PrettyGirls(可愛い少女たち)ーレディースバンドの物語ー【プロ編Ⅱ】

本庄 太鳳

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ブライダルCM

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結局1週間の休みは1日だけゆっくりして、後は仕事をしていた。
その頃バンドが、他のライブやチャリティーに参加するチームが組まれていた。
そんなに器材は必要はなかったが、ドラムやキーボードは運ばなければならなかった。
そのセッティングに4名が選び出され、運転手とマネージャーが2人であった。
計11名でのチームだった。
4人は会議室まで呼ばれて、善人や優が目の前にいた。

「今回、麗奈から聞いた話しだが。全員、これからライブとかチャリティーとか参加するってことでいいんだよな?」

「はい できればと思いまして、よろしくおねがいします。」

「まぁ、スタッフ全員連れて行かれちゃ、会社が空っぽになっちゃうからスタッフは4名つけてやるから。運転手1人とマネージャー2人 お前らとで11名で行動を共にしてくよな。チャリティーだって金にはならないけど、宣伝になるしな。他のグループの生の演奏とか聞いてないだろ?有名なバンドも出演してるからな。色々と勉強にもなるし。手ぶらで帰ってくるなよ。いくらチャリティーだって仕事なんだから、手を抜かないようにな。」

「そうね 楽しんで、みんなで演奏してくるといいわよ。まだまだ新人だからね。先輩のミュージシャンに、いっぱい教えて貰ってきてね。貴女達は、まだまだ学ぶところがいっぱいあるはずですからね。ちょっとした会話とか、楽器の演奏のやり方とか。どんどん質問して身につけて来なさいね。麗奈がちゃんと、それなりの種は撒いてきてるでしょ?」

「はい 一応、バンドで参加することがあったらご指導おねがいしますってみんなに言ってきました。いつも、教えてもらっているので。みんな快く引き受けてくれました。」

「まぁ、バンド活動だけになると麗奈は過密スケジュールになるけどいいな。レコーディングとかもあるしな。みんなの倍は働かないとな。」

「はい 大丈夫ですよ。この頃、レコーディングは2時間位で終わりますので。」

「そんな早く終るのか?手抜いてるだろ?」

「事前に楽譜とデモもらっているので練習していけばいいだけなので、簡単ですよ。自分でダメ出しして、2時間かかりますけどね。」

「他のみんなもスタジオ・ミュージシャンで呼ばれる様にがんばりなさいね。努力次第ですからね。」

「麗奈には、負けませんから。これからがんばります よろしくおねがいします。」

会議は終わり、スケジュールが発表されていた。
7月の下旬で、もう蝉の声も聞こえだしていた。
昼食に洋子の部屋に行くと、ざるそばが用意されていた。
4人は凄く喜んでいた。 
本当のざるそばだった。 
海苔しか上にかかっていなかった。

「あら、ざるそばよ。普通に茹でただけだし。天ぷらとかも揚げればよかったんですけどね。ちょっと、時間がなくって。」

「ざるそばがいいんですよ。天ぷら蕎麦とかって、ちょっとしつこくなるからこれがいいんですよ。いただきま~す。」

4人は、美味しそうに蕎麦を食べていた。
洋子や純也も食べながら、笑っていた。

「洋子さん そう言えば、今度から11人と器材でしょ? どうやって移動とかするのかしら?」

「ええ ツアーで使ってた車は処分したわよ。マイクロバスもね。今は、私が乗ってる乗用車だけね。マイクロバスは処分したってよりも、この1週間で改造したのよね。まぁ、乗り心地は悪いけどね。11人乗れて後ろに器材積める様に改造したのよ。善人さんにお礼を言いなさいね。麗奈が初日に話しを持ちかけたら、色々と手配してくれてたからね。」

「ところで麗奈、結婚式の服は買ったの?」

「ええ 何日か前に知らないうちにデパートの前に着いていて。優さんが、色々と見てくれました。」

「なに買ったの?」

「ドレス1着でよかったんですけど、一緒のを着るなって怒られて2着と靴とバッグとネックレスとピアスとストッキングですね。」

「何色の服なの? 興味あるわね。」

「全部優さんが選んじゃったけど、ピンクと水色です。」

「凄いよな、この頃麗奈お洒落になっちゃってさ。葉月負けてるでしょ?」

「そうね 麗奈には優さんってお母さんがいるものね。負けちゃうわよ。」

「もう、こんないっぱいしてもらって感謝しきれないですよ。もっと、会社に稼いでもらわないといけないから。頑張らないといけないですよね。」

「そうだよね。私達、演奏でしか恩返しできないものね。」

「っていうか、あすか。この頃、恒例のやってないんじゃないの?いつからかしらね?」

「そうだよね。あれは、毎回やらないといけないよね。これから11人でやろうかしらね。」

「そうね、チームだから。演奏するのは4人でも、他の人がいないと演奏なんてできないものね。」

昼食が終ると、4人は片付けをして各自の部屋に戻っていた。
今までのんびりしていた麗奈以外の3人も、恥ずかしい演奏ができないと練習を始めていた。
麗奈は結婚式の曲の最終段階で、色々とアレンジしていた。
洋子が色紙をもってきてくれたので、バンド名と自分のサインを夕方までかかって書いてしまっていた。
走る格好になると、ダンボールを持ってあすかのところに行っていた。

「今日届いたんですけど、私の分は書きましたのでよろしくおねがいします。」

「午後で書いちゃったの?200枚だよ。凄いな。」

「これ書き終わったらラミネート加工しよと思っているんです。加工すると色あせしないでしょ?」

「ああ そうだよね。しかしバンド名がピンクで書くなんてな。」

「だって、最初の頃のバンドの色ってピンクだったでしょ?だから、そうしました。特別限定みたいな感じにしたかったのでね。」

「この色紙自体が特別だろうが、いいよな。この薄い【寿】と緑の縁の四葉のクローバーセンスあるよな。って走るんでしょ?着替えるからみんな呼んでおいてね。」

4人は走りながら、ニコニコと笑っていた。

まぁ体力つくりなので、そんなハイペースでもないので息切れなど1時間走ってもなかった。

次の日から、いよいよ他のバンドとライブだった。
麗奈は慣れていたが、みんな緊張していた。
麗奈に連れられて、色々なバンドにみんなで挨拶しに行った。

「お 会社の許可降りたのか?よかったな。じゃ、辛口でダメ出ししようかな。」

「もう、先輩。最初からそんな脅かさないでくださいよね。みんな緊張してるんですから。こんなみんなと演奏なんて久しぶりなので、地元の時以来ですので。あの時は怖いもの知らずでしたけど、今は自分達の実力が無いのもわかっていますので。お手柔らかにお願いしますよ。」

「わかったよ。みんな仲良くやっていこうな。音楽口論はおおいに結構だから、その時は先輩も後輩もないんだよ。麗奈だって、言いたい放題言ってるんだから。」

「嘘つかないでくださいよ。言ってないですよ。意地悪しないでくださいね。今日から、フルにエレキ使えて嬉しいですよ。」

「Vintage持ってきてるのか?」

「いいえ 会社から、止められてて。持ってきてないです。」

「じゃ、1回でいいから。持ってきてくれよ。良い音聞きたいからね。」

「はい わかりました。社長に相談してみますね。それでは、支度があるので失礼します。」

あすかの号令で11人は輪になって、いつもの掛け声をあげていた。
まぁ今日は5曲ほど、歌わせてもらえることになっていた。
スタッフが器材を色々セッティングすると、4人はステージに現れていた。
いつもよりも迫力ある麗奈の演奏で、共演者もビックリしていた。

「みなさーーーーーーーーーん  こんにちわーーーーーーーーーーーーーーー
今回から、バンドとして色々なところで先輩のみなさんと一緒にライブできるようになりましたーーーーーーーーーーーー
とっても とっても しあわせーーーーーーーーーーーー
会社やこのために結成されたチームのみなさんに感謝してまーーーーーーーーす
歌う事が好き 演奏することが好き 音楽が好き
ただ、それだけです みんなの為にうたいまーーーーーーーーーーーーす
聞いてねーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

ステージで間奏などの間は暴れまわっていた。
アレンジしてても、みんな麗奈の演奏についてきていた。
4曲終了すると、麗奈は空を見上げていた。

「ラストの曲でーーーーーーーーーーーす
まだまだ、凄い先輩の演奏がありますので私達はこれで終わります。
今日はありがとうございましたーーーーーーーーーーーー
いっくよーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

ラストは、Ovationを取り、しっとりと歌い上げていた。
4人は終ると、ステージ前に立ち手を繋いでお辞儀をして袖に下がっていた。
スタッフは、素早く器材を片付けていた。

「おい いつもと違うじゃないかよ。麗奈。」

「あ 麗奈、これが普通なんですよ。全国ツアーでもずっとでしたから。」

「お前ら、あのアドリブ予定に入っていたのか?」

「入っていないですよ。麗奈が勝手に弾いちゃうので。最初はついていけなくて、ギターだけのソロでしたけどね。それでも、この頃やっとついていけるようになりましたけどね。」

「いつから、こんなキレちゃうんだ?」

「えっと、中1の学園祭の頃からですね。もう、10年ですよ。」

「10年も、麗奈に引っ掻き回せれてたんだな。笑えるけどな。でも、お前たちのステージって楽しいよな。こんな大人しい麗奈がステージであんな話すのは初めて見たしな。」

「ええ リーダーは私なんですけどね。ステージでは、麗奈のやりたいようにやらせてますよ。後ろでトーク聞いててみんなで笑ってますもの。」

「麗奈、いいメンバーに巡り会えたな。ソロの時と音なんてまるで違うからな。いつも楽しそうだけど、今日は爆発してたよ。あんな動き回っても、音外してないしな。」

「それでも、ステージ終るといつも麗奈は手厳しく吾郎さんにダメ出しされてますよ。なんとかが、長いとか。私達にはさっぱりわかりませんけどね。」

「あの人は天才だからな。そりゃ厳しいに決まってるさ。だから、お前たちもここまで上がってきたんだからな。無名の新人なんてステージに上がれないぜ。麗奈だから、飛び入りでも受け入れてたけどな。今ので納得したよ。お前らバンドならいつでも、空いてたら参加してくれよな。なんなら、お前たちのツアーの前座やってやろうか?」

「そんな。最初にそんな演奏されたらお客さんが・・・・・・・・・・・」

「冗談だよ。それくらいってことだからな。でも、ドラム3回程ミスしてたよな?ベースは5回 キーボードも3回でもっと良い音でるはずだよ。自分達でわかっているでしょ?」

「あ バレちゃいましたよね。知らんぷりして帰ろうとしてたけど・・・・・」

「まぁな、俺達もプロだからわかるよ。暇な時間に色々な人と交流してアドバイスもらうと良いと思うよ。麗奈なんて大人しいけど、みんなに聞いてるからな。だから、みんな麗奈が好きなんだよ。おじさんキラーだよな。」

「もう、変なことばかり言わないでくださいよね。」

「俺からの提案なんだけどな。みんなに聞いてもらったらどうかな?チャリティーだからお金とか入らないけど、その代わり2時間ステージ任せてやるぜ。その間、ずっと俺達20人が見てるけどな。いい経験になると思うよ。8月の下旬でどうだ?会社と相談してみてくれよ。その時は全部Vintageな。麗奈。」

「こういうのは、あすかさんがなので・・・・・・・・・」

「はい わかりました。、私が責任を持って社長を説得してきます。器材とかは全部こっちで用意するんですか?アンプとか色々ですけど。」

「ああ いつもの音聞きたいから用意してくれるかな? もしかして、新垣さんにも会えるかもしれないしな。俺の憧れの人なんだよな。」

4人は支度をして、次のライブに向かっていた。

「でも、最初は怖かったよね。」

「良い人だったでしょ?音楽と真正面からぶつかってる人ばかりだから。」

「そうだね。8月までに、もっと特訓しないとな。ちょっとのミスもバレちゃったし。2時間だったら、両手でも足りないかも知れないしね。」

「ライブの無い時は下で練習しましょうか?合わせるといいものね。それにうちにも、ダメ出し得意な人が一人いるしね。」

「みんなで、意地悪言わないでくださいよね。でも、チャリティーでトラック出すかしらね?社長の説得が鍵だわよね。」

次のライブでも、色々な人にメンバーを紹介して回っていた。
この日はは3個のライブを終えて、帰ったのは7時だった。
それでもそれから4人は走って、8時半に洋子のところで食事を済ませていた。

次の日練習をしようとしていると、善人から電話がかかってきた。
個人練習に切り替えて、マネージャと共に本社まで出かけていった。

「悪かったな 呼び出して、何してたんだ?」

「あ まだ、あすかから聞いてませんよね?」

「まだだけど、なんか問題があったのか?」

「実は、チャリティーでお金にならないんですけど。いつも共演している人達が評価してやるから、2時間のライブを自分達のいつもの音で聞かせてくれと昨日言われたんです。そうなるとアンプとかも運ばなきゃいけないので、かなりの赤字になってしまうので。社長にあすかが交渉してみますって返事をしました。日時は8月の下旬くらいだったです。ダメですよね?」

「先輩のミュージシャンがお前達の演奏を聞いて、色々評価したり指導してくれるんだろ?反対できるわけないじゃないか。賛成だよ。やりなさい。ところで、こっちの話しをしていいのかな?」

「あ すいません その話しが先でしたね。」

「今度、あるブライダルの曲をと言われているんだけどな。できるかな?」

「えっと、一応曲はできています。姉と弟に贈る曲なので、内緒にしてたんですけど。もう、編曲までできてますので。ただ、ソロで歌う予定だったので、Martinでの弾き語りの様に作ってますけど。アレンジすれば出来上がると思います。」

「じゃ、すぐにでも聞きたいんだけどな。どうかな?」

「えっと、今日は後この後ライブあって。明日の午後3時以降なら持ってこれますけど、ダメでしょうか?」

「ああ 仕事第一位だものな。構わないよ。じゃ、明日の午後3時に待ってるからな。それと、あすかに会社として全面協力するって伝えておいてくれよな。その先輩達にも感謝しなさいよ。」

「はい ありがとうございます それでは、失礼します。」

まぁ優から聞いてはいたが。もう曲ができているとは善人は唖然としていた。
まぁライブとか続けば、作る暇無くなったら困るからだろう。
善人は吾郎に電話すると、チャリティーの事を伝えていた。

「まぁ、あいつらにとってはいい経験になるだろうな。俺より辛口いるんじゃないのか?どんな奴なんだ?お前知ってるだろ?スケジュール見てるんだから。」

「ああ 二組程、俺達がセミプロだった頃の知り合いがいるな。多分あいつらが仕組んでくれたんだろうよ。お前も見に行くのか?」

「まぁ、暇だったらな。お膳立てしてくれたから、礼くらい言わないといけないしな。」

「しかし、麗奈って。あんなに兄弟思いなのか?二次会をライブやるとか、色紙を配るとか凄いぜ。」

「まぁ、麗奈は姉ちゃん尊敬してるしな。弟は1番の麗奈のファンだしな。可愛いだろうよ。俺と優が麗奈を可愛がるくらいにな。」

「お前ら、麗奈を溺愛だものな。特に優なんて見ちゃいられないぜ。」

「あいつも、母親みたいなことしたいんだろう。いっそのこと、養女にもらおうかな。」

「あはは それはいいかもしれないな。あっちの両親が納得しないだろうがな。」

「まぁ、俺のところに来た時から。もう、娘みたいに優は扱っていたけどな。可愛いだろ?イジメてもめげないしな。ありゃ、マゾだぜ。」

「でも、麗奈のことになるとお前達すぐに北海道まで飛んできたものな。」

「当然だろうが。血は繋がって無くても、こっちは娘だと思っているんだからな。」

「俺は、生きた心地しなかったぜ。」

「まぁ、善人には俺も感謝してるしな。お前が社長ってのも満場一致だったしな。」

「それで、結婚式の時なんだけど。あいつら車2台貸してくれって言ってきたんだよな。2日間だけどな。」

「そんなのトラック出せばいいじゃないか。スタッフもだしてやれよ。会場は押さえたのか?」

「150人って言われたけど、そんな場所なくてイベント会場で200人のところを2日押さえておいたけどな。」

「その会場とトラック・そしてメンバーとかの送迎のマイクロバスを会社で出してやってくれないか。俺から、お願いするよ。」

「いいのか?そんなことして?」

「どうせ、トラック動かしたってガソリン代だけだろ?スタッフだって協力してくれるさ。それに、時間とか制限ないから。10人程でいいと思うよ。会場は飾り付けとかしてあるのか?」

「いや、イベント会場だからな。殺風景だよ。一応、テーブルは用意したけどな。」

「わかった、こっちでイベント会場の段取りはしておくから、トラックとスタッフだけ頼んだぞ。」

「ああ わかったよ。親ばかさん 」

次の日ライブが終ると、麗奈はギターを持って事務所まで来ていた。

「あ 社長、ライブ終わったので来ました。遅くなってすいませんでした。」

「ああ なんでギターもっているんだ?」

「一応、デモはあるんですけど。歌とか吹き込んでないので、できれば目の前で演奏してみようかなって思って持ってきました。Ovationですけどね。」

「そっか、そりゃ助かった。じゃ、小会議室の方で聞かせてもらおうかな。優も呼んでくるからな。」

小会議室に入り、マネージャ2人は立っていた。
麗奈はケースからギターを取り出すと、チューニングをして肩にかけていた。
善人と優が入ってくると、吾郎も入ってきていた。

「ええ 吾郎さんもですか?」

「嫌なのかよ 早くしろよな。下手くそ。」

「あ 嫌じゃないです では、弾きますね。」

しっとりした曲調だった。
歌詞は、出会いと季節の流れを歌い上げていた。
サビは、2人の永遠の誓いを素直な気持ちで強調していた。

「えっと、こんな曲ですけど。ダメだったでしょうか?」

3人は、顔を見合わせてしまっていた。

「なんで恋愛経験0の麗奈がこんな詩書けるんだよ。」

「えっと、妄想とか想像ですね。後は、姉や弟達を見ていて感じたことを書きましたけど・・・・・ やっぱり、ダメですよね?」

「いいや 最高だと思うけどな。これって、弾き語りでピッタリだよな。それに、3オクターブくらいだから、裏声出せば。上手い人なら歌えるしな。」

「そうね、下手に小細工するよりもギター1本がいいわよね。大したものよ、麗奈。」

「これ、明日からレコーディングな。スケジュールの合間にやっていくから、ライブと同時進行になるけど、大丈夫かな?」

「はい、大丈夫ですよ。やったー でも、みんなに悪いですよ。ソロでしょ?」

「まぁ、グループでも。1曲くらいはいいんじゃないのかな?なんなら、俺から言ってやろうか?」

「いいえ 自分で言いますので、大丈夫です。お気遣いありがとうございます。」

「優、お前、もう麗奈にギターの腕負けてんだろ?」

「当たり前でしょ?あんた達とやってる時だってキーボードと歌だったんですからね。よかったわ、早くに麗奈に手渡して。」

「じゃ、明日からな。夜もレコーディングあるからな。」

「はい わかりました。それでは失礼しますね。」

麗奈はギターを片付けると、部屋から出ていった。

「恐ろしいよな?あんな曲できちゃうなんて。ブラダル会社に電話入れとかないとな。これ以上のは無理だって言わないとな。」

「多分、初めて弾いたんだろうな。所々ミスしてたからな。あいつにしては、あり得ないしな。」

「本当に、吾郎はシビアだよね。麗奈イジメるのが快感なんでしょ?」

麗奈はマンションに帰ると、夕方前なのに自分の部屋に3人を呼び出していた。
四人分の紅茶を入れてリビングで待っていると、次々に集まってきていた。

「麗奈から呼び出しなんて珍しいよな? 色紙は私は終わったよ。今、彩香に回ってるからね。」

「えっと、2個報告があるんです。1個嬉しい方からです。先日のライブでの提案された2時間のライブは会社が全面的にバックアップしてくれることになりました。」

「いつ、そんな話ししてきたんだ?私がするって言ったのに。」

「ええ 昨日、社長に呼ばれたので。そこで、ついでに頼んでみました。それで、こっちは、悪い知らせなんですけど・・・・・ 聞きたいですよね?」

「どうせわかるんだろ?言っちゃえよ。怒らないからさぁ。」

「えっと、呼ばれたのはブライダル会社のCMの曲だったんですよね。だから、つくってあった生ギターの弾き語りのを一応持っていったんです。後はアレンジすればいいかと思っていたので。そしたら善人さんと吾郎さんと優さんが聞いていて、生ギター1本でレコーディングしろって言われちゃって。なんか裏切る気がしちゃって、ごめんなさい。そんなつもりじゃなかったんですけど。」

「なんだ、そんなことか。いいんじゃないの?別に、麗奈がソロ活動するわけでもないでしょ?バンド抜けるとか言ったら重大だけどね。」

「そんな抜けないですよ。いつも言ってますよ。このバンドの音が好きだってね。あすかのドラム・彩香のベース・葉月のキーボードどれも好きだから。」

「じゃ、どっちもいい報告じゃないの。つまんないなぁー」

「まぁ、本当は兄弟達だけのためで封印する予定だったんですけどね。CDになっちゃいますので、困っちゃいます。」

「でもさ、結婚式の前に流れれば。みんな知ってて、いいわよ。」

「そうだね。あすかの言う通りだよ。お披露目しなくっちゃね。そんな良い曲だったの?」

「普通に作ったんですけどね。恋愛0のお前がよくこんな歌書けたなって怒られましたけどね。」

「どうせ、吾郎さんでしょ?娘が恋愛すると心配するくせにね。あいつ、親ばかだからね。」

「レコーディング終るまでは、ライブやったりレコーディングで迷惑かけますけど、よろしくおねがいしますね。」

「ああ それが終わったら、8月下旬の準備もしないといけないしね。その後は、結婚式の準備もね。9月下旬まで大忙しだよね。」

次の日から、レコーディングは開始されていた。
まだあまり練習もしてないので、吾郎から5日の猶予をもらい自主練になっていた。
麗奈はライブ以外は、曲の練習に取り組んでいた。
天才でもなんでもないのである、ただ音楽が好きで努力してここまで来たのだった。
6日目になりスタジオに入ると、吾郎のダメ出しは何回かあったが。
その日のうちに、ギターのレコーディングは終了していた。
まぁ毎日凛のところで、ボイトレも欠かさなかったので。
後は歌の表現を、どうするかだった。
色々と考えながら、麗奈はそのままベッドで寝てしまっていた。
走りながら、メンバーに進行状況を聞かれたが。

「最初、ギターで弾いたのなんて2回目だったので。呆れられて、5日間練習するように言われて。6日目に1日でギターは終わりました。後は、歌なんですけどね。難しくって。」

「麗奈で難しいってどんな曲なのよ?」

「えっと、四季を取り入れてあるので、それぞれの季節によって歌い方変わるでしょ?春は軽やかなイメージだし。夏は開放的ですしね。秋は寄り添う季節。冬はなんだろうかなって。」

「へー そんなこと考えて歌ってるんだ。ちっとも知らなかったよ。」

「いつもは1曲に春だけとか夏だけだったのでいいんですけどね。後は、絆みたいなフレーズもあるし。今日からなんですよね。凛さんもダメ出し激しいから、怖いですよ。」

「今日は4箇所あるから、やれないでしょ? 帰ったら夕方だよ。」

「夜やるそうです。」

「こっちも負けてられないよね。麗奈が頑張っているんだから。」

「そうね いつまでも、麗奈のお荷物は嫌だからね。」

「そんなお荷物だなんて、思ってませんよ。」

「あんたが思わなくても、世間が思っているのよ。悔しいでしょ?私達だって、少しはプライドあるんだからね。」

4人は笑いながら走り終ると、いつものような生活だった。
今日は4箇所なので、8時にはマンションを後にしていた。
メンバーも日毎に、他の共演者と交流を深めていた。
麗奈は色々なボーカルの人に、助言を貰っていた。

「そっか、今度はブライダルのなんだ。それに四季を入れるなんてな。今度もみんなでだろ?」

「えっと、それが兄弟の為だけに作った歌なのでギター・ソロで弾けるように作ったら通っちゃって、今回はソロになっちゃって、メンバーにも謝りました。」

「そんなの気にしてないだろ?あのメンバーなら。」

「はい、逆に喜んでくれました。私が抜けるなんて言ったら文句言うけどって、言われましたけどね。抜ける気ないですしね。」

「そうだよね。あのバンドは、独特の音出しているものな。マネは出来ないと思うよ。」

「ありがとうございます 私も、バンドの音が大好きなんです。だから、褒められるととっても嬉しいです。」

「そっか、今日は何個回るんだ?」

「4箇所なので、そろそろでないといけないですけどね。」

「俺らより多いじゃないか?まぁ、金稼ぎじゃないけどな。たのしめよー」

「はーい ありがとうございます。」

4人は今日も夕方までスケジュールを熟して、マンションに帰っていた。
いつもの様に走ると、シャワーを浴びて洋子のところで夕飯を食べ終わった。

「じゃ、片付けしちゃいますね。急いでいるので。」

「いいよ 麗奈、行きなよ。ちゃんとやってこいよな。」

「すいません じゃ、お言葉に甘えて行ってきます。」

麗奈が出ていくと、みんなは話していた。

「しかし、いつになっても謙虚だよね。」

「だから、好かれるんでしょ? 今日なんかも、必死で歌い方とか聞き回ってたわよ。」

「良いアドバイスもらえたならいいけどね。麗奈みたいなのは、騙されるから。私達が気をつけてあげないとね。」

スタジオに頭を下げて、麗奈は純也と入ってきていた。

「遅くなりました。すいません。」

「じゃ、入ってね。1回歌ってみてね。」

凛は、1回なんて通しで歌わせなかった。
何度もダメ出しをしていた。

「あのさ 毎日なに練習してるの? 普通に歌って御覧なさい。なにも考えずにね。」

一曲歌い終わると、凛はスタジオから麗奈を呼び出して待合室で座って話していた。

「麗奈はね、いい声してるのよ。下手に感情入れようとしてるからいけないのよ。さっき、なにも考えないで歌ったでしょ?あれが、麗奈の最高の歌声なのよ。ライブでもそうよ。普通に歌いなさい。レコーディング終了ですよ。」

「え まだ、取ってないんじゃないですか?」

「さっきのでよかったから、それにしたのよ。私が良いって言うんだから間違いないわよ。文句あるの?」

「いいえ なんかすんなり終わっちゃって、気が抜けちゃいましたけど。」

「まぁ、麗奈がステージで飛び回って歌ってる時ってなに考えてる?」

「なにも考えてないですね。ただ、楽しいなって思ってるだけです。」

「そうね、それだけでお客様引きつけるのよ。下手な小細工はしないでね。ライブでもスローな曲でも、感情とか入れないで。音楽を楽しみなさいね。もっと、綺麗な歌声が出るわよ。」

「はい ありがとうございました 失礼します。」

次の日善人は出来上がった曲を持って、ブライダル会社を訪れていた。

「今回のは、いつもの彼女達の演奏とは異なりますけど、我社のイチオシですから。まずは昨日出来上がったばかりの曲を聞いてください。」

多くの重役や音楽関係の人が見守る中、音楽は流れていた。

「これって、REIさんだけのソロなんですね。それだけでも評判になるし。ましてや、四季を取り入れてあるので、年中流せますからね。ギター1本でここまでの音が出るんですね。これなら、Prettyさんがイチオシというのもうなずけますね。ばかに早かったですけど、簡単にできたんですか?」

「いえ、REIの兄弟が9月に2組結婚するので。そのために作っていた曲なんですよね。だから、私が話しをしたら。仕方なく出してきたんですけどね。」

「兄弟を思って作ったから、こんな素晴らしい曲になったんですね。じゃ、曲はこれで決まりで。進藤さん、後で2人で話しできるでしょうか?」

「ありがとうございます 時間ならありますので、大丈夫です。」

「みんなこの曲で意義ある人いるかな? 私は良いと思ったんだけど。」

「いや、実に良い曲だと思いますよ。今までにない曲調ですからね。それに、これってREIさんの歌声にしては音域がやけに狭くつくられてるのはみんなに受け入れて貰うためにつくったのかもしれませんね。普通に上手い人なら裏声で歌えますからね。」

会議は、満場一致でこの曲の採用となっていた。

別室に呼ばれた善人は、なにかと思っていた。

「ところで、REIさんの兄弟はどこで結婚するんですか?」

「確か、青山の教会でとか言ってましたね。こっちは、二次会でライブやりたいと言われてトラックまで提供してますけどね。」

「そこで、相談なんだけどね。その式場なら知ってるんだよね。今回のお礼って感じなんですけど。もし貸衣装だったら、こちらから衣装とか提供しますよ。勿論、差し上げます。その代わりってのは、なんですけど。REIさんモデルしてますよね?」

「ええ 一応ですよ。本業はミュージシャンなので。」

「我社のパンフレットのモデルになってもらえたら嬉しいんですけどね。勿論、こっちはギャラは発生しますから、心配しないでください。」

「まぁ、REIもモデルやっているので。使って頂けるのでしたら、こちらかも、よろしくおねがいします。」

「それじゃ、二組の衣装とか聞いてくれるかな?貸衣装だったらキャンセルすればいいしね。こっちは選んでくれた最新のを無償で提供しますので。もう、日にちも迫っているので、早めがいいですよね?できれば今週の土曜日か日曜日にでもと思っていますよ。撮影はスケジュールを開けてくれませんか?こっちから連絡致しますから。」

「はい ありがとうございます REIも、喜ぶでしょう。」

こうして、麗奈の知らないところで話しは進んでいた。
善人は麗奈に内緒で、茉莉子と幸平の元へ向かっていた。

「えっと、私は麗奈の会社の社長をさせてもらっています進藤です。夜分遅くにすいません。」

「いえいえ いつも妹がお世話になっております。なにか、妹がやっちゃいましたか?」

「はい とんでもないことを・・・・・・・」

「え どうしましょう お金で解決って言ってもあまりないですしね。」

「冗談ですよ。今回、お二組の結婚式で披露する曲がブライダル会社のCMとして取り入れられましてね。麗奈自身は、お二人にだけと封印するつもりだったみたいなんですけど。私が無理矢理、引き出しちゃいましてね。」

「そうなんですか。それなら、構いませんよ。私達だけの為だなんて勿体ないですから。」

「そこの社長が、凄く気に入っていましてね。お二組はウエディングドレスとかは、もう買いましたか?」

「いえいえ 私達は安月給ですから、貸衣装ですよ。幸平もでしょ?」

「当然だよ。茉莉子姉ちゃんより、うんと安いもの。」

「よかったです。社長が、ウエディングドレス・タキシードその他、お色直しの衣装までくださるそうです。ですから、貸衣装はキャンセルしていただければありがたいんですけど。」

「そんな高い物を、見ず知らずの私達が貰っちゃっていいんですか?」

「まだ、この事は麗奈さんも知ってないですよ。その代わり、ブライダル会社のモデルをやってもらいますけどね。まぁ、こっちはギャラを頂けるので。衣装の方は社長の好意ですから、受け取ってくださいませんか?なんでも、最新モデルでもなんでもいいそうですよ。男の私はわからないですけどね。」

「断ったら、それこそ失礼ですよね。衣装も住まいも二次会も全部妹の世話になっちゃって。」

「いんじゃないですかね?本人が、恩を売るような事言わないでしょ?」

「ええ そうですね。麗奈の性格だから、なんでもくれるし。」

「まぁ、内緒ですけどね。メンバー全員の色紙を作ってますよ。しかも、オリジナルの色紙を作って制作していますからね。よっぽど嬉しいでしょうね。幸せになってあげるのが1番じゃないでしょうかね?」

「はい わかりました。社長さんにはくれぐれも宜しくお伝えください。ありがとうございます。幸平達は?」

「麗姉がせっかくしてくれたんだから、断れないよ。」

「式も迫っているので、今週の土曜日か日曜日に衣装合わせしてくれたらと言ってましたけど。ご都合はいかがでしょうか?」

「私達は、どっちでもいいですね。幸平に合わせるっわよ。」

「早く決める方がいいから、土曜日でお願いします。何時頃行けばよろしいですか?」

「それでは、10時にお迎えにこさせますので。マンションの下で待っててください。」

「はい わかりました ありがとうございます。ご迷惑かけてませんよね?麗奈。」

「いいえ 助かってますよ。こっちが感謝したいくらいですからね。それでは失礼します。」

善人は、茉莉子の部屋から出ていった。

「しかし、スターが身内にいると凄いよな。」

「よっぽど良い曲できたんでしょうね。いつも、CM作るとギター貰ったりしてたものね。」

「俺達の結婚式の為に全員に色紙書いてもらってるなんて知らなかったし。こんな近くにいるのにね。あんまり会ってないものな。麗奈さんなんて、普通にお兄さんって呼んでくれるし、最初恥ずかしかったけどね。」

「私なんて、年下なのに、今でも詩織さんですよ。お兄さん、ずるいですよ。」

麗奈は、ライブを毎日やりながら過ごしていた。
1日空けるように洋子は言われると、メンバーに明日はオフだと伝えていた。

「そうそう、麗奈さんはお仕事ね。」

「麗奈 今度はなんの仕事なの?」

「今、言われたばかりだし。わからないわよ。ギターいるのかしらね?まぁ、明日の朝ご飯食べる時に聞けばいいわよね。」

次の日、モデルの撮影だった。  
一人で撮影したり、男性と撮影したりだった。
姉たちの前に着てしまって、申し訳ない気がしていた。
麗奈に合わせて、男性も185センチの男性だった。

ヒールを履くと、180になってしまうので男性モデルを探して時間が経ったのだった。

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【Vtuberさん向け】1人用フリー台本置き場《ネタ系/5分以内》

小熊井つん
大衆娯楽
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