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CMサバイバル

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各自部屋に戻って、個人練習を始めていた。
3本のギターをどのギターで弾こうか、麗奈は悩んでいた。
吾郎に相談して、曲を聞いてもらったが吾郎も迷っていた。
結論から言われて、今回はMartin1本で演奏が良いと言われた。
そう言われれば当然であった、弾いていても音色が違っていたのだから。
しかし、Martinでアルペジオ・Gibsonでリズム・Ovationでリードも捨てがたいと吾郎は思った。
まぁ、音色が違えば深みがでるのは確かだったが。
そこで、吾郎は麗奈に自分のGibsonを貸した。
エレキと違い、アコースティックのGibsonは癖があった。
アルペジオには不向きだった。
音が太く、低音が響き。ドライな音だった。
すぐに洋子に頼んで楽器屋に行き、ピックと弦を2セット買った。
まぁそこでもギターを弾いて、試してたのだったが。
そしてお礼に、色紙に書いたサインを置いて帰った。

4人での演奏は再開された。
麗奈は、Gibsonで弾いていた。
3日練習してスタジオ入りして、レコーディングが開始された。
練習でも言ってたが、ドラムとベースは優しい音色を出すように言っていた。
夜中までかかり、やっと終了した。 
ここからは、麗奈が仕上げていくのだった。
翌日から、Martinのピッキングを被せていった。
優しく正確に弾いていたが、何度も吾郎にダメ出しを出されていた。
1日かかってやっと、ギターを1本被せた。
次の日は、OvationとMartinを持ってきていた。
どっちでリードが良いのか、吾郎にも聞いてもらい感想を求めた。
やはりMartinの方が良く、リードはMartinでやっていた。
聞いてみると、Gibsonの音が耳障りだった気がして吾郎に言った。
Martinのスリーフィンガーでアレンジした弾き方をしてみた。
途中でメロディーなども、取り入れて弾いていてこれが1番しっくりきた気がして吾郎に話していた。
同意見だったので、そのままレコーディングを続けていた。
次の日は歌を被せ、夜中にコーラスを入れていた。
最終日に音の調整とか細かく注文をつけて、やっと間に合って完成した。

当日は善人と、洋子とメンバー全員で化粧品会社の本社まで向かった。
今、最も売れてる歌手もいてビックリした。
まぁ、半分メンバーは諦めていた。
競合相手は、大手レコード会社である。
しかも、CDなどの売上も凄かった。
歌唱力はイマイチだったが、人気はあった。
順番に提出した楽曲を、会議室で流し始めていた。
2曲共出来栄えも良くて、逆に感動してしまっていた。
麗奈達の曲が流れると、みんなビックリしていた。
いつもの楽曲とは、演奏スタイルが変わっていたからだった。
いつもはパンチが効いたサウンドだったが、今回はしっとりした曲調だった。
しかもベースだけエレキで、後はアコースティックだった。
当日は、そのまま解散だった。 
後日、事務所に合否が発表されると言われた。

まぁいいか、レコーディングの続きでもしようと4人は考えていた。
少しがっかりして、麗奈は昼食をみんなに約束通りおごっていた。

「あんな大物が来るとは思わなかったわ。曲もよかったしね。」

「まぁ、レコーディングの続きもあるから、今日から再開しましょう。」

4人は長い時間かけて昼食を済ませると、車に乗っていた。
マンションに帰ると、吾郎にGibsonを返していた。

「どうだったんだ?」

「えっと、結構有名な人も来てて。曲もよかったですね。今回はダメだったみたいですね。すいませんでした。」

「ああ まだ、結果はでてないんだろ。レコーディングの方しっかり頼むぞ。落ち込んでられないからな。」

手提げ鞄と、レコーディングのGibsonを持ってみんなとスタジオ入りした。
吾郎はみんなを見て気持ちがノッていないので、中止にした。
みんなで、これから半日遊んでくるように言われた。
一旦マンションに帰ると着替えて、みんなでどこに行こうか決めていた。
洋子は、車でマンション前まで来て4人を乗せた。
3時過ぎに、お台場に来ていた。 
4人は初めてで、はしゃぎ始めていた。

「ほら、見つからないようにしなさよ。団体行動ですからね。」

駐車場に車を停めて、5人で歩いていた。

「あ モノレール。あれ乗ろうか?」

「えっと、ここは広いからね。モノレールは移動手段なのよ。後で乗れるからね。」

4人は来ただけで、満足していた。  
カフェで最初から紅茶を飲んだりして、あまり動いてはいなかった。

「あ ホテル。TV局もあるわよ。すっごーい。遠くに観覧車見えるわよね。」

「洋子さん、ありがとうございます やっと気持ちが晴れましたよ。」

「そうね ここまできただけでも十分だものね。」

「あら、乗り物とか乗らなくていいの?どっか回ったりしなくって。」

「だって、やることあるもの。明日の準備しないとね。」

「そうそう、怒られない様に、今日は練習して揃えないといけないしね。」

4人の要望で1時間しかお台場にはいなく、そのまま帰宅していた。

6時前には着いたので、洋子にお礼を言うと部屋に戻り着替えて4人で走った。
シャワーを浴びて、今日は夕飯は無いと思っていたが用意してくれた。
この頃は香織は仕事が忙しいので、大体みんな洋子のところで食事をしていた。

「あんまり期待しないでよ。帰ってきたばかりなんですからね。」

「なんでもいいでーす。洋子さん、料理上手いから美味しいですよ。」

まぁ朝定みたなものだったが、これは好きだった。
納豆・目玉焼き・漬物・味噌汁・干物だった。 
上等だった。
みんな美味しそうに食事をしていた。
4人は2人一組で順番に片付けをすることにしていた、今日は葉月と麗奈だった。
テーブルの上とかは、残りの2人が片付けていた。
お礼を言い、部屋に戻ると楽譜とギターを持って1階に行った。
11時まで音合わせをして、各自部屋に戻っていた。
麗奈もお風呂に入ると、着替えて寝てしまっていた。

翌朝起きるとみんなに電話して走ってから朝食を済ませ、シャワーを浴びるとギターを持って出かけた。
その日のレコーディングは無事終了して、4曲が完成していた。
ここからリードとか重ねていくのだったが、取り敢えずは出来上がった。
明日から1週間くらいで、ギターを重ねていく作業だった。

翌朝、8時にスタジオ入りを麗奈だけしていた。 
吾郎は、血相を変えて入ってきた。
麗奈は驚いて、少し後ずさりしていた。

「おい レコーディングでGibsonの音消しただろ?少し入ってたみたいでな。それと、アルペジオ2本だと物足りないから、1本をリズムにしてくれってさ。そうすれば通過できるって今報告があったんだけどな。期限は、4日なんだよ。できるか?」

「あ、取り敢えずみんなに集まってもらいますね。」

麗奈は、電話でみんなに連絡をしていた。
楽器と譜面を持ってくるように言った。

「えっと、ギターが悪かったみたいで、取り直せば使ってくれるかも知れないそうですけど、期限は4日です。どうでしょうか?」

「やるしかないでしょ? ミスミス誰かに渡すなんてさぁ。」

一度レコーディングしてるので、アルペジオで弾いてる演奏は完璧にできていた。
吾郎からも、3回目でオーケーを貰った。
吾郎には、普通の奏法とカッティングを聞いてもらった。
ここでは、メンバーにも聞いてもらっていた。
譜面で、ここはカッティングとか言われ演奏をした。
色々と試行錯誤して、やっとしっくりと耳に届くメロディーになってきていた。
少し休憩して、麗奈は色々と試していた。
自分なりに、決断して譜面に書き入れると少し休憩をしチューニングするとスタジオに入っていた。
さっきよりも、音色が良かった。 
これで行くと言って、エンジニアさんにマイクの近くで演奏するので音を絞ってくださいとお願いしていた。
演奏を始めていた。歯切れよくカッティングされていた。
吾郎には、ダメ出しをされていた。 
何度もやり直し、夜中に終了していた。
10時半を過ぎていたので、1人でファミレスで夕食を食べて帰った。
2日目は朝食を食べてから8時前にスタジオ入りして、譜面を見つめて書き込んでいた。
吾郎とエンジニアが揃い、リードを重ねる作業に入っていた。
ハンマリング・チョーキングなどを使ってリードを重ねていた。
ここは大事なので、7回くらいダメ出しをされていた。
ベースの音に合わせて、ギターのベース音をハモらせていた。
やっと昼にオーケーが出て、3人と洋子で弁当を食べた。
洋子に3時頃、みんなに集まるように言う様に頼んでいた。

1時から歌を重ねていき。自分でダメ出しをしながら歌い。
3時前には、納得していた。 
吾郎も上出来だと思った。
3人は3時前にスタジオ入りすると、歌は終わっていた。
そのままひとりづつ、重ねていった。
麗奈は音が外れてるとか、ずれたとかうるさかった。
楽譜通り正確に歌うことを求めた。
まぁいつものことなのでメンバーは納得していたが、まるで別の曲のようだった。
結局コーラスで、夜中までかかっていた。

「もう、麗奈って。レコーディングになるとキツイのよね。でも、よくここまで曲が変わったわね。これなら反応あるかもね。」

「色々と演奏方法とかも、変えたりしたから譜面はもうボロボロですよ。」

4日もらった日にちを、2日でクリアしていた。  
時間的には、28時間弱だったが。

「麗奈、洋子さんが作って待ってるから帰りましょうか?」

「そうなんですね。夕飯あるんだ。よかった。」

4人は2人に挨拶をして、スタジオを後にしていた。

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