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恋とはどんなもの?4
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あまりに思い悩んだためか、コリンはなかなか寝つけなかった。用足しに行きたくなり、そっと部屋を出る。
「おや、コリン? まだ起きていたのかい」
ややかすれ気味の声が響いた。ミゼアスが仕事を終え、戻ってきたらしい。
気だるげな様子だった。紫色の長衣はわずかに着崩れているし、髪も少し乱れている。頬のあたりがやつれているようにも見えたが、それが妙に色気を醸し出していて、コリンはどぎまぎしてしまった。
「あ……あの……用足しに……」
コリンはもじもじとしながら答える。
「あぁ、なるほどね。明日も学校なんだから、早く済ませて寝なさい」
「あの……ミゼアス兄さん、性交してきたんですよね」
「そうだね。疲れたよ」
「ミゼアス兄さんは、どういう相手が好きなんですか?」
ミゼアスならばコリンの疑問に答えをくれるかもしれない。
何せミゼアスは白花の第一位だ。客を満足させる術を心得ている。ということは、性交と恋愛との結びつきだって知っているはずだ。
コリンはすがるような気持ちで尋ねてみた。
「アレが小さい奴。早くて、しつこくなければなお良いね」
あっさりとミゼアスは答える。身体的特徴と性質についてだった。
「そういう相手とのときって、違いますか?」
「違うね。僕の身体への優しさが全然違う。小指くらいの大きさしかなかったら、見た瞬間にもう胸がときめいちゃうね」
「胸がときめく……」
それは典型的な恋の芽生えではないだろうか。一目惚れというやつだろう。ミゼアスでもそのようなことがあるのだ。コリンには驚きだった。
「……まったく、久しぶりだったせいもあるけれど、まだつらいよ。これだから大きい奴は嫌いだ。僕の客は全員、小指程度の大きさになってしまえばいいのに」
ミゼアスはぶつぶつと呪いの言葉を吐くが、物思いに沈んでいるコリンの耳には届いていなかった。
ミゼアスはアレが小さい相手に一目惚れするらしい。普通は大きいことが自慢になるかと思っていたが、やはり人それぞれ違うのだろう。
恋とは一瞬にして燃え上がるものもあれば、お互い知り合ってからじわじわと熟成するように温まっていくものもあるという。外見に惹かれることもあれば、性格にほだされることもある。あるいは普段との落差を見たときに心を射抜かれることもあるという。
やはりコリンにはよくわからないままだった。
客には恋人のように接することも必要と授業では習ったが、その恋がどういうものかわからないのだ。わからないものを真似ることなど、できるはずもない。
「恋って、何なんだろう……」
今日も今日とて、コリンはため息を漏らすのだった。
「おや、コリン? まだ起きていたのかい」
ややかすれ気味の声が響いた。ミゼアスが仕事を終え、戻ってきたらしい。
気だるげな様子だった。紫色の長衣はわずかに着崩れているし、髪も少し乱れている。頬のあたりがやつれているようにも見えたが、それが妙に色気を醸し出していて、コリンはどぎまぎしてしまった。
「あ……あの……用足しに……」
コリンはもじもじとしながら答える。
「あぁ、なるほどね。明日も学校なんだから、早く済ませて寝なさい」
「あの……ミゼアス兄さん、性交してきたんですよね」
「そうだね。疲れたよ」
「ミゼアス兄さんは、どういう相手が好きなんですか?」
ミゼアスならばコリンの疑問に答えをくれるかもしれない。
何せミゼアスは白花の第一位だ。客を満足させる術を心得ている。ということは、性交と恋愛との結びつきだって知っているはずだ。
コリンはすがるような気持ちで尋ねてみた。
「アレが小さい奴。早くて、しつこくなければなお良いね」
あっさりとミゼアスは答える。身体的特徴と性質についてだった。
「そういう相手とのときって、違いますか?」
「違うね。僕の身体への優しさが全然違う。小指くらいの大きさしかなかったら、見た瞬間にもう胸がときめいちゃうね」
「胸がときめく……」
それは典型的な恋の芽生えではないだろうか。一目惚れというやつだろう。ミゼアスでもそのようなことがあるのだ。コリンには驚きだった。
「……まったく、久しぶりだったせいもあるけれど、まだつらいよ。これだから大きい奴は嫌いだ。僕の客は全員、小指程度の大きさになってしまえばいいのに」
ミゼアスはぶつぶつと呪いの言葉を吐くが、物思いに沈んでいるコリンの耳には届いていなかった。
ミゼアスはアレが小さい相手に一目惚れするらしい。普通は大きいことが自慢になるかと思っていたが、やはり人それぞれ違うのだろう。
恋とは一瞬にして燃え上がるものもあれば、お互い知り合ってからじわじわと熟成するように温まっていくものもあるという。外見に惹かれることもあれば、性格にほだされることもある。あるいは普段との落差を見たときに心を射抜かれることもあるという。
やはりコリンにはよくわからないままだった。
客には恋人のように接することも必要と授業では習ったが、その恋がどういうものかわからないのだ。わからないものを真似ることなど、できるはずもない。
「恋って、何なんだろう……」
今日も今日とて、コリンはため息を漏らすのだった。
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