僕はおよめさん!

四葉 翠花

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第三章 巡り会い

104.雑貨屋の手伝い

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 リーゼに勉強を教え、宿のおかみさんとリーゼから料理を教わって、アデルジェスの帰りを待つのが日課だったミゼアスだが、もうひとつ新しい日課が増えた。
 雑貨屋の手伝いである。
 不夜島にて先輩の白花だったマリオンと七年ぶりの再会を果たし、彼とその夫が経営している雑貨屋を手伝うことにしたのだ。
 まずはそれまでの荷役作業の仕事を終え、次の仕事を探そうとしていたアデルジェスへの誘いがあった。

「近々、ここの領主主催の宴があってね。それを見込んで、商売人たちも集まってきているんだ。たまには働けと、商会を任せた弟からもせっつかれている。仕方がないから少し動こうかと思うんだが、よかったら護衛を頼めないかな?」

 イーノスから、このような申し出を受けたのだ。
 ちょうど仕事が途切れたところだったので、アデルジェスにとってこの誘いはありがたかったようだ。
 イーノスに確認してみたところ、どこか別の町へ行くわけでもなく、この町で取引を行う際に護衛として側にいてくれればよいという。

「まあ、実際に荒っぽいことが起こることはまずないと思うけれどね。威圧というか飾りというか、とりあえず立っていてくれればいいんだ」

 その後、提示された報酬などの条件も悪くなく、アデルジェスはイーノスの護衛として働くことになった。
 すると、イーノスがアデルジェスを獲得したので今度はミゼアスだというように、マリオンから話があった。

 ミゼアスに見合うような竪琴はこの店にはない。取り寄せるので、それまで待ってくれないだろうかというのだ。
 急ぐわけでもないので構わなかったが、そもそもミゼアスにしてみれば特別良い品でなくとも構わない。それなりに良い竪琴もあったので、それでよいと言ったのだが、マリオンは首を横に振った。

「あなたに最高級品以外のものなど、許せません」

 きっぱりと言い切られてしまい、ミゼアスはどうしたものかと頭を悩ませた。
 さすがに最高級品ともなれば値も張るだろう。現在のミゼアスにそこまでの手持ちはない。島にいた頃であれば問題なく払えただろうが、今のつつましい『およめさん』としては無理な金額と思われた。

「それに、せっかくこうして再会できたのです。あなたが島を出たお祝い、結婚したお祝いも含めて贈らせていただきますよ」

 ミゼアスが考え込んでいると、今度はこう提示された。
 さすがにそこまでの品をもらうのは気が引けると言ったが、マリオンは穏やかな態度を崩さない。それどころか狙いどおりといったような満足げな笑みが口元を彩る。

「それならしばらくの間、差額分としてこの店を手伝ってもらえますか?」

 こうして、ミゼアスもマリオンの手伝いをすることになったのだった。
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