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日々の練習は、続けられていた。
前回のライブでの観客動員数は、1000人だった。
善人は色々と楽器店やショップを周り、営業をしていた。
無名なので置いてくれても、5枚くらいであり1ヶ月くらいの期限でもあった。
まぁ5万プレスしたので、1万は地元の店頭に置かれていた。
それでも、ライブの時に3000枚は売り上げていた。

売上も伸びず、吾郎達は途方に暮れていた。
そんな時2週間前に取材に来た記者が、大きく雑誌に取り上げてくれていた。
ルックスやスタイルだけではなく、抜群の歌唱力と演奏の本格派バンド発見!!

その名も、可愛い少女【PrettyGirls】 5人グループ。

特にギターはスタジオ・ミュージシャンでも通用すると、絶賛されていたが。
まぁ書かれて嬉しいが、吾郎には褒められた事はなかった。
雑誌の記事はホームページも載せれくれてあり、反響はすごかった。

楽器店などからも注文が来ていた。  
まぁ、プレスはしてあったので郵送していた。
売上も上がってきて、5人は2週間に1日の休養日をもらった。
1ヶ月に1回のライブと2ヶ月に1枚のシングルを出すと、予定を発表された。
都内の各場所で、ライブを開催していった。
缶バッチから始まった特典も、7月には予約のみにポスターが配られた。
また、コンサート会場で購入した人にも提供していた。
5人で休日は、遊びにも出かけていたりした。
まぁ女の子なので、月に一度は個別で行動していた。
麗奈はエステや美容院とかに行ったり、のんびりと公園を散歩もしていた。

まぁ休日でも練習したくて、スタジオ入りしてたのは麗奈だけだったが。
中学から爪割れ防止の為、クリアなマニュキュアもしていて化粧品売り場で買っていた。
ホームページ・CDジャケット・ポスターなどで、次第に顔も覚えられてきて。
店員にもバレてしまい、ピンクのマニュキュアと口紅を勧められた。
休日の昼食は1人で食べるので、普通にファーストフードの店に立ち寄っていた。
気軽に食事をしていても、次第に人が集まったりもしていた。
今は携帯でなんでも発信していて、恐ろしかった。

【PrettyGirls REI原宿のファーストフードで1人で食事中】

そこから、追尾され始めた。
麗奈は行きつけの美容院やエステに寄っては、裏口から出ていった。
いつもの楽器店で弦などを購入して、家路に着いていた。
違う駅で一旦降りると、タクシーでマンションから10分ほどのところで降りていた。
マンションに帰り、ギターを背負ってスタジオで1人練習をしていた。

6時まで練習をして帰宅しても、まだ誰も帰ってきてなかった。
1人で1時間走って、シャワーを浴びて着替えてから香織に電話した。
他の4人はそれぞれ食事をしてきて、夕食を済ませてくると連絡があったようだった。

「あ それじゃ、私も外で食事してきますね。」

「いいわよ。麗奈は連絡なかったから用意してあるから来なさい。」

香織の部屋で、2人で食事をしていた。
今日、買い物とか美容院やエステに行ってきたことを話したり。
大勢に取り囲まれてしまったことなども話していた。

「そんなに有名になったのね。まぁ、悪いことしてないんだから。あまり逃げないで、ファンを大切にしなさいね。戻ってくる時は、事務所に連絡して迎えにきてもらいなさいね。」

「はい、わかりました。今後気をつけます。」

8時過ぎに自分の部屋に戻ると、葉月が帰っていた。
葉月は、今日は1人で水族館とか行ってきた様だった。
麗奈は風呂を沸かして、先に入らせてもらいギターを部屋で弾いていた。

珍しく善人から、次の曲は爽やかなイメージで作る様に言われた。
一概に爽やかと言われても、具体的でないとどうにも困ってしまっていた。
夕食後に善人の部屋に行き、色々と聞いていた。

「お前ギターだけで、今まで作曲してたのか?今は色々なやり方があるんだぞ。例えばPCとキーボー使ったりしてもできるしな。」

「そうなんですか。全く知らなかったです。」

「まぁ、今回はギターで作るとして。器材購入とPC取り扱いを勉強しに毎日教えてやるから、ここに来い。練習時間は、スタジオだけになっちゃうけどな。まぁ、質がよければ問題ないはずだからな。吾郎には、俺から説明しておくから。」

1番お金を使っているのは、葉月だった。
色々なアクセサリーや、高価な時計なども身につけていた。 
お洒落と言えば、あすかや彩香も負けていなかった。
色々な洋服を購入しては、休日に着て出かけていた。
美穂は底なしだったので、吾郎はもっとハングリーになるように親からのカードを返す様に言った。
美穂の収入源はライブでの収入だけになったが、問題ないと思った。
引っ越してから服も買わず、使うのはギターのメンテと弦と美容室やエステの代金くらいの麗奈だったが。
それでも使いすぎてると、思っていた。

善人の部屋で、毎日PCの操作とかを習っていた。
便利なものだった。
思いだして作詞もしていたが、フレーズなどを書き残してもおけた。
善人のPCと作曲用のキーボードの使い方も、教えてもらっていた。
ステージで弾けるほどではないが、弾けることは弾けたので使いやすかった。
麗奈は善人の部屋で、作曲に取り組む日々が続いていた。
8時過ぎに夕飯を終えると、11時半過ぎまで善人の部屋にいた。
この頃、他の4人はTVゲームなどをリビングでして過ごしていた。
麗奈は、少し呆れてしまって美穂を部屋に呼びつけていた。

「美穂。あんたいつも私達と同じ練習時間しかしてないけどいいの?これじゃ、いつまで経っても上達しないわよ。これ以上こんなことしてるなら、元の4人のメンバーに戻すって意見も出すわよ。」

「レッスンもきついですし、少しくらいの自由な時間も欲しいですから。」

「わかったわ、明日にでも集まった時に相談しますね。」

0時になり、麗奈は寝てしまっていた。
美穂はリビングで麗奈に言われたことを、みんなにも報告していた。

「まぁ、そりゃ美穂が悪いわ。ここに来てからでも部屋でも、ずっと麗奈だけは練習してたからね。当然、今の美穂はお荷物でしかないのよ。これだけライブしてて、わからないの?」

「自由な時間とか、みんな欲しくないんですか?まだ、売れてないし。このまま終わっちゃうんじゃないのかって。」

「除々に、CDも売れてきてるし。ほら、このSNS原宿で麗奈がファンに追いかけ回されてるわよ。私達バンドには、麗奈がいるのよ。麗奈がいれば、このままでは終わらないわよ。美穂も、麗奈以上に努力しないと追いつけないわよ。いつまで経ってもね。」

次の日も、同じ時が過ぎていた。 
時間になり、5人は部屋をでてスタジオに入った。
ミーティングで麗奈は、昨日の事を取り上げていた。

「レッスンは、みんな平等に受けてて。遅れてる人は、自宅でも練習するのが普通だと思いますけど。それができないなら、迷惑になるんですけど。みんなの意見を聞かせてください。確かに、自由時間とか大事ですけど。今努力しないと、一生後悔するので。」

「おい、お前ら。まさかとは思うが、部屋でゴロゴロして遊んでねえだろうな。まぁ、見てりゃわかるんだけどよ。楽器持って帰ってる奴いるのかよ。どうなんだ。」

「確かに、麗奈みたいに毎日持ち帰りはしてませんけど、部屋が狭くて電子ドラムでも置けないです。」

「リビングあるだろうがよ。あんなソファーいらないなら捨てちまいな。ドラムそこに置けるだろ。メンバーで、あすかがリビング使って文句言うやついないしな。ベースやギターは持って帰れるよな。違うのかよ。」

「はい、以後部屋でも練習します。すいませんでした。」

「おい、美穂はどうなんだよ。やる気あるのかよ。レコーディング参加しないと、お前だけ給料少ないんだからな。わかってるよな。お前の担当を麗奈が1人で弾いてんだからよお、早く一人前になってもらわなきゃ困るんだよな。美穂の場合、見てるとやる気が感じられないんだよな。プロデビューして達成したって感じでな。他の4人は、プロデビューからスタートしてんだよ。これからできるのか、美穂に聞くけどな。」

「確かに、メンバー入りした時点で達成してました。昨日、麗奈さんに言われても文句言ってました。みなさん、すいませんでした。これからがんばりますので、よろしくおねがいします。」

「まぁ、2部屋借りたから。今後は、あすかと彩香・美穂と葉月・麗奈で使う様に。今日は午前で練習を切り上げるから、午後は引っ越しをするように。」

5人はそれから、練習を午前中してからマンションに帰った。
あすかと彩香はそのままの部屋で、隣に葉月と美穂だった。
麗奈は1番奥の部屋になったが、荷物はさほど多くなかった。
殆ど1人で、1時間もかからずに運び終わり部屋を片付けていた。
麗奈の部屋には、1室デスクトップのPCとノートPCが置かれた机があった。
作曲用の器材も揃っていて、セッティングもされていた。
ギターをギタースタンドに立てかけて、広々とした空間だった。
収納場所には、様々なジャンルの楽曲のCDがたくさん並べられていた。
まぁ便利になったのは、風呂の順番待ちがなくなったことだった。

あすかと彩香の部屋も、一室は練習部屋になっていた。
葉月と美穂も、同様であった。 
葉月は、美穂に言っていた。

「まぁ、あの麗奈があそこまで言うんだからね。でも、見返すつもりでがんばりなさいね。私達の中で1番練習してきたのは麗奈だし、1番上手いからね。でも、最初はとっても下手だったのよ。天才じゃないのよ。努力したのね。美穂も、これからたくさん努力しなさいね。麗奈が言ったのは、このままだと美穂が恥をかくと思ったからよ。ライブで麗奈についていけず、演奏しないなんてあり得ないでしょ?お客さんからしたら、なにやってんだって事になってるのよ。美穂と麗奈の違いは、歌唱力と絶対音感だけどね。これだけは、どうにもならないからね。後は努力して頑張ってね。」

食事とかは、みんな一緒なので変わらなかった。
引っ越しも終わり、片付けも済むとスタジオに入って練習し始めていた。
吾郎達はいなく、1人で黙々と練習していた。
個室では、うるさいので最小限の音量で演奏をしていた。

この頃からメールで香織に、6時にご飯の食べる・食べないを送っていた。
外食の好きなあすかと彩香は、ファミレスが得意だった。
麗奈は実家でも新垣の家でも粗食だったので、満足していつも食べていた。
この引越から、他の4人は走るのを辞めていたが仕方なかった。
善人に頼まれた曲も2曲できて、レコーディングが始まっていた。
PCで作ると、色々な音が組み合わされてできるので編曲などもしていた。
みんなに曲を聞いてもらい、それぞれのパートの意見を貰っていた。
みんながレコーディング中も、美穂は自主練をしていた。
およそ2週間で2曲完成して、ホッとして最後の日はみんなでファミレスで夕飯にした。
マネージャーも独身なので、空いている麗奈の部屋に引っ越してきていた。
まぁベッドは一緒だが、殆ど生活は干渉されなく。
それどころか、途中に休憩だからと言って紅茶を入れてくれたりした。

洋子自身も、麗奈の取り組み方には驚異だった。
朝・夕の体力作り、レッスンを終わると自宅での練習や曲作りに没頭していた。
麗奈自身は、音楽に携わっているのが楽しかったので苦労ではなかった。
麗奈は次第に、洋子と仲がよくなってきていた。
洋子は朝と晩の夕食の手伝いを、香織の部屋でして7人で食事をすることになった。
スタジオも近いので、この頃では各自向かっていた。
みんな新垣の部屋に最初は寄っていたが麗奈がスタジオに着くとメールで、ただ【到着】と送ってきてみんなに空いていると言った。

8月のライブも、殆ど完売されていた。 
ホームページでのチケット売りだった。
この頃は、4000人収容の会場になっていた。
CDだけでもバンドの良さは伝わるが、やはりライブがメインだった。
今回は客席の真ん中に、撮影カメラなどを設置していた。
まぁそれで20席ほど、少なくはなっていたのだが。
この頃は、音楽関係者なども入場してきていた。 
まだ、デビュー5ヶ月目だった。
今回も、新しい缶バッチをCDにつけて販売していた。
いつもの様にアンコールを合わせて18曲を演奏して、ノリノリの麗奈のマイクパフォーマンスもいつも以上に観客を沸かせていた。

会場の内外で、CDは発売されていた。 
今回は、ライブと先行予約で1万5千枚だった。
5日後から、店頭販売がされる予定だった。
この頃、善人は楽曲に合う女性を選考していたが中々見つからなかった。
実は、ある飲料会社に楽曲を頼まれていたのだった。
曲が出来上がると、2曲を聞かせていた。  
1曲をスポンサーが、気に入り採用されることになった。
メインの売れない女優の玉子を、見つけるのに苦労していた。
飲料会社から麗奈の名前が出たが、それはどうかと吾郎に連絡した。
まぁ売れる為なら仕方ないな、演技できなくてよければいいと伝えてくれと言われた。

この頃から、雑誌などの取材も多数寄せられてきていた。
麗奈が撮影で1週間の休みの間に、取材は行われ始めていた。
麗奈は、体調不良で欠席となっていた。
マネージャーの洋子と一緒に、Ovationだけ持って撮影に向かっていた。
慣れない衣装とか色々な仕草とか、俳優ではないので苦手だった。
それでも休憩中は、ギターを弾いて楽しそうに笑っていた。
まぁこの楽曲にも、アコースティックは入っていた。
みんなスタッフは弾いてる麗奈を見ていて少し口ずさんだりもしていた。

「あ それだね。やっぱりミュージシャンだから、楽器持つと笑顔になるよね。下手な演技より、そっちがいいね。撮り直ししよう、最初から。」

衣装もチェンジして、演奏しながら歌って草原を駆けていた。
5回目くらいでOKがでて、撮影は終了した。
麗奈はみんなに挨拶して、ニコニコしながら洋子と立ち去っていた。

「あの娘、大物になるかもしれないですね。なにもかも取り備えていますからね。」

「まぁ、努力したんだろうがな。ルックスとスタイルは親に感謝だな。」

「お気に召しましたか?うちのイチオシの新人麗奈。バンドではギターとボーカル・作詞・作曲・編曲してますからね。この曲も麗奈が作ったのですから。」

「何年やってるんだ?まだ、20前だろ?」

「中1からですから、もうすぐ7年になりますね。本格的には6年ちょっとですけどね。」

「そんな幼い娘が、よくあそこまで弾けたりするよな。」

「まぁ、学生時代から週に50時間は練習してましたのでね。他の古いメンバーも一緒ですよ。今日は、ありがとうございました。また、機会があればよろしくおねがいします。」

「飲料会社の宣伝ってインパクトあるから、売れる様になるさ。もっと活躍できるといいな。期待してるからな。」

善人もお礼を言い、その場から車で走り去っていった。
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