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第48回桜花祭2日目

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急な事なので、バッテリーなども充電し始めていた。
あすかは、香織に衣装がみんなビチャビチャで着替えがないと言った。
疲労困憊なのは、麗奈だった。  
すでに、あすかと香織が話してる時は寝てしまっていた。
呆れて、彩香と葉月は麗奈を見守っていたのだが。
30分ほどして麗奈を起こして、部室に行き。
説明して、制服に着替えさせた。
4人は二組になって、お互いの身体をタオルで拭いてから制服に着替えた。
14時過ぎに、演奏場所に案内された。   
いつもは、ここは生徒の通用口であった。
髪を解き、ヘッドマイクとイヤモニをセットした。 
3本のギターも、チューニングした。
ステージと言っても、少し高くなってるだけの低い階段で4段である。
ステージから5メートル前方に線が引かれて、みんな学校が用意したブルーシートに腰を下ろして待っていた。  校舎も、ここは立ち入り禁止にされていた。
夏の高校生のブースのお客様以上にあつまっていた。
高校なので、中学と違いアンプもスピーカーも大きくこれなら聞こえると思った。

ドアが開けられ、ドラムのあすかから出ていき叩き出していた。
再び、ドアが開きベースの彩香は弾きながら出ていった。
葉月は、いつもの様に頭の上で大きく手拍子をしながら出てきて大きな歓声が起こった。
麗奈は奥から歩き出し、ギターを普通に弾きながら近づいてきた。
扉を部員に開けられて、登場すると演奏しながらお辞儀をして歌い出した。
4人の演奏は、リズミカルで軽快な音を奏でていた。
客席とステージの差が無いので、麗奈は歌いながら客席まで近づいていた。
いつもは、ステージ衣装の彼女達が制服姿で演奏してるのが新鮮だった。
あの制服だと、窓から淋しげに外を眺めてる姿しか知らなかった麗奈の躍動に観客は見入っていた。
まぁ、あの時間が唯一作詞とかする時間だったのであるから。
話しかけられなくて、麗奈は助かっていた。
麗奈達は、1時間半のライブを終了した。
校舎の2階や3階から、窓を開けて聞いている人も大勢いた。
1日目であったが、桜花祭始まって以来の観客動員数だった。
SNSなどで、2回のライブがあることが知らされると。
他の近隣高の学祭からも、大勢の人が流れてきていた。
16時にライブは終了し、大歓声の元幕を閉じ。
麗奈達は、17時には器材を片付け帰宅していた。
ステージ衣装も制服もビチャビチャで、仕方なくジャージを着て4人は帰った。
ギターとバックを持ち、衣装と制服を入れた大きな袋も持っていた。
電車を降り、帰り道にクリーニング屋に寄ったが明日の朝までには無理だと言われた。
それでも出さない訳にはいかないのでだして、家に帰り。
衣装を洗濯すると、シャワーを浴び家を出た。

もう、クタクタだったがレッスンはサボれなかったので新垣の家に向かっていた。
リビングに通されて、今日の反省点など言わされた。
今日はボイトレは無く、少しのギター練習で終わり9時に母と帰宅した。
食事をし、風呂へ入ると母に明日どうしようかと相談し始めていた。

「お母さん、今日2回あったから衣装も制服もビチャビチャで・・・・・・・」

「帰りはなにで帰ってきたの?制服のままなの?」

「ジャージで帰ってきました。」

「じゃ、ジャージで明日は行きなさいね。衣装は洗濯機に入ってたから乾かしてあるわよ。明日の朝には乾くから、明日は2枚持っていきなさいね。それとスポーツタオルもね。」

疲れたので、麗奈は1時間練習して1時間勉強をして0時に寝ていた。

翌朝いつものように、起きてジャージに着替え。
下着も衣装も2セット持ち、ギターと母に借りた少し大き目のバッグに荷物を入れて家を後にした。
昨日も1日目が終わると、学校側も会議が行われていた。
プログラムの2日目は、軽音は15時からの演奏になっていたのである。
話し合いの末、10時スタートとして。
17時から、昨日の様に演奏させることにした。
昨日は、無理をさせて2時間少ししか休憩を与えなかったからだった。
場所は、今回は校庭でやり最後は学祭のエンディングを任せた。
香織は、彼女達の今までのライブ演奏を吾郎に歌だけにさせて2枚のCDを作ってもらった。
校内には、2日目の朝から彼女らの演奏が流れていた。
講堂以外の全てのスピーカーから、少し控えめな音で流された。

登校した、麗奈もびっくりしていた。  
なによりも、ジャージで登校していて注目を浴びていた。

「田中さん、どうしたの?ジャージで登校なんて。」

「えっと 昨日ので衣装も制服もビチャビチャになってこれしかないので。」

「そんなに汗かくんだね。今日もがんばってね。」

いつも話したことのないクラスメイトからも、声をかけられていた。
部室では、葉月以外もジャージで笑っていた。 
葉月は、着替えがあるのだろう。
香織が部室に入ってきて、部員に説明すると慌ただしく準備を始めた。
今回は緞帳を下ろすので、4人同時の出演となった。
ホームページでも、昨日の夜7時には予定変更を知らせてあった。
10時と17時で 、17時は校庭でフィナーレまで受け持つと書いてあった。

父兄などは、随時チェックしてて。
お互い、連絡を取り合っていたので知っていた。
あのバスでフェスタへ行ってから、意気投合してた父兄だった。
4人の父兄は、誰かが早く行くと。
来る人数がわかっているので、場所取りをしていた。
時間もあまりないので、講堂まで器材を運び。
邪魔にならない人気のないところで音合わせや、ヘッドマイクの取り付け・イヤモニなどして。
それらの器具も、チェックした。
最終チューニングも終わり、部員は円陣を組みあすかの恒例の掛け声を高らかにあげていた。 
青空に、18人の人差し指が向けられていた。
前の部活が終わると、緞帳が下ろされていた。
時間変更にも関わらず、講堂は超満員のお客様で埋め尽くされていた。
緞帳はそのままで、あすかのスティックの音から演奏はスタートしていた。
歓声があがり、幕が少しづつあがると歓声は悲鳴に変わっていた。
1時間の演奏が終わると、4人はステージ中央で挨拶をし。
部員を呼んで、みんなで挨拶をしていた。 
4人は、袖に手を振りさがっていった。
挨拶した部員は、そのまま器材を片付け始めていた。
大歓声と惜しみない拍手の中、学祭の演奏は終了し。
みんなで部室まで器材を運び、昼食にしていた。
4人は衣装から下着からビチャビチャで、更衣室で全部脱いでタオルで拭いて着替えた。

部室に戻ると、いつもの様に隅で麗奈は寝入っていた。
他の3人は別だが、麗奈の体力の無いのには香織も困り。
これからのスケジュールを、変更することにした。
香織は、14時半まで休憩させると麗奈も起こさせみんなを集めた。

「ラスト、校庭での演奏になります。桜花祭フィナーレをこの軽音が受け持つことになりました。ラストの曲は【君はロックを聴かない】にしました。譜面とCDはあるのでこれから練習してください。それと、歌詞などはみんなに配るよう昨日500枚作りましたので。後2時間で4人は仕上げてください。 そして、メンバー以外も歌詞を覚え歌ってください。マイクをお客さんに向けても構いませんからね。一緒に歌う為にこの曲にしましたので、あえてコピーにしました。気合入れていきましょう。」

部員は知ってる者は知っていたが、麗奈は知らず聞き入っていた。
2回程聞くと、4人は譜面を見ながら演奏を始めていた。
相変わらず、香織のダメ出しで何回も途中で演奏を止められていた。
16時になり、器材を運び始めていた。 
麗奈は納得できずにギターを鳴らしていたので、時間までそのままにしておいた。
16時半頃、誰もいないのに気がついてオロオロとしてると葉月が迎えに来た。

「納得できたの? 大丈夫?」

「ええ なんとかなります。ちょっと間奏とか考えてたから。」

2人は校庭まで向い、ヘッドマイクとイヤモニをつけ3本チューニングをした。
部員達は、校庭の生徒・父兄・来賓などに13人で歌詞を配っていた。
500枚は、アッと言う間に配り終えていた。
ラストは、香織のサインで歌う予定だった。
時間、関係があるからだった。
学祭のフィナーレは大体、18時と決まっていた。

17時、4人は手を振ってみんなの前に現れた。
校庭の1箇所からライトが当たり、ステージに見立てた場所を照らしていた。
全員配置に着くと、演奏して歌い始めていた。
観客と一体になり、麗奈などはお客様に近づき歌っていた。 
みんなの目の前で速弾きしたりチョーキングして盛り上げていた。
多くの曲を歌い上げ、マイクパフォーマンスもいつもの様に麗奈が繰り広げられていた。

「さいこーーーーーーーーーーーーーーーーー
桜花祭ラストのフィナーレでーーーーーーーーーーーーーーーーーす
みんなーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  
お手持ちの歌詞をみてねーーーーーーーー
歌詞のない人には、見せてあげてねーーーーーーーーーー
知ってかなーーーーーーーーーー【君はロックは聴かない】
知らない人も、覚えてかえってねーーーーーーーーーーー
部員達も歌いまーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーす
マイク向けられたら大きな声でうたってねーーーーーーーーーーーーーー
ラストーーーーーーーーーーーーーーーー  
いくよーーーーーーーーーーーーーーー」

全照明が、明るく校庭を照らしていた。
ギターの激しい音と、ベース・ドラム・シンセの演奏が鳴り響き麗奈は歌い始めていた。
部員達は、歌いながらみんなにマイクを向けて回っていた。
間奏では、原曲の演奏ではなくアレンジして全開でギターを弾き始め。
麗奈は駆け回っていて、みんな大歓声をあげて悲鳴も聞こえていた。
歌い終わり、部員は並びお辞儀をすると。

「ありがとーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
最高の桜花祭でしたーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
来年もまってまーーーーーーーーーーーーーーーーーす  
ばいばい さようならーーーー」

麗奈達は、校舎に消えていった。  
器材を片付け、再び着替えてジャージにギター2本持ち大きなバックを持って帰った。
すでに、夜の7時を過ぎていた。  
家にこのまま帰ると、レッスンできないので。
そのままの格好で新垣の家に行き、笑われたが1時間レッスンをして母と帰宅した。
この日は、葉月はレッスンを休んでいた。






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