PrettyGirls(可愛い少女たち)ーレディースバンドの物語ー【プロ編Ⅱ】

本庄 太鳳

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期限付きCM

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麗奈はボイトレはしていたが、なぜか気まずくギターのレッスンには行ってなかった。
みんなで走っていて、あすかが言い始めていた。

「そう言えば、温泉って言ったのに行ってないわよね。どうなってるのかしら。確か吾郎さんだったわよね。聞いてみましょうよ。」

4人は走り終わり朝食を食べると、あすかは9階に上がっていった。

「吾郎さん、温泉の約束忘れてるでしょ?ツアー中に日帰り温泉寄ってくれるって言ったのに。」

「あ 忘れてたわ。じゃ、1泊で行こうか?それで許してくれよ。」

「え 泊まれるの?やったー でも、多分麗奈ギター持ってくけどいいわよね。」

「しょうがないやつだな。いいよ。」

「だって、新垣麗奈だものね。ぜーんぶ知ってるわよ。私達は、今まで通りだから関係ないけどね。麗奈にも言ったのよ。自分から催促して優さんに買ってもらったら怒るけど。優さんが買ってくれるなら甘えたらいいってね。でしょ? どうせ、吾郎さんは麗奈に1番厳しいんだから、それくらい当然よね。じゃ、期待して待ってるわね。」

「貴方、あすかにやられちゃったわね。」

「まいったよな。まぁ、今まで通りだからいいんだけどな。優も、今まで通りでいいんじゃないのか?洋服買ってやったり、親だったら当然だからな。でも、高いのなんて若いから着ても仕方ないしな。」

「ええ 洋服とかは安いのですね。先日、時計とかバッグは一生物だからちょっと高いの買いましたけどね。」

「ああ それでいいと思うな。あまり買い与えても良くないからな。ってあいつ、まだ夏服着てるぜ。しっかりしろよな。5枚くらい秋物買ってやれよな。1枚1万もしないだろ?」

「今、若い子のはとっても安いのよ。冬だって毛皮とかいらなしね。ダウン1枚あればいいんだから。ただね、あの娘脚長すぎて特注なのよね。」

「そんなに長いのかよ。」

「多分、あのウエストとヒップで股下85とかだと無いでしょうね。」

「身体の半分じゃないかよ。モデルだな。」

麗奈もなぜか吹っ切れて、その日からギターのレッスンにも行っていた。
相変わらず吾郎は厳しかったが、それでも吾郎の演奏は素晴らしかったので課題を部屋で練習する日々が続いていた。
ある日、善人に呼ばれていた。 
もう、嫌な予感しかなかった。

「大至急なんだけどな。ある歌手が悪いことして捕まっちゃって。そこのCMが困っているんだよ。」

「どんなCMなんですか?」

「一度やったことあったはずだけどな。あの大手化粧品メーカーなんだけどな。」

「TV見てないので、画像とかあれば。色々とイメージ湧きますけど。音はいらないですよ。どうせ流せないでしょうから。」

「わかった、すぐに取り寄せるから。ここで待っててくれよな。」

事務員さんに、紅茶を出されてお礼を言っていた。

2時間くらいすると、善人は戻ってきた。
会議室で、画像を流していた。
綺麗な髪の毛を掻き上げる女性と、そこに美しい顔が映し出されていた。
女性の唇が印象的だった。

「大体、わかりました。秋物で今のですよね。曲はチョイスしますので、聞いてください。色々と作った曲ありますから。」

善人と別れると、PCと向き合っていた。
今まで作った曲を聞きながら、あの画像に合うものをチョイスしていた。
3時間程して、洋子に再び事務所まで送ってもらった。

「一応、2曲程もってきましたので。聞いてもらえますか?」

2曲とも秋なのに、今までと違って激しい音だった。

「麗奈 秋なんだけど。ちょっと、過激じゃないのか?」

「えっと、画像は使いたいでしょうから。それに合わせました。女性・唇・髪の毛・綺麗な肌、こんなイメージですね。聞いてもらってダメだったら、作りますよ。一緒に行きましょうか?」

「ああ じゃあ、先方に連絡してみるな。」

「一応、アコースティック持っていきますね。それと、この歌詞を人数分コピーしておいてもらえませんか?」

「洋子さん、往復で何分かかりますか?」

「大体、飛ばせば50分くらいですね。」

「安全運転でいいですので、私の部屋のOvation持ってきてもらえませんか?鍵渡しますので。お願いします。」

「わかりましたよ。じゃ、行ってきますね。」

麗奈は事務員さんに聞いてコピーしようとしたが、機械音痴なのでわからなかった。
事務員は、笑いながらコピーをしてくれていた。
ホッチキスを借りて、2個の歌詞を止め始めていた。
善人は、戻ってくると。

「今からでも、是非にと言ってきたけど。」

「今、洋子さんにギターとりに行ってもらってますので後30分で帰ってくると思います。すいません。」

「ああ わかった。じゃ、座って待とうか。」

「しかし、何曲位つくってあるんだ?」

「数えてないですよ。暇なときに作ってますから。私は空想で作詞したりするから、大体は画像見るとわかるんですけどね。多分、前のもそんなしっとりした曲じゃなかったと思いますよ。」

「あの画面だけで、わかったのかよ。凄いな。」

「ただの、感ですよ。」

洋子が戻ってきて、ギターと鍵を渡された。

「社長の車の後ろついていきますので。」

「わかった。じゃ、洋子さん頼むね。」

善人と洋子と麗奈は大手化粧品メーカーの東京本社に来ていた。
会議室の通されると、50人くらいの人が座っていた。

「じゃ、麗奈説明しなさい。」

「REIです。よろしくおねがいします。今回、急遽ということで画像を取り直す期間も無いと思いまして、画像だけ見せていただきました。そして、自分なりに解釈して作っておいたオリジナルの未発表の曲から2曲選んでこちらに持ってこさせて頂きました。まずは。デモを聞いてください。」

善人がデモを流すと、会場がざわついていた。
2曲目は、もっと過激な曲になっていた。

「どうして、秋なのにこんな激しい曲なのかな?」

「そうですね。女性が綺麗だったからですかね。髪の毛・唇・肌・そして目です。ですから、しっとりした歌よりもこっちが良いと思いました。」

「いつもTVとか見てるのかな?」

「全く見たことはないです。すいません。」

「そうなんだよね。前被せたCMの曲しっとりって感じじゃなかったけど。これだと、いかにも真似してるって感じになっちゃうね。2曲目は良いと思うけどね。ギター持ってきてるけど、弾けるのかな?」

「一度も弾いたことないので、少しミスするかもしれませんが聞いてください。」

2曲目を、凡人が聞いたら完璧なほどに演奏して歌い上げていた。

「ちょっと、ミスを5回しちゃいましたけど、すいません。これをエレキでやるので、もっと良い音を提供できると思います。それにバンドの音は最高なので。よろしくおねがいします。」

麗奈は、50人に深々と頭を下げていた。
善人と洋子も慌てて、頭を下げていた。

「それで、これをレコーディングするのに何日かかるのかな?」

「そうですね。今のライブとか全部キャンセルして取り組めば、5日ほどあれば曲は仕上がります。」

「たった5日かな?」

「はい、5日あれば十分ですから。」

「この曲を使う事で意義がある人はいるかな? 時間がないのもそうだけど。前回流してたのより数段いいからね。お願いできるかな?」

「ありがとうございます これから帰って練習してからレコーディングします。絶対日にちは守りますので、約束を致します。」

「どこから、そんな自信が出てるんだ?」

「この頃、チャリティーとかライブとか数を熟しているので、うちのメンバーなら大丈夫です。信じてください。」

「わかった。ちゃんとした曲をつくってくれよな。進藤さん、あんたに頼んでよかったよ。ありがとう。」

「いえ 全部REIですので。それでは帰って取り組ませていただきます。失礼します。」

善人と麗奈と洋子は部屋を出ていった。

「おい 大丈夫なのかよ?5日だぞ。」

「大丈夫ですよ。今のメンバーを信じてくださいね。この頃はライブでも音を外す回数も減ってますから。」

「そんなに外してるのかよ?」

「今年のツアーなんてひどかったですよ。1曲で数回外してましたからね。進歩してるんですよ。」

麗奈は洋子の車でマンションに戻ると、みんなに電話していた。
再び麗奈の部屋に集まると、みんな驚いていた。

「期限は5日なので、練習1日。後はレコーディング3日 ミキサーでの調整が1日になります。みんなならできるって自慢してきちゃいましたー」

「どんな曲なんだよ。」

「えっと、5日間は、ライブとかキャンセルしてもらいました。そして、今から各自のデモ作りますので。部屋にいてくれませんか?出来上がった順番に持っていきます。早いですよ。多分、2~3時間で終るから。」

3人は呆然として、各自部屋を出ていった。
麗奈は、彩香のパートから作っていった。
次にドラムのあすかだった。 
最後は葉月で、結局2時間で全て完成して配っていた。

「さ、走ろうか?」

4人は走りながら、麗奈に文句を言っていた。

「麗奈みたいに天才じゃないんだから、そんな簡単にできるわけないでしょ?」

「結構、リズムとか難しいじゃないのよ。」

「大丈夫ですよ。みんな凄く上手くなってますから、今年のツアーの最初の時よりもね。」

「本当なのかよ?」

「だって、ツアー中は1曲で3箇所くらい外れてたもの、今はライブ1回で3回か4回だしね。」

「麗奈ーーーーー お前チェックしてたなーー」

「でも、麗奈が言うならそうかもしれないわね。」

4人は走り終わるとシャワーを浴びて、洋子のところで夕飯を食べた。
食べ終わると、麗奈の携帯が震えていた。
誰だろうと確認すると、吾郎からの着信だった。

「えっと、吾郎さん。なんでしょうか?」

「お前いいから、早く上に上がってこい。」

返事をする間もなく電話を切られてしまっていた。

「おい 吾郎さん、なんだって?」

「凄い怒ってて、すぐ上がってこいって言われました。」

「じゃ、片付けはいいから。早く言ってきなさいよ。」

「はい ありがとうございます。」
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