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04.男にしてください
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「お……お願いします! 僕を男にしてください!」
客は開口一番、こう叫んだ。
今日が初回となる客である。
浅く刈り込んだ金茶色の髪は日に焼けているのか、やや薄めの色だった。身体つきは逞しく、角張った顔は無骨そうだが悪くはない。
しかし太い眉はやや垂れ下がり気味で情けなく困っているようにも見え、どことなく弱気そうな印象を受ける男だった。
年齢は二十歳に届くかどうかといったところだろうか。
水色の瞳が必死にすがりつくような色をたたえてヴァレンを見ている。
図体のでかい男を前にしながら、ヴァレンは小動物に命乞いをされているような気分だった。このような目をされては、むげに断るわけにもいかない。
「いいよ、じゃあ寝室に行こうか」
あっさりとヴァレンは答える。
いちおう四花という上級白花であるヴァレンは、本来ならばいきなりの床入りなどするべきではない。
しかし、ああだこうだと意味の薄いやり取りをするのは面倒だ。さっさと済ませてしまいたい。
「え……? い、いえ! そうじゃなくて……!」
客は顔を赤くして、しどろもどろになってしまう。
ヴァレンは首を傾げ、客を見る。『男にする』とはすなわち、童貞を捨てたいということではないのだろうか。
「性交したいんじゃないの?」
「そ、そんな……いえ、したくないわけじゃ……でも、その……それよりも、まずは……えっと……」
わけのわからないことを客はぶつぶつと呟き続ける。だんだんヴァレンはもどかしくなってきた。
パン、と手を打ち鳴らす。
びくっと身を震わせ、客はおそるおそるといった様子でヴァレンに視線を向ける。
「はい、整理してみましょー。まず、男にするの『男』っていうのは、どういう意味かな?」
「えっと……男らしい男になりたいんです」
「じゃあ、あなたの考える『男らしい』っていうのは、どういう感じかな?」
「堂々としていて、決断力もあって……あと、酒と賭博に長けているような」
どうも嫌な予感がした。客が求めているものが何なのか、気付いてしまったのだ。
もはや予感というよりは、確信に近い。
「もしかして……あなたは、俺に酒や賭博を教えてほしいと思っている?」
「そのとおりです!」
ためらいがちに尋ねたヴァレンの言葉に、客は勢いよく頷く。
ヴァレンはそっと額を手で覆った。頭が、痛い。
客は開口一番、こう叫んだ。
今日が初回となる客である。
浅く刈り込んだ金茶色の髪は日に焼けているのか、やや薄めの色だった。身体つきは逞しく、角張った顔は無骨そうだが悪くはない。
しかし太い眉はやや垂れ下がり気味で情けなく困っているようにも見え、どことなく弱気そうな印象を受ける男だった。
年齢は二十歳に届くかどうかといったところだろうか。
水色の瞳が必死にすがりつくような色をたたえてヴァレンを見ている。
図体のでかい男を前にしながら、ヴァレンは小動物に命乞いをされているような気分だった。このような目をされては、むげに断るわけにもいかない。
「いいよ、じゃあ寝室に行こうか」
あっさりとヴァレンは答える。
いちおう四花という上級白花であるヴァレンは、本来ならばいきなりの床入りなどするべきではない。
しかし、ああだこうだと意味の薄いやり取りをするのは面倒だ。さっさと済ませてしまいたい。
「え……? い、いえ! そうじゃなくて……!」
客は顔を赤くして、しどろもどろになってしまう。
ヴァレンは首を傾げ、客を見る。『男にする』とはすなわち、童貞を捨てたいということではないのだろうか。
「性交したいんじゃないの?」
「そ、そんな……いえ、したくないわけじゃ……でも、その……それよりも、まずは……えっと……」
わけのわからないことを客はぶつぶつと呟き続ける。だんだんヴァレンはもどかしくなってきた。
パン、と手を打ち鳴らす。
びくっと身を震わせ、客はおそるおそるといった様子でヴァレンに視線を向ける。
「はい、整理してみましょー。まず、男にするの『男』っていうのは、どういう意味かな?」
「えっと……男らしい男になりたいんです」
「じゃあ、あなたの考える『男らしい』っていうのは、どういう感じかな?」
「堂々としていて、決断力もあって……あと、酒と賭博に長けているような」
どうも嫌な予感がした。客が求めているものが何なのか、気付いてしまったのだ。
もはや予感というよりは、確信に近い。
「もしかして……あなたは、俺に酒や賭博を教えてほしいと思っている?」
「そのとおりです!」
ためらいがちに尋ねたヴァレンの言葉に、客は勢いよく頷く。
ヴァレンはそっと額を手で覆った。頭が、痛い。
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