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第三章 巡り会い
120.やるしかない
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「……へ?」
まったく予想もしなかった部位をあげられ、アデルジェスは間抜けな声を漏らしてしまう。しかし、ヴァレンは平然としたままだ。
「たっぷり塗って、しっかりほぐしてくださいね。最近、ご無沙汰なんですよね?」
「な、何故……」
しかも、どうして最近の夜事情まで知っているのだろうか。アデルジェスは何をどう言っていいのかわからず、ただ顔に熱が集まっていくのを感じる。
「で、準備が終わったら突っ込んでください。きちんと中に出してくださいね」
あくまでも冷静なヴァレンの声がとどめを刺す。
アデルジェスは顔を伏せて突っ伏したい気持ちを必死に押さえ、立っているのが精一杯だった。
「ヴァレン、ふざけているのですか?」
固まったままのアデルジェスに代わり、マリオンが剣呑な声を出す。
「いや、大真面目ですって。えっとですね、簡単に言うと今までミゼアス兄さんはジェスさんとの性交で力を得ていたのに、急に途切れたから身体がついていっていないらしいんですよ。とりあえず一回、中に出してしまえば目覚めるそうですよ。詳しい話はミゼアス兄さんが起きたら、きちんとするんで」
ヴァレンが説明すると、マリオンの顔から険しさがはがれる。
「はあ……まあ、そういうことでしたら……アデルジェスさん、頑張ってください」
あっさりとマリオンもヴァレン側についてしまった。アデルジェスは二人に見つめられ、わけがわからずに二人の顔と小瓶とを交互に見比べる。
「小瓶の中身は香油なんで、それを使ってミゼアス兄さんに突っ込んで出すだけです。簡単でしょう? じゃ、頑張ってくださいねー」
ヴァレンはにっこりと笑うと、マリオンと共に部屋を出て行った。
状況がいまいち理解できないまま、アデルジェスだけが取り残される。
いったい何がどうなっているのかわからないが、もらった香油を使ってミゼアスに突っ込めばミゼアスが目覚めるとヴァレンは言っていた。それならば、状況がわからなくてもすることはひとつだ。
はたして眠ったままのミゼアス相手に、突っ込めるほど自分自身は元気になるのだろうかという不安はあったが、やるしかない。
「ミゼアス……」
アデルジェスは寝台の上でずっと眠り続けるミゼアスの額に口付けると、服にそっと手をかけた。
まったく予想もしなかった部位をあげられ、アデルジェスは間抜けな声を漏らしてしまう。しかし、ヴァレンは平然としたままだ。
「たっぷり塗って、しっかりほぐしてくださいね。最近、ご無沙汰なんですよね?」
「な、何故……」
しかも、どうして最近の夜事情まで知っているのだろうか。アデルジェスは何をどう言っていいのかわからず、ただ顔に熱が集まっていくのを感じる。
「で、準備が終わったら突っ込んでください。きちんと中に出してくださいね」
あくまでも冷静なヴァレンの声がとどめを刺す。
アデルジェスは顔を伏せて突っ伏したい気持ちを必死に押さえ、立っているのが精一杯だった。
「ヴァレン、ふざけているのですか?」
固まったままのアデルジェスに代わり、マリオンが剣呑な声を出す。
「いや、大真面目ですって。えっとですね、簡単に言うと今までミゼアス兄さんはジェスさんとの性交で力を得ていたのに、急に途切れたから身体がついていっていないらしいんですよ。とりあえず一回、中に出してしまえば目覚めるそうですよ。詳しい話はミゼアス兄さんが起きたら、きちんとするんで」
ヴァレンが説明すると、マリオンの顔から険しさがはがれる。
「はあ……まあ、そういうことでしたら……アデルジェスさん、頑張ってください」
あっさりとマリオンもヴァレン側についてしまった。アデルジェスは二人に見つめられ、わけがわからずに二人の顔と小瓶とを交互に見比べる。
「小瓶の中身は香油なんで、それを使ってミゼアス兄さんに突っ込んで出すだけです。簡単でしょう? じゃ、頑張ってくださいねー」
ヴァレンはにっこりと笑うと、マリオンと共に部屋を出て行った。
状況がいまいち理解できないまま、アデルジェスだけが取り残される。
いったい何がどうなっているのかわからないが、もらった香油を使ってミゼアスに突っ込めばミゼアスが目覚めるとヴァレンは言っていた。それならば、状況がわからなくてもすることはひとつだ。
はたして眠ったままのミゼアス相手に、突っ込めるほど自分自身は元気になるのだろうかという不安はあったが、やるしかない。
「ミゼアス……」
アデルジェスは寝台の上でずっと眠り続けるミゼアスの額に口付けると、服にそっと手をかけた。
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