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第二章 南へ
64.溶け合って
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言葉少なに二人は部屋に戻った。
ほとんど口を開かないまま、風呂をすませる。温かい湯は少しだけ、気持ちを落ち着かせてくれた。
風呂から上がったアデルジェスに、そっとミゼアスは寄りかかる。
「ねえ、ジェス……」
「ミゼアスは俺の大切な、大切な『およめさん』だよ」
ミゼアスが口を開きかけるのを制し、口早にアデルジェスが言い切る。
じわり、と涙が滲んだ。普段は鈍いくせに、どうしてこうも欲しい言葉をくれるのだろう。
アデルジェスの優しく、たくましい腕に抱きすくめられる。
「俺にはミゼアスしかいない。ずっと側にいて、俺と一緒に歩いていって」
規則正しい心臓の鼓動に包まれ、ミゼアスは癒されていくのを感じる。いっとき、むき出しになってしまった傷が、ゆっくりと塞がっていく。
「ジェス……抱いて……僕を抱いて……」
ミゼアスの願いに、アデルジェスは微笑んでミゼアスの頬を撫でる。大きな手の温もりが、心までしみこんでいくようだった。
アデルジェスの優しさは、乾きそうになってしまったミゼアスの心を潤してくれる。
かつて男娼として身を売っていた事実は消えない。しかしアデルジェスは承知の上で、この言葉をくれたのだ。
他人がどう言おうと関係ない。ミゼアスにとっては、アデルジェスが全てだ。
ミゼアスはアデルジェスの頭に腕を絡め、口づけた。
「んっ……はぁ……ん……」
身体をやや後ろに傾けて寝台に腰掛けるアデルジェスの上に、ミゼアスは乗っていた。アデルジェスは片手を後ろについて支え、もう片方の手をミゼアスの腰に回している。
ミゼアスは繋がったまま交わす口づけに夢中になっていた。繋がった部分からゆるやかにわきおこる快楽と、口づけから生じる幸福が身体の中で混ざり合い、内側からとろけて崩れ落ちてしまいそうだ。
つい夢中になりすぎて全身で体重をかけてしまっていたが、アデルジェスはびくともしない。それどころか、いたずらするかのように繋がっている部分を指でなぞられる。
ミゼアスはびくっと身を震わせ、口を離してしまった。
未練がましく、細い糸が二人を繋ぐ。
「やぁん……それ、だめぇ……」
甘ったるい声で抗議するが、アデルジェスは指の動きを止めない。繋がった部分からゆっくり前へと指が這っていく。
「あっ……あぁ……ん……」
ぞくぞくと背筋に甘い痺れが走る。
「前も可愛がってあげたい」
「やっ……それはだめ……やめて……」
「どうして?」
「だって……そんなことされたら、すぐにイっちゃうから……」
「何回でもイけばいいよ。ミゼアスの可愛い顔を見せて」
一度も触れられないまま解放が間近になっているそれを、アデルジェスは優しく包み込む。香油を絡めた指はぬめりを帯びて、ゆるやかに動かされるだけでも突き抜けるような快楽が全身を駆け巡った。
「あっ、あぁ……だめっ、ああっ!」
宣言どおりあっさりと達し、ミゼアスは崩れ落ちそうになりながらも、どうにかアデルジェスの引き締まった腹に両手をついて荒い呼吸を繰り返す。
「可愛いね、ミゼアス」
アデルジェスがミゼアスの頬を片手で撫でる。
ミゼアスが快楽で潤んだ瞳を向けると、今度はアデルジェスから口づけてきた。再び、繋がったまま口づけを交わし合う。
上と下、両方でアデルジェスと繋がりながら、ミゼアスは幸福に酔う。このまま、ずっとアデルジェスとひとつになって、溶け合ってしまいたかった。
ほとんど口を開かないまま、風呂をすませる。温かい湯は少しだけ、気持ちを落ち着かせてくれた。
風呂から上がったアデルジェスに、そっとミゼアスは寄りかかる。
「ねえ、ジェス……」
「ミゼアスは俺の大切な、大切な『およめさん』だよ」
ミゼアスが口を開きかけるのを制し、口早にアデルジェスが言い切る。
じわり、と涙が滲んだ。普段は鈍いくせに、どうしてこうも欲しい言葉をくれるのだろう。
アデルジェスの優しく、たくましい腕に抱きすくめられる。
「俺にはミゼアスしかいない。ずっと側にいて、俺と一緒に歩いていって」
規則正しい心臓の鼓動に包まれ、ミゼアスは癒されていくのを感じる。いっとき、むき出しになってしまった傷が、ゆっくりと塞がっていく。
「ジェス……抱いて……僕を抱いて……」
ミゼアスの願いに、アデルジェスは微笑んでミゼアスの頬を撫でる。大きな手の温もりが、心までしみこんでいくようだった。
アデルジェスの優しさは、乾きそうになってしまったミゼアスの心を潤してくれる。
かつて男娼として身を売っていた事実は消えない。しかしアデルジェスは承知の上で、この言葉をくれたのだ。
他人がどう言おうと関係ない。ミゼアスにとっては、アデルジェスが全てだ。
ミゼアスはアデルジェスの頭に腕を絡め、口づけた。
「んっ……はぁ……ん……」
身体をやや後ろに傾けて寝台に腰掛けるアデルジェスの上に、ミゼアスは乗っていた。アデルジェスは片手を後ろについて支え、もう片方の手をミゼアスの腰に回している。
ミゼアスは繋がったまま交わす口づけに夢中になっていた。繋がった部分からゆるやかにわきおこる快楽と、口づけから生じる幸福が身体の中で混ざり合い、内側からとろけて崩れ落ちてしまいそうだ。
つい夢中になりすぎて全身で体重をかけてしまっていたが、アデルジェスはびくともしない。それどころか、いたずらするかのように繋がっている部分を指でなぞられる。
ミゼアスはびくっと身を震わせ、口を離してしまった。
未練がましく、細い糸が二人を繋ぐ。
「やぁん……それ、だめぇ……」
甘ったるい声で抗議するが、アデルジェスは指の動きを止めない。繋がった部分からゆっくり前へと指が這っていく。
「あっ……あぁ……ん……」
ぞくぞくと背筋に甘い痺れが走る。
「前も可愛がってあげたい」
「やっ……それはだめ……やめて……」
「どうして?」
「だって……そんなことされたら、すぐにイっちゃうから……」
「何回でもイけばいいよ。ミゼアスの可愛い顔を見せて」
一度も触れられないまま解放が間近になっているそれを、アデルジェスは優しく包み込む。香油を絡めた指はぬめりを帯びて、ゆるやかに動かされるだけでも突き抜けるような快楽が全身を駆け巡った。
「あっ、あぁ……だめっ、ああっ!」
宣言どおりあっさりと達し、ミゼアスは崩れ落ちそうになりながらも、どうにかアデルジェスの引き締まった腹に両手をついて荒い呼吸を繰り返す。
「可愛いね、ミゼアス」
アデルジェスがミゼアスの頬を片手で撫でる。
ミゼアスが快楽で潤んだ瞳を向けると、今度はアデルジェスから口づけてきた。再び、繋がったまま口づけを交わし合う。
上と下、両方でアデルジェスと繋がりながら、ミゼアスは幸福に酔う。このまま、ずっとアデルジェスとひとつになって、溶け合ってしまいたかった。
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