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師匠と呼ばせて1
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ブラムは、五花にして白花の第一位であるミゼアス付きの見習いである。
現在は基礎課程を終えて上級課程を学んでいるところで、成績は優秀なほうだ。
ミゼアス付きの見習いはあと二人いる。かなり前に基礎課程を終え、ミゼアスの持っている最短記録と並んだ、優秀なアルン。ブラムと同じく上級課程を学び始めている、それなりに優秀なコリン。
アルンはミゼアスの後継者といわれるほど、成績優秀で花月琴の才もある。おそらく将来は五花になるだろうという評判だ。
コリンはそれなりに優秀なものの、一見すると際立つというほどの存在ではない。しかし実は床あしらいにおいて天性の才能を持っているのだ。まだ見習いのため、実際に客を取ることはないが、その手の教えはミゼアスから受けている。コリンは五花であるミゼアスが驚愕するほどだそうだ。
この二人に比べると、自分には何もないとブラムは思う。
基礎課程は終えた。花月琴だってそこそこに弾きこなせる。それなりに優秀ではあるが、それだけだ。
おそらく三花まではなることができる。うまくすれば四花あたりまではいけそうだが、もしかしたらそれ以下で終わるかもしれない。
それでも賞味期限切れになる前にどうにか借金は返せるだろう。それでよしとするべきなのかもしれない。
いつもそれを考えるとため息をもらしたくなるブラムだが、ここ数日はそのようなことがどうでもよくなるほど、脳裏を占めるような異常事態が起こっている。
上役であるミゼアスが男を連れ込んでいるのだ。
ミゼアスは五花だ。情人を囲おうと、仕事に支障さえなければ許される。初めての事態で驚きはあったが、連れ込むこと自体に問題はない。
問題なのはその男だった。
顔は悪くなく、体格も良い。しかし人が良さそうなだけで、これといった特徴のない男だ。金持ちそうにも、身分が高そうにも思えない。
客は上級貴族ばかり、どれほど金を積まれても気に入らなければ口すら聞かないという高嶺の花、ミゼアス。当代一とすらいわれる花月琴の名手であり、優れた知性と教養を持ちながら、さらに群を抜いた繊細な美貌の主ですらある。数々の名花、妖花が咲き乱れるこの島においても、まさに一番の花だ。
特別といわれる五花の中でも、さらに特別扱いを受けるミゼアスが何故あのような平凡な男を側に置いているのかが不思議だった。
現在は基礎課程を終えて上級課程を学んでいるところで、成績は優秀なほうだ。
ミゼアス付きの見習いはあと二人いる。かなり前に基礎課程を終え、ミゼアスの持っている最短記録と並んだ、優秀なアルン。ブラムと同じく上級課程を学び始めている、それなりに優秀なコリン。
アルンはミゼアスの後継者といわれるほど、成績優秀で花月琴の才もある。おそらく将来は五花になるだろうという評判だ。
コリンはそれなりに優秀なものの、一見すると際立つというほどの存在ではない。しかし実は床あしらいにおいて天性の才能を持っているのだ。まだ見習いのため、実際に客を取ることはないが、その手の教えはミゼアスから受けている。コリンは五花であるミゼアスが驚愕するほどだそうだ。
この二人に比べると、自分には何もないとブラムは思う。
基礎課程は終えた。花月琴だってそこそこに弾きこなせる。それなりに優秀ではあるが、それだけだ。
おそらく三花まではなることができる。うまくすれば四花あたりまではいけそうだが、もしかしたらそれ以下で終わるかもしれない。
それでも賞味期限切れになる前にどうにか借金は返せるだろう。それでよしとするべきなのかもしれない。
いつもそれを考えるとため息をもらしたくなるブラムだが、ここ数日はそのようなことがどうでもよくなるほど、脳裏を占めるような異常事態が起こっている。
上役であるミゼアスが男を連れ込んでいるのだ。
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