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恋とはどんなもの?6
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「あぁ……いぃ……好き……ジェス、好き……」
甘ったるいミゼアスの声だった。三人ははっとして顔を見合わせる。
こんなミゼアスの声は聞いたことがない。寝台のきしむ音も聞こえてくる。間違いなく、性交中だろう。
「あぁん……気持ちいぃ……もっと、もっとしてぇ……」
じっと黙って耳を傾けていると、尚もミゼアスの嬌声が聞こえてくる。甘い声は徐々に愉悦の滲む悲鳴へと変わっていった。
一際高い叫びが聞こえてきたかと思うと、寝台のきしむ音が止んだ。おそらく達したのだろう。
「んっ……ねぇ……今度は後ろからして? 僕のこと、めちゃくちゃに犯して……ジェスのこと以外、何も考えられないようにしてぇ……」
更なる行為をねだるミゼアスの声が聞こえてくる。
コリンたち三人はすっかり真っ赤になってしまった顔を見合わせ、頷いた。これ以上ここにいてはならない。
静かに素早くミゼアスの部屋を立ち去り、言葉もなく三人は自分たちの部屋まで戻った。中に入って扉を閉めると、三人はその場にへたりこんだ。
「……凄かったね」
ぽつりとアルンが呟く。
「うん……ミゼアス兄さん、あんなこと言うんだ……めちゃくちゃに犯してなんて……」
ブラムもその呟きに同意する。
ミゼアスは病気の後遺症で体力がないため、相手に好き勝手させると命にも関わるらしい。そのために主導権は常に自らが握る。
それなのに、先ほどはあっさりと主導権を手放していた。アデルジェスはミゼアスを寝込ませずに満足させる技術の持ち主だというのはわかっていたが、命に関わるだろう主導権を渡されるほどの信頼すら得ているのだ。
「やっぱり……アデルジェスさんって、凄いんだね……ミゼアス兄さんに『好き』って言わせちゃうんだ……」
コリンも呆然と呟く。
やはり深い快楽を与えてもらえれば、好きになってしまうのだ。白花第一位のミゼアスといえども、例外ではないのだろう。
それきり、三人は俯いたまま黙ってしまった。
ミゼアスの甘ったるい嬌声は衝撃的だった。
今までミゼアスが客と床入りしたときにこんなことはなかったのだ。熱っぽい囁き声や、くすくす笑う扇情的な声は聞いたことがあったが、愉悦の滲む嬌声など聞いたのは初めてである。
やはりアデルジェスの色事師としての腕は確かなのだろう。いつも凛としており、常に優位を保つミゼアスがあのようによがり鳴くなど、三人には信じられなかった。
しかし、今晩もミゼアスには仕事の予定が入っていたはずだ。打ち合わせをしたいが、あれだけ熱心に睦み合っている寝室に入る勇気など、三人の誰も持ちえてはいない。
どうすればよいのかと考えていると、扉を叩く音と共に現れた姿がある。
四花のヴァレンだ。見習いの頃はミゼアス付きだったそうで、三人にとっては近しい先輩でもある。
「あー……その様子だと、ミゼアス兄さんの部屋に入ったね」
困ったような笑いを浮かべ、ヴァレンは人差し指で頬を掻く。
「今日はちょっと色々あったみたいでね……燃えちゃったんだろう。今晩の仕事についてきみたちが悩んでいるんじゃないかと思って様子を見に来たよ。とりあえず俺がどうにかするから、きみたちは待機していて」
ヴァレンの言葉に三人は胸を撫で下ろす。
色々と問題も多いヴァレンだが、やることはしっかりやるのだ。こう言った以上、心配はないだろう。
それにヴァレンはミゼアスのことをよく知っている。付き合いが長いそうで、ミゼアスもヴァレンを頼りにしているところはあるようだ。
甘ったるいミゼアスの声だった。三人ははっとして顔を見合わせる。
こんなミゼアスの声は聞いたことがない。寝台のきしむ音も聞こえてくる。間違いなく、性交中だろう。
「あぁん……気持ちいぃ……もっと、もっとしてぇ……」
じっと黙って耳を傾けていると、尚もミゼアスの嬌声が聞こえてくる。甘い声は徐々に愉悦の滲む悲鳴へと変わっていった。
一際高い叫びが聞こえてきたかと思うと、寝台のきしむ音が止んだ。おそらく達したのだろう。
「んっ……ねぇ……今度は後ろからして? 僕のこと、めちゃくちゃに犯して……ジェスのこと以外、何も考えられないようにしてぇ……」
更なる行為をねだるミゼアスの声が聞こえてくる。
コリンたち三人はすっかり真っ赤になってしまった顔を見合わせ、頷いた。これ以上ここにいてはならない。
静かに素早くミゼアスの部屋を立ち去り、言葉もなく三人は自分たちの部屋まで戻った。中に入って扉を閉めると、三人はその場にへたりこんだ。
「……凄かったね」
ぽつりとアルンが呟く。
「うん……ミゼアス兄さん、あんなこと言うんだ……めちゃくちゃに犯してなんて……」
ブラムもその呟きに同意する。
ミゼアスは病気の後遺症で体力がないため、相手に好き勝手させると命にも関わるらしい。そのために主導権は常に自らが握る。
それなのに、先ほどはあっさりと主導権を手放していた。アデルジェスはミゼアスを寝込ませずに満足させる技術の持ち主だというのはわかっていたが、命に関わるだろう主導権を渡されるほどの信頼すら得ているのだ。
「やっぱり……アデルジェスさんって、凄いんだね……ミゼアス兄さんに『好き』って言わせちゃうんだ……」
コリンも呆然と呟く。
やはり深い快楽を与えてもらえれば、好きになってしまうのだ。白花第一位のミゼアスといえども、例外ではないのだろう。
それきり、三人は俯いたまま黙ってしまった。
ミゼアスの甘ったるい嬌声は衝撃的だった。
今までミゼアスが客と床入りしたときにこんなことはなかったのだ。熱っぽい囁き声や、くすくす笑う扇情的な声は聞いたことがあったが、愉悦の滲む嬌声など聞いたのは初めてである。
やはりアデルジェスの色事師としての腕は確かなのだろう。いつも凛としており、常に優位を保つミゼアスがあのようによがり鳴くなど、三人には信じられなかった。
しかし、今晩もミゼアスには仕事の予定が入っていたはずだ。打ち合わせをしたいが、あれだけ熱心に睦み合っている寝室に入る勇気など、三人の誰も持ちえてはいない。
どうすればよいのかと考えていると、扉を叩く音と共に現れた姿がある。
四花のヴァレンだ。見習いの頃はミゼアス付きだったそうで、三人にとっては近しい先輩でもある。
「あー……その様子だと、ミゼアス兄さんの部屋に入ったね」
困ったような笑いを浮かべ、ヴァレンは人差し指で頬を掻く。
「今日はちょっと色々あったみたいでね……燃えちゃったんだろう。今晩の仕事についてきみたちが悩んでいるんじゃないかと思って様子を見に来たよ。とりあえず俺がどうにかするから、きみたちは待機していて」
ヴァレンの言葉に三人は胸を撫で下ろす。
色々と問題も多いヴァレンだが、やることはしっかりやるのだ。こう言った以上、心配はないだろう。
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