PrettyGirls(可愛い少女たち)ーレディースバンドの物語ー【プロ編Ⅱ】

本庄 太鳳

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義人と和解

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とはいうものの、5月の中旬頃には愛知を終了して近畿に入り大阪公演も終了していた。
近畿は残るは兵庫だけであった。  
2ヶ月弱で、北海道から近畿まで突っ走ってきていた。
アニメのCDの売上も凄い売上を出していたが、麗奈達は知らなかった。
5月は、山陰と山陽を全て終わっていた。
6月には四国と九州を縦断して、沖縄には6月下旬に到着していた。
沖縄でも、2箇所4公演をしていた。
公演も全て終了して、後は7月の関東での公演であった。
まぁ3ヶ月と言ったのは、縦断でのツアーであり。
関東は、東京3箇所・神奈川3箇所・千葉3箇所が残っているだけであった。
ここから車でゆっくりと北上して帰るのであった。
宿泊とかはせずに、車で2日かけて帰り。
2日休養の後、公演だった。

麗奈達は、SAエリアでは朝夕走ってシャワーを浴びていた。
食事の時間に走るので、弁当やサンドイッチ・飲み物を買ってから乗り込んでいた。
こうしてマンションに到着したのは、昼頃であった。
荷物とギターを持ち部屋に入ると、麗奈は風呂に入ってゆっくりしていた。
みんなに連絡して、昼食を食べに出かけていた。
こうも3ヶ月ファミレスばかりだと、いささか飽きてきたのが現実だったが仕方なかった。
部屋に戻ると、曲作りに専念し始めていた。
ツアー中も制作していたが、それをPCに取り込んで音などを調節したりしていた。
洋子に頼んで、会社まで車で乗せて行ってもらった。
まずは善人のところに行き、ツアーの報告をしていた。

「社長、ツアー中は本当にご迷惑おかけしました。いつになく、意地になっていました。でも、それで社長の事少しわかってきた気もしています。私達は、社長がいるから今がありますから。本当にすいませんでした。」

「まだ、ツアー終わってないだろ?それに、俺も。もっと麗奈を理解しなきゃな。今回もツアー中に曲とか作っていたのか?」

「え はい。よく知ってますね。大体、10曲程作りましたけど。さっきまでPCに入れたりしてました。後は、編曲したりする作業ですね。」

「そっか、PC役立ってるんだな。そんな地道な活動があるからいつも俺の無理な要求に対処できるんだな。」

「無理なんかじゃないですよ。作るのって楽しいじゃないですか?とっても好きですよ。」

「今度からは、もっとお前の事仕事以外でも知らないとな。暇な時に電話していいかな?スケジュールは見て連絡するから。飯食べに行ったり、色々としたいからな。」

「はい ありがとうございます。それで、社長。お願いがあるんですけど、よろしいでしょうか?」

「厄介なお願いじゃないんだろうな?」

「今、私だけ他人のライブに参加したり。チャリティーライブに出てます。施設なんかにも行ってますけどね。メンバーが一緒に行きたいと言うので、車をそれなりの器材運べる車ありますでしょうか?セッティングとかは、自分でしますから。チャリティーなので、事務所に迷惑かけられないので。」

「ああ なんとかするよ。なんで、そんなにライブするんだ?」

「他の共演者との話しで色々と学ぶことも多いですから、それをメンバーにもしてもらおうと思っています。」

「わかった、会議で議題にしてみるからな。あまり期待しないでくれよな。俺は社長でも、実質の権限は吾郎が全部の権限を持っているんだからな。」

「はい わかりました 取り上げてくれるだけで光栄です。それでは他にも回らなければいけないので失礼します。」

席を立つと善人にお辞儀をして、事務所から出ていった。

そのまま、麗奈は優のところに行っていた。

「優さん、戻ってきました。まだ、ツアー途中ですけど。旭川以外はたくさんのパフォーマンスしてきました。本当に、ご迷惑おかけしました。」

「ほら、座りなさい。今、紅茶持ってこさせるからね。」

接客用のソファーで向かい合って座っていた。 
しばらくすると、紅茶を出されてお辞儀をした。

「そうね。じゃ、大成功だったのね。こわーいおっさんがいたからでしょ?師匠に下手な演奏聞かせられないものね。」

「そうですね。でも、最後までダメ出しされましたけどね。まぁ、練習不足ですから仕方ないですよ。もっと、練習しないと・・・・・・・」

「練習って、まだやっているの?1日、何時間くらいやっているの?」

「毎日、ライブとかありますし。レコーディングで呼ばれたりもするので、夜に3時間くらいですね。後は曲作っているので。」

「まぁ、練習は3時間でも、他でちゃんと弾いているんでしょ?そして、曲も作って。大変よね。」

「大変じゃないですよ。楽しいですよ。お客様の前で演奏するのも楽しいし、曲つくるのも楽しいですしね。家での練習もその日の反省とかで、色々とやっていますから。」

「もう、師匠抜いちゃったんじゃないの?麗奈が教えてあげたら?」

「まだまだ、師匠の足元にも及びませんよ。私の知らないこといっぱいあるから、いつも、教えてもらっていますよ。」

「まぁ、吾郎は、日本一のギターリスト目指してたからね。お父さんの病で断念したけどね。まぁ、今はピンピンしてるけどね。吾郎が善人に怒ってたのよ。麗奈からギター取り上げるなってね。あの人も、当時はギターを欠かさず持っていたから。麗奈の気持ちもわかるのよ。だって、麗奈は上京する前に家で泊まって来いって言われても、2時には家に帰って来ちゃったでしょ?麗奈は、私達の子供みたいな存在だからね。嬉しいのよ。」

「そんな勿体ないですよ。こんなデキの悪い子供なんていらないでしょうし。お二人のお子様なら、きっと素晴らしいミュージシャンになりますよ。」

「それって、違うのよ。才能よりも、この世界は努力ですからね。麗奈は、才能も努力もしてるじゃないの?」

「才能ないですよ。普通ですもの。」

「あら、その絶対音感は?5オクターブ出る声は? それって、才能よ。その才能を活かすか殺すかは、本人の努力次第なのよ。」

「善人さんにはツアーの報告と謝罪をしてきましたけど、後の人は見当たらないので、優さんから、お詫びをしていたと、言って頂けませんか?」

「わかったわ。でも、麗奈。いつも同じ服だけど、洗濯してるの?」

「あ すいません。服とかあまりなくって。季節毎に2着くらいしかないですね。前、メンバーに怒られましたけどね。何年も同じ下着着てるなって。それから1年で交換していますけど。」

「明日、休みでしょ?ちょっと、付き合いなさいね。そうね、午後の1時にマンションまで迎えに行くから、エントランスにいてちょうだいね。それと、麗奈、あの一件でマネージャーとギクシャクしてるでしょ?メンバーとは話しをしてるけど、洋子さんや純也とは話しをしてないって。」

「あ そうですね。吾郎さんからも言われたんですけどね。純也さんは、裏切られた気持ちがあって。」

「でも、吾郎から聞いたでしょ?理解しなさいよね。仲直りして、今までと一緒にするのよ。あんな素敵なマネージャーいないわよ。せっかく善人が引き抜いてきたんだからね。」

「はい わかりました。もう、私は吾郎さんと優さんには絶対服従ですから。逆らえないですよ。」

「じゃ、明日の午後1時に待っててね。私も仕事あるから、これでいいかしら?」

「はい、お邪魔しました 失礼します。」

再び洋子の運転で、マンションまで帰るとお辞儀をしていた。

「洋子さん、ツアー中すいませんでした。いつも、よくしてくださるのに。本当に、すいませんでした。これからも、よろしくおねがいします。」

「こちらこそ、よろしくおねがいします。あの時は、止められない私は、ちょっと麗奈さんに負い目感じてたのよね。スタッフも、みんなわかっているわよ。麗奈さんがいなければ、この会社は動かないのだからね。」

「私だけじゃないですよ。みんなです。メンバーもマネージャーも社長もスタッフの従業員さんもいなければいけないんです。いらない人なんて誰一人いないんですから。私は、みんなに感謝して、その心をステージで爆発させているんです。洋子さんも純也さんも私達は頼りにしているんです。これからも、よろしくおねがいします。失礼します。」

もうすぐ、夕方であった。 
麗奈は着替えると、みんなに電話していた。
エントランスに集まると、4人は走り出していた。
当然純也は、5メートルくらい後ろを走ってきていた。
走り終るとみんな部屋に戻り、シャワーを浴びようとしていた。
麗奈は純也に声をかけて、エントランスで話しをしていた。

「純也さん、確かに最初は裏切られたと憎んだりしました。すいません。でも、吾郎さんから言われたんです。窓開けてたくらいじゃ、ダメになるって。純也さんの取った行動は正解だったんですから。それを、私が逆恨みしてたんですよね。ごめんなさいね。これからも、今までと一緒にやっていってくださいね。」

「あ ありがとうございます。俺は、あれからどうしようかわからなくって、ツアー終わったら辞表提出しようとして書いてあります。」

「辞めないでくださいよ。辞めたら、一生恨みますからね。」

「はい、麗奈さんに言われて。これからも、同じ様にしてくれると思ったら辞める事はなくなりました。」

「ありがとうございます じゃ、上がりましょうかね?」

シャワーを浴びて、洋子のところに電話をかけて今日は夕飯があるのか聞いていた。
みんなに電話して、洋子の部屋に行った。

「純也さんも食べにくるわよね?洋子さん」

「ええ もうすぐ、来ると思いますよ。」

久しぶりの家での食事だった、干物・納豆・冷奴・漬物・味噌汁だった。
4人はニコニコしていた。 
ファミレスは、もう飽きてしまっていた。
純也が部屋に入ってくると、みんなに睨まれていた。

「おそーい もう、こんなご馳走目の前にしてずっと待ってたんだからー」

「あら、これがご馳走なの? 安上がりね。」

「もう、ファミレスには飽きちゃったから。こういうのが最高のご馳走なの。」

「そうそう、やっぱり洋子さんの手料理が1番よね。」

6人はひたすら食べていた。 
もう美味しくてたまらなく、おかわりする人もいた。

「麗奈、珍しいわね。麗奈がおかわりするなんて。」

「だって、美味しいですもの。ダメですか?」

「どんどん食べて、もっと太りなさいよね。痩せすぎなんだから、麗奈は。」

6人は食べ終わると、片付けを始めていた。
純也がやろうとすると、みんなまた睨んでいた。

「男が台所立たないのよ。座ってていいわよ。純也さん。」

「ところで、明日練習どうする?通し演奏しとこうか?」

「えっと、午前中にして頂けませんか?午後は、優さんに呼ばれて出かけるので。それと、みんなもライブ行けるように会議の議題にするそうです。それは善人さんに頼んできましたので。」

「そんなこと、いつやってたんだよ。私達のしらない間に。」

「えっと、午後お風呂入ってから洋子さんに会社まで乗せていってもらって交渉してきました。」

「あすか  リーダーの役目取られちゃったわよ。 ちゃんとしろよ。リーダー」

「わかってるって、麗奈がやること早いのよ。麗奈のおかげで恥かいちゃったじゃないの。まぁ、助かったけどね。」

みんなは笑いながら話しをしてから、洋子にお礼を言って部屋に戻っていた。

「ところで、純也。あんた本当に辞めるの?」

「いいえ 一生ついていきますよ。さっき、麗奈さんに謝られました。こっちが悪いのにね。これからも、今までと同じ様にしてくださいって。辞表書いたことも言ったけど、辞めないでと止められました。彼女たちがいる限り、ここでマネージャーしていきますよ。洋子さん、ご指導お願いします。」

「私達は、良い娘のマネージャーになったよね。私も麗奈に謝られたからね。あの娘、本当は一本立ちできるんだけどね。みんなが好きなんだって、社長・マネージャー・スタッフの従業員、全員好きなんだってさ。あんな土下座させた社長も好きだなんてね。止められなかった、私達が悪いのにね。」

「そうですね。麗奈さんにもプライドありますから、みんなの前で土下座させられて悔しかったでしょうね。」

「まぁ、師匠が謝れって言ったみたいだから逆らえなかったんだろ。あの娘の絶対は吾郎さんだからね。でも、みんなが北海道まで来てくれてよかったよ。ツアーどうなるかと思ったからね。」

「そうですね。ミュージシャンとか、ステージの前にゴタゴタ起こしたら、台無しになっちゃいますからね。」

「その通り。優さんに報告の時は旭川の公演以外は成功しましたって、言ってたよね。自分でも、わかっているんだよね。」

その夜も練習と曲作りに専念してから、0時に就寝した麗奈だった。
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