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06.デイネスト
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「……ごめん、いきなり悪いこと言った」
視線をそらしたまま、デイネストが謝罪の言葉を口にのぼらせる。
「いいのよ。珍しいわよね、呪いをかけられた人間なんて。それにあなた、この国の人じゃないでしょう?」
セレディローサの言葉に、デイネストはびくっと身をすくませる。おそるおそるといった様子でデイネストはセレディローサを伺ってきた。
「綺麗な黒い髪。こんな惹きこまれるような色の髪、初めて見たわ。この国の人間は、明るい色の髪ばかりですもの」
この国の人間は、金色から明るい茶色の髪の者ばかりだ。セレディローサは城下の施療院を訪れるなどで城から出ることもあったが、そこでも黒髪の人間を見たことはない。
「気味が悪くないのか? 変な色だろ?」
「どうして? 艶やかで、とても綺麗だわ。触ってみてもいい?」
デイネストはセレディローサの言葉に、はにかんだような笑みを浮かべて頷いた。
ゆっくりと、宝物に触れるようにセレディローサは手を伸ばす。絹のように滑らかで、指にしっとりと吸いつくような感触が伝わってくる。
セレディローサはうっとりと目を細めた。ずっと触れていたいくらいだったが、あることに気付いてそっと手を放す。
「あ……ごめんなさい。『呪われた王女』に触れられるのなんて、嫌だったでしょう?」
「そんなこと!」
大声でデイネストは叫んだ。セレディローサは驚き、放しかけた手を空中に留めたまま、ただデイネストを見つめることしかできなかった。
「あんたの手、優しくて気持ちがいい。髪を綺麗なんて言われたの、初めてだよ。嫌どころか、嬉しいくらいだ」
デイネストはまっすぐにセレディローサを見返す。嘘偽りなどない真摯な眼差しに、セレディローサはついたじろいでしまいそうになる。
「え……あ、あの……ありがとう……」
強い視線に耐え切れなくなり、セレディローサはわずかに俯いてぼそぼそと呟く。
「…………いいな」
「えっ? 何て言ったの?」
ぼそっとデイネストが漏らした言葉をよく聞き取れず、セレディローサは首を傾げる。もう一度言ってもらおうと促したつもりだったが、デイネストは慌てた様子で首を振った。
「い……いや、何でもない! その……それより、少し話をしたいな。いい?」
ごまかすようなデイネストの申し出に、セレディローサは笑って頷いた。
視線をそらしたまま、デイネストが謝罪の言葉を口にのぼらせる。
「いいのよ。珍しいわよね、呪いをかけられた人間なんて。それにあなた、この国の人じゃないでしょう?」
セレディローサの言葉に、デイネストはびくっと身をすくませる。おそるおそるといった様子でデイネストはセレディローサを伺ってきた。
「綺麗な黒い髪。こんな惹きこまれるような色の髪、初めて見たわ。この国の人間は、明るい色の髪ばかりですもの」
この国の人間は、金色から明るい茶色の髪の者ばかりだ。セレディローサは城下の施療院を訪れるなどで城から出ることもあったが、そこでも黒髪の人間を見たことはない。
「気味が悪くないのか? 変な色だろ?」
「どうして? 艶やかで、とても綺麗だわ。触ってみてもいい?」
デイネストはセレディローサの言葉に、はにかんだような笑みを浮かべて頷いた。
ゆっくりと、宝物に触れるようにセレディローサは手を伸ばす。絹のように滑らかで、指にしっとりと吸いつくような感触が伝わってくる。
セレディローサはうっとりと目を細めた。ずっと触れていたいくらいだったが、あることに気付いてそっと手を放す。
「あ……ごめんなさい。『呪われた王女』に触れられるのなんて、嫌だったでしょう?」
「そんなこと!」
大声でデイネストは叫んだ。セレディローサは驚き、放しかけた手を空中に留めたまま、ただデイネストを見つめることしかできなかった。
「あんたの手、優しくて気持ちがいい。髪を綺麗なんて言われたの、初めてだよ。嫌どころか、嬉しいくらいだ」
デイネストはまっすぐにセレディローサを見返す。嘘偽りなどない真摯な眼差しに、セレディローサはついたじろいでしまいそうになる。
「え……あ、あの……ありがとう……」
強い視線に耐え切れなくなり、セレディローサはわずかに俯いてぼそぼそと呟く。
「…………いいな」
「えっ? 何て言ったの?」
ぼそっとデイネストが漏らした言葉をよく聞き取れず、セレディローサは首を傾げる。もう一度言ってもらおうと促したつもりだったが、デイネストは慌てた様子で首を振った。
「い……いや、何でもない! その……それより、少し話をしたいな。いい?」
ごまかすようなデイネストの申し出に、セレディローサは笑って頷いた。
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