殺技を身につけたいです。やはりここは、ミゼアス兄さんの鞭さばきを学ぶべきでしょうか……」
そう遠くない将来、アルンも客を取ることになる。そのときのために、何かを身につけておきたかった。
最上位の五花であるミゼアス、それに次ぐ四花であるヴァレン。せっかく上位の存在が身近にいるのだ。参考にできるところはしておきたい。
ヴァレンは酒や賭博といった真性のろくでなし技能が高い。身につけておいて損はないかもしれないが、アルンに飲酒はまだ早いだろう。もう少し成長してからのほうがよさそうだ。
となれば、やはりミゼアスだ。たとえ力で客に組み敷かれても、必ずその立場をひっくり返す。あの技能はぜひとも身につけておきたいものだ。
「アルン君? きみ、将来の五花候補だろう。そんな物騒なことより、普通に白花としての技能を身につけなさい」
「……ヴァレン兄さんに言われても説得力がありません……」
ミゼアスは自室に戻り、見習いたちで片付けをしていた。今日は道具をしまうのはアルンの役割だ。
アルンは鞭などが入った黒の箱を、物置にしている部屋に持っていった。
するとその途中、ヴァレンに会ったのだ。足取りはしっかりしていたし、顔にも普段と変わった様子は見られない。しかし、酒臭かった。
「……ヴァレン兄さん、お酒臭いです」
「あぁ……さっきまで、飲み比べやっていたからなぁ。それよりもアルン君、俺はその箱に恐怖しか感じないんだけれど、それはこれから持っていくところ? それともしまうところ?」
「しまうところです」
「それならよかった。今日のミゼアス兄さんの趣向は何だったのかな?」
「乗馬です」
「当然、本物の馬じゃないよね。相変わらず、ミゼアス兄さんは怖いなぁ。そしてもう上がりか。いつもながら、早いなぁ」
「ヴァレン兄さんこそ、今日はもう上がりですか?」
「うん、客が潰れたから俺ももう寝る」
「ヴァレン兄さんも、あまり床入りしませんよね。実はお酒を使った凄い技があったりするんですか?」
「いやー、そこまでの域には達していないなぁ。何か必殺技あたり欲しいところだけれどね」
「そうですか……」
アルンはじっとヴァレンを見る。ここで一番の規格外といえばミゼアスだが、ヴァレンも規格外なのだ。二大ろくでなしとまで言われている。
「……僕も、何か必殺技を身につけたいです。やはりここは、ミゼアス兄さんの鞭さばきを学ぶべきでしょうか……」
そう遠くない将来、アルンも客を取ることになる。そのときのために、何かを身につけておきたかった。
最上位の五花であるミゼアス、それに次ぐ四花であるヴァレン。せっかく上位の存在が身近にいるのだ。参考にできるところはしておきたい。
ヴァレンは酒や賭博といった真性のろくでなし技能が高い。身につけておいて損はないかもしれないが、アルンに飲酒はまだ早いだろう。もう少し成長してからのほうがよさそうだ。
となれば、やはりミゼアスだ。たとえ力で客に組み敷かれても、必ずその立場をひっくり返す。あの技能はぜひとも身につけておきたいものだ。
「アルン君? きみ、将来の五花候補だろう。そんな物騒なことより、普通に白花としての技能を身につけなさい」
「……ヴァレン兄さんに言われても説得力がありません……」
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