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第二章 南へ
53.小さなざわめき
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翌日、次の町に向かうために宿を引き払う。
予定よりも長く滞在することになったが、この宿場町もこれでさようならだ。
「町を出る前に、ちょっと寄りたいところがあるんだ」
ミゼアスはアデルジェスと一緒に、フィオンとユアンの家を訪ねた。
「あ……ミゼアスさん……? 旅立つんですか?」
ややおどおどとしたフィオンが出迎える。今日も敬語のままだだった。
ユアンも出てきて、挨拶する。こちらは昨日と様子が変わらないようだ。
「うん、その前にこれを渡しておこうと思って」
ミゼアスはフィオンに紙と封筒を差し出す。
「僕の知っている奨学金のことを書いておいた。参考にしてみて。それと、念のために……紹介状。僕のおじいさまみたいな方に手紙を書いたから、何かあったらこれを持って訪ねていってみて」
今回、ユアンを狙っていた男は警備兵に突き出したが、所詮は下っ端だ。おそらく、あの男からミゼアスが聞いた以上の情報を引き出すこともできないだろう。
ユアンが狙われたのは髪の色のためで、ユアン個人を狙ったわけではないようだった。しかし、もしかしたらまた狙われることがあるかもしれない。
赤味がかった金色の髪は珍しい。持ち主の数はそれほど多くないだろう。そう考えると、ミゼアスは胸に小さなざわめきがわきおこるのだ。
念のため、対策をとっておきたかった。
フィオンは素直に受け取り、手紙の宛先を見て目を丸くする。
「あ……あの……どうもありがとう……。昨日はもしかしたら、あのまま騙されていたかもしれないし……助かりました。……最後はちょっと怖かったけど」
礼を述べながら、フィオンは最後にぼそぼそと呟いて乾いた笑いを漏らす。
「きみには料理を教わったから。思ったんだけれど……もしかしたら、きみは料理の道に進みたいんじゃないかな?」
ミゼアスが問いかけると、フィオンはじっとミゼアスを見つめていたが、ふと視線を落とした。
予定よりも長く滞在することになったが、この宿場町もこれでさようならだ。
「町を出る前に、ちょっと寄りたいところがあるんだ」
ミゼアスはアデルジェスと一緒に、フィオンとユアンの家を訪ねた。
「あ……ミゼアスさん……? 旅立つんですか?」
ややおどおどとしたフィオンが出迎える。今日も敬語のままだだった。
ユアンも出てきて、挨拶する。こちらは昨日と様子が変わらないようだ。
「うん、その前にこれを渡しておこうと思って」
ミゼアスはフィオンに紙と封筒を差し出す。
「僕の知っている奨学金のことを書いておいた。参考にしてみて。それと、念のために……紹介状。僕のおじいさまみたいな方に手紙を書いたから、何かあったらこれを持って訪ねていってみて」
今回、ユアンを狙っていた男は警備兵に突き出したが、所詮は下っ端だ。おそらく、あの男からミゼアスが聞いた以上の情報を引き出すこともできないだろう。
ユアンが狙われたのは髪の色のためで、ユアン個人を狙ったわけではないようだった。しかし、もしかしたらまた狙われることがあるかもしれない。
赤味がかった金色の髪は珍しい。持ち主の数はそれほど多くないだろう。そう考えると、ミゼアスは胸に小さなざわめきがわきおこるのだ。
念のため、対策をとっておきたかった。
フィオンは素直に受け取り、手紙の宛先を見て目を丸くする。
「あ……あの……どうもありがとう……。昨日はもしかしたら、あのまま騙されていたかもしれないし……助かりました。……最後はちょっと怖かったけど」
礼を述べながら、フィオンは最後にぼそぼそと呟いて乾いた笑いを漏らす。
「きみには料理を教わったから。思ったんだけれど……もしかしたら、きみは料理の道に進みたいんじゃないかな?」
ミゼアスが問いかけると、フィオンはじっとミゼアスを見つめていたが、ふと視線を落とした。
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