ヴァレン兄さん、ねじが余ってます

四葉 翠花

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13.側にいて

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「おまえ、ひどすぎ」

 甲斐甲斐しく後始末をするエアイールから目をそらし、ヴァレンは長椅子の上にぐったりと横たわったまま刺々しい声を出した。

「こんなやり方するんだったら、もうおまえと寝るのやめる」

「申し訳ありません……あなたがどこか遠くに行ってしまうような気がして……」

 しゅんとうなだれ、エアイールは弱々しく呟く。

「まだ島にいるのですよね? 出て行きませんよね……?」

 エアイールは長椅子の横に跪き、すがるような眼差しをヴァレンに向ける。ヴァレンはその視線を受け止め、ややあって大きく息を吐き出した。

「出て行かないよ。将来のことはわからないけれど、少なくともあとしばらくは島にいる」

「……それならいいです……もう、あなたがわたくしの相手をしてくれなかったとしても……」

 泣きそうな顔をするエアイールの頭を、困ったようにヴァレンは撫でる。

「次はさっきのようなやり方じゃなく、お互い楽しめるようにしような。長椅子の上も、もうこりごりだ。やっぱり寝室がいい」

 これからも関係を続けていくことを匂わせると、沈んでいたエアイールの表情が華やぐ。嬉しそうにヴァレンの手を取り、四つの花が刻まれた手の甲に口づける。
 エアイールは愛おしそうにヴァレンの手を撫でていたが、ふと額をヴァレンの手の甲に押し当てて俯いた。
 ややあって、消え入りそうな声がエアイールの口から漏れる。

「あなたが……何をしていてもいい。情人を囲おうと……恋人を作ろうとも。だから……島から出て行かないで……せめて、もう少しだけでも……側にいてください……」
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