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ミゼアスの一日~夜~
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「おまえが一番の淫売か。せいぜい私を楽しませてみせろ」
偉そうにふんぞり返って客の男は言った。
控えている見習いたちの間に緊張が走る。しかし、ミゼアスの鉄壁の愛想笑いはこの程度ではびくともしない。
むしろ、久々の大当たりだとミゼアスは楽しくなっていた。
普通ならば無礼な客が来れば『お客様はお帰りだよ』と言って席を立つ。五花であるミゼアスには客を選ぶ権利があるのだ。
だが、今日は違った。
「もちろん、お客様のお望みのままに。どのような趣向がお好みでしょうか?」
にっこりと笑ってミゼアスは問う。
「いちいち言わなければわからないのか、無能め。やはり淫売は男を咥えこんでひぃひぃよがるしか能がないのか」
更なる侮辱に見習いたちが動揺する。
しかしミゼアスはにこやかに微笑んだままだ。
「……黒の箱を持ってきて」
小声で見習いに指示を与える。アルンがそっとこの場を離れた。
「まあ、まだお会いしたばかりです。まずはゆっくりとあなたのことを教えて頂きたいな。お酒はいかがですか?」
「ふん……」
鼻で笑う客に微笑みかけると、ミゼアスは酒瓶を持って白い陶器の皿に注いだ。果物を入れておくような皿で、普通の杯ではない。
ミゼアスは皿を酒で満たすと、客の足下の床に置いた。
「どうぞ」
微笑みを崩さず、ミゼアスはすすめる。
「……ふざけているのか」
声に怒気を滲ませ、客はミゼアスを睨む。
「犬は床に這いつくばって飲むものでしょう?」
「なんだと……?」
「おや、犬は気に入りませんか。じゃあ、豚」
軽やかに言うミゼアスと睨みつける客。そこに戻ってきたアルンがそっと箱を差し出し、ミゼアスに渡す。
「あぁ……本当に生意気な豚だ。お仕置きが必要だね」
「お仕置き……?」
客の瞳が揺らいだのをミゼアスは見逃さなかった。箱の中から一本の短鞭を取り出し、客の肩にぴしゃりと打ち下ろす。
力は加減してある。傷つくほどではない。
客は信じられないような顔をして、ミゼアスをただ見つめる。
「さあ、お仕置きの時間だよ、豚。たっぷり楽しませてあげるからね」
偉そうにふんぞり返って客の男は言った。
控えている見習いたちの間に緊張が走る。しかし、ミゼアスの鉄壁の愛想笑いはこの程度ではびくともしない。
むしろ、久々の大当たりだとミゼアスは楽しくなっていた。
普通ならば無礼な客が来れば『お客様はお帰りだよ』と言って席を立つ。五花であるミゼアスには客を選ぶ権利があるのだ。
だが、今日は違った。
「もちろん、お客様のお望みのままに。どのような趣向がお好みでしょうか?」
にっこりと笑ってミゼアスは問う。
「いちいち言わなければわからないのか、無能め。やはり淫売は男を咥えこんでひぃひぃよがるしか能がないのか」
更なる侮辱に見習いたちが動揺する。
しかしミゼアスはにこやかに微笑んだままだ。
「……黒の箱を持ってきて」
小声で見習いに指示を与える。アルンがそっとこの場を離れた。
「まあ、まだお会いしたばかりです。まずはゆっくりとあなたのことを教えて頂きたいな。お酒はいかがですか?」
「ふん……」
鼻で笑う客に微笑みかけると、ミゼアスは酒瓶を持って白い陶器の皿に注いだ。果物を入れておくような皿で、普通の杯ではない。
ミゼアスは皿を酒で満たすと、客の足下の床に置いた。
「どうぞ」
微笑みを崩さず、ミゼアスはすすめる。
「……ふざけているのか」
声に怒気を滲ませ、客はミゼアスを睨む。
「犬は床に這いつくばって飲むものでしょう?」
「なんだと……?」
「おや、犬は気に入りませんか。じゃあ、豚」
軽やかに言うミゼアスと睨みつける客。そこに戻ってきたアルンがそっと箱を差し出し、ミゼアスに渡す。
「あぁ……本当に生意気な豚だ。お仕置きが必要だね」
「お仕置き……?」
客の瞳が揺らいだのをミゼアスは見逃さなかった。箱の中から一本の短鞭を取り出し、客の肩にぴしゃりと打ち下ろす。
力は加減してある。傷つくほどではない。
客は信じられないような顔をして、ミゼアスをただ見つめる。
「さあ、お仕置きの時間だよ、豚。たっぷり楽しませてあげるからね」
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