31 / 136
恋とはどんなもの?1
しおりを挟む
「……それで、約束したんだ。いつか借金を返し終わって帰るまで、待っているって言ってくれた」
放課後の学校にて、同級生が身の上を語るのをコリンたちは聞いていた。幼馴染との約束についての話である。
「だから、頑張って早く借金を返して帰ろうと思います。以上」
話が締めくくられると、聴衆たちは拍手で応援の意を表した。
幼馴染との淡い恋話というありふれた内容だったが、ありふれているからこそ身につまされる者も多い。
「いいなぁ……恋って、どんな感じ?」
唇に人差し指をあててコリンが尋ねると、同級生たちがコリンを見た。
「そういう相手はいなかったの? 幼馴染とか」
「うん。周りに似たような年齢の子はいたけれど、ほとんど口もきかなかったし」
島に売られる前に過ごしていた場所のことを思い出し、コリンは答える。
「口くらいきいておけよ。おまえ、案外冷たいんだな」
咎めるような口調の同級生に、コリンはしゅんとうなだれる。
「だって……いつも、みんな疲れていたんだもの……」
「ああ、もしかして子供も作業の手伝いしなきゃいけなかったようなところ?」
別の同級生が口を挟む。
「作業……なのかな。大人の男の人たちが来て、遊び相手にならなきゃいけなかったんだ。僕はそんなにひどいことはされなかったけれど、中には泣いている子もいた」
コリンの言葉が、水面に投じた石のように響いた。穏やかにざわめいていた同級生たちが静まり返り、緊張が広がっていく。
急におとなしくなってしまった同級生たちに、コリンは首を傾げる。
「コリン」
すると教室の外から声がした。コリンと同じくミゼアス付きの見習いであるブラムだ。
「終わったなら、帰ろう。アルンも待っている」
ブラムは教室に入ってきて、コリンの手を取る。
「あ……うん、ごめん。……じゃあ、僕、帰るね。またね」
未だ誰も言葉を発しない同級生たちに別れの挨拶を述べると、コリンはブラムに手を引かれて教室を後にした。
去り際にブラムが同級生たちを睨みつけていたようだったが、何故かはよくわからない。黙ったままの同級生たちといい、コリンにはよくわからないことばかりだ。
放課後の学校にて、同級生が身の上を語るのをコリンたちは聞いていた。幼馴染との約束についての話である。
「だから、頑張って早く借金を返して帰ろうと思います。以上」
話が締めくくられると、聴衆たちは拍手で応援の意を表した。
幼馴染との淡い恋話というありふれた内容だったが、ありふれているからこそ身につまされる者も多い。
「いいなぁ……恋って、どんな感じ?」
唇に人差し指をあててコリンが尋ねると、同級生たちがコリンを見た。
「そういう相手はいなかったの? 幼馴染とか」
「うん。周りに似たような年齢の子はいたけれど、ほとんど口もきかなかったし」
島に売られる前に過ごしていた場所のことを思い出し、コリンは答える。
「口くらいきいておけよ。おまえ、案外冷たいんだな」
咎めるような口調の同級生に、コリンはしゅんとうなだれる。
「だって……いつも、みんな疲れていたんだもの……」
「ああ、もしかして子供も作業の手伝いしなきゃいけなかったようなところ?」
別の同級生が口を挟む。
「作業……なのかな。大人の男の人たちが来て、遊び相手にならなきゃいけなかったんだ。僕はそんなにひどいことはされなかったけれど、中には泣いている子もいた」
コリンの言葉が、水面に投じた石のように響いた。穏やかにざわめいていた同級生たちが静まり返り、緊張が広がっていく。
急におとなしくなってしまった同級生たちに、コリンは首を傾げる。
「コリン」
すると教室の外から声がした。コリンと同じくミゼアス付きの見習いであるブラムだ。
「終わったなら、帰ろう。アルンも待っている」
ブラムは教室に入ってきて、コリンの手を取る。
「あ……うん、ごめん。……じゃあ、僕、帰るね。またね」
未だ誰も言葉を発しない同級生たちに別れの挨拶を述べると、コリンはブラムに手を引かれて教室を後にした。
去り際にブラムが同級生たちを睨みつけていたようだったが、何故かはよくわからない。黙ったままの同級生たちといい、コリンにはよくわからないことばかりだ。
0
お気に入りに追加
56
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる