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37.行き交う手紙
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「いいんだ。遊びだって必要なことだよ。人生、ままならないことだってある。そんなとき、やれることをやりきったら、後はぱーっと遊ぶしかない。暗い気分のままだと、暗い出来事に目がいきやすくなっちゃうよ」
呆れていたアルンが、はっとした顔をする。
「そう、ですね……」
ヴァレンはアルンを抱きしめ、頭を撫でる。
「真面目なのは、きみの良いところだよ、アルン君。ただ、いっつもそれだけじゃあ息が詰まることもあるだろう。たまには息抜きをしないとね」
何も言わず、アルンはヴァレンの胸に顔を埋めて、服をぎゅっと握ってきた。
普段は冷静で落ち着いているアルンだが、やはりまだ子供なのだ。ミゼアスが去ってから一気に大人びてしまったのは、きっと見習いたちの筆頭として張り詰めていたのだろう。
「そうだね……あまり騒ぐような雰囲気でもないし、お話でもしようか。何か面白い物語でも話してあげるよ」
ヴァレンの語りに、見習いたちはすっかり引き込まれたようだった。
声音を変え、大げさな身振り手振りも交えるヴァレンの語りは、実は客にも好評で、夜伽話として望まれることも多い。中には子守唄がわりにして寝てしまう客もいる。
今回は冒険譚を話すとき、せっかくなので後方転回や宙返りなども交えてみた。ほとんど一人芝居だったが、見習いたちは目を輝かせて見入っているようだった。
暗い雰囲気は消し飛んだようで、ヴァレンはほっと息をつく。
夜も更け、見習いたちは笑顔で自室に戻っていった。ヴァレンも就寝の準備をする。
さあ後は寝るだけだと寝室に入ると、どことなく違和感を覚えた。何がどうとははっきり言えないのだが、空気が少し違うような気がする。ヴァレンは警戒しつつ、部屋の中を探ってみる。
すると、寝台の横の卓に紙束が置かれていることに気付いた。それ以外に変わったことはないようだ。
周囲を見回した後、ヴァレンは慎重に紙束へと手を伸ばす。
――夕月花の生態について。
一枚目の紙にはそう書かれていた。驚きに目を見開き、ヴァレンは紙をめくる。
ミゼアスからの手紙といい、どうやら今日は紙に関連した意外な出来事に縁があるようだ。
呆れていたアルンが、はっとした顔をする。
「そう、ですね……」
ヴァレンはアルンを抱きしめ、頭を撫でる。
「真面目なのは、きみの良いところだよ、アルン君。ただ、いっつもそれだけじゃあ息が詰まることもあるだろう。たまには息抜きをしないとね」
何も言わず、アルンはヴァレンの胸に顔を埋めて、服をぎゅっと握ってきた。
普段は冷静で落ち着いているアルンだが、やはりまだ子供なのだ。ミゼアスが去ってから一気に大人びてしまったのは、きっと見習いたちの筆頭として張り詰めていたのだろう。
「そうだね……あまり騒ぐような雰囲気でもないし、お話でもしようか。何か面白い物語でも話してあげるよ」
ヴァレンの語りに、見習いたちはすっかり引き込まれたようだった。
声音を変え、大げさな身振り手振りも交えるヴァレンの語りは、実は客にも好評で、夜伽話として望まれることも多い。中には子守唄がわりにして寝てしまう客もいる。
今回は冒険譚を話すとき、せっかくなので後方転回や宙返りなども交えてみた。ほとんど一人芝居だったが、見習いたちは目を輝かせて見入っているようだった。
暗い雰囲気は消し飛んだようで、ヴァレンはほっと息をつく。
夜も更け、見習いたちは笑顔で自室に戻っていった。ヴァレンも就寝の準備をする。
さあ後は寝るだけだと寝室に入ると、どことなく違和感を覚えた。何がどうとははっきり言えないのだが、空気が少し違うような気がする。ヴァレンは警戒しつつ、部屋の中を探ってみる。
すると、寝台の横の卓に紙束が置かれていることに気付いた。それ以外に変わったことはないようだ。
周囲を見回した後、ヴァレンは慎重に紙束へと手を伸ばす。
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一枚目の紙にはそう書かれていた。驚きに目を見開き、ヴァレンは紙をめくる。
ミゼアスからの手紙といい、どうやら今日は紙に関連した意外な出来事に縁があるようだ。
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