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Gibson59Burst

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それでも、夏休みは半分は麗奈達が部室での演奏をしていた。
去年よりも格段と腕を上げていて、他の部員を圧倒していた。
レベル的には、セミプロの域に達していた。
週50時間の練習や、レコーディングで正確な演奏をさせられてる成果だった。
4人はすでに、学校へは進学もしなく就職もしないと出していた。
三者面談でも、親も後押ししてくれていて問題はなかった。
夏の暑い中も、麗奈は朝と夕方ランニングをしていた。
他の3人も、夕方のランニングをして体力をつけていたのだった。
夏休みは、夏祭の準備とレコーディングとレッスンで過密なスケジュールだった。
今回も部活では、2グループ参加していた。
麗奈達は、特別枠で初日の夕方とトリをすでに任されていた。

夏祭1週間前に吾郎に帰りに呼び止められていた。
吾郎はギターケースを持ってきて、麗奈に手渡していた。

「まぁ、おれの1番いいのから比べても音がいいからな。これからはレスポールはこれを使うといい、もうこれくらいは持たないとな。お前のギター80本は買えるぞ。大切にしてくれよ。一応、ヴィンテージだからな。確か59年のだから音もいいはずだ。これだけはハードに入れて持ち歩けよ。」

「吾郎さん、こんな高価なもの。まだ、私には勿体ないです。」

「ああ そうだな。でも、一生物だからな。大切にしてやってくれよ。メンテもしてあるから、大丈夫だからな。そうだ、お前の今までのCD売上で勘弁してやるよ。これから稼いだのは、お前のものだからな。かなり、お前金持ちなんだぞ。」

「お金あるなんて知らなかったですから、それでよければ嬉しいです。」

「まぁ、普通に練習とかなら今までので十分だからな。ライブとか、これからレコーディングにはそれ使えよ。いいな。」

「はい、わかりました。ありがとうございます。」

麗奈はギターを2本持って、母と帰っていった。
ギターケースも年代物だったが、中のギターは同じサンバーストであった。
Gibson1959Burstだった。
手持ちのGibsonと弾き比べると、比べ物にならなかった。
今回のライブは、これとOvationでいいかと思ってもいた。
夏祭の前に、今一度美穂の演奏を聞いた。 
前よりも、まともだったがまだだった。
少しアレンジすると、付いてこれなかった。
もっと対応力を養うように、あすかから言われていた。
このバンドは、麗奈がアレンジして突っ走るので対応できないと手ぶらになってしまう。
昔のあすか達みたいに、なるのであった。 
ソロが終わるまで、手放しだった。
学祭までの3ヶ月でなんとかするように、美穂に言った。
夏祭では、高校の部で午後1時と3時の演奏だった。

前日は、レッスンの後。
普段通り生活をしてから、レスポールとOvationの弦を張り替えた。
集合は、9時だったのでバスと徒歩で会場に向かっていた。
両方、ハードケースなので重かったのは確かだったが。
9時前に、会場入りして木陰でアイスレモンティーのペットを飲んでいた。
まぁ、ここまで来ると人気があり声もかけられたりもしていた。
キャップを被っていても無駄だったが、暑さ対策にはなっていた。
あすか達も、集まってきていた。

「麗奈、今日はギター2本なのか? 珍しいな。」

「ええ 買ったっていうか譲ってもらったギターの方が断然音がいいから。」

「また、買ったのかよ。おかねもちーーーーーー。」

「ええと あすかさん達も、CD売上とか貯金してくれてるみたいですけど、私の分から購入して、もう私の取り分は0ですけどね。」

「それにしても、麗奈も普通に話す様になったよな。よかったよ。いくらくらいするんだ?」

「えっと、前のギター80本買えるって言ってました。計算すると2000万くらいですね。持ってるだけでドキドキしてますよ。」

「そりゃ、凄いギターだな。それじゃ、今回は普通に登場しよう。ギター持って登場はやばいからな。」

「そうですね。ありがとうございます。」

あすかの家の車にOvationだけ預けて、Gibsonは持って高校生ブースまで行き香織と合流した。
香織も、吾郎が持ってるのは知っていたが実物を見たのは初めてで感動していた。
吾郎はむさ苦しい顔をしているが、どっかの金持ちの次男であり。
幼い頃から金には不自由してなく、腕もいいがギターコレクターでもあった。
みんなは、木陰で談話していた。 
出場するメンバーは緊張していたが、あすかが笑いをとって和やかにしていた。
1年が15人で弁当とお茶を買ってきて、みんなに配って11時に早い昼食にしていた。
12時前には、ステージ裏でチューニングなどを始めていた。
最終チューニングを、麗奈はしてあげていた。 
4人は、参加メンバーのサポートをしていた。
あすかは、恒例の円陣を組んで。

「桜花ーーーーーーーー  ファイト!!」 

天に右手の人差し指を突き上げていた。

セッティングの部員15人を残し、後は客席に陣取っていた。
麗奈達は、後方の座席で見守っていた。 
4月から、演奏経験も豊富でステージ度胸も出てきていた。
ちゃんと、マイクパフォーマンスも出来るようになってきていた。
一組目が終わり、大歓声の中ステージは終了した。
二組目は、一組置いてなのでステージ脇でセッティング15人とグループは待機した。
どちらも、ミスはあったが聞けない演奏ではなく上出来だった。
去年から比べれば、桁違いだった。

二組目が始まると、麗奈達はメインステージ裏に行きセッティングを始めていた。
15時過ぎから、器材を車から降ろしチューニングなどし始めていた。
まぁ、実際に大音量で弾くのはこのギターは初めてだった。
家で、小さな音で聞いてはいたのだがそれでも音色はすごかった。
二組目が終了すると、部員達は半分は片付けをして半分はメインスタジオに来ていた。
もう、17時に出る予定なのにメイン会場は満員だった。
沈黙を破ってのPrettyGirlsの出演だったからである。
1年間、ライブ・CD共沈黙していたバンドの復活だった。
16時になると、ヘッドマイク・イヤモニを装着して4人は円陣を組んでいた。

「さぁ、これでPrettyGirlsの学生時代の集大成です。がんばりましょう。」


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