PrettyGirls(可愛い少女達)ーレディースバンドの物語ー【学生時代とセミプロ時代】

本庄 太鳳

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次の日は、小さなバッグだけで学校に向かっていた。
8時に集合すると、あすかの家の車から器材を下ろしていた。
9時に片付け終わると、香織に鍵を返し。
校門であすかは、みんなに声をかけていた。

「みんな、夏祭。無事終了です。サポートの皆さんありがとう。来年は一緒に出れるといいですね。練習や勉強もちょっとして、オータムフェアーと学祭に向けてがんばりましょう。本当にありがとう。良い、夏休みを。解散します。」

麗奈も、一度家に帰ると言った。
麗奈は、Ovationの弦を買いに行くことにした。
この前と同じでいいと思い、3セット買い、消音器も買った。

「俺も聞きに行きたかったけどな。店あるからな。成功したか?」

「自分では良かったと思っても、いつも終わると吾郎さんに怒られます。」

「まぁ、あいつが怒らなくなったら見限ったか、吾郎より上手くなったかのどっちかだからな。気にすることないよ。辛口だからな。」

店を後にすると、帰宅していた。
途中で秀一が女子と歩いていたので、素通りしていた。

「おい、麗奈。無視するなよ。」

振り返って、2人にお辞儀をしていた。
早く帰りたかった。

「これから、お茶するんだけど一緒に来ないか?」

「いえ、用事があるので遠慮しておきますね。」

「用事って、なんだよ。デートか?」

「違いますよ。レッスンなので、もう行かないと怒られます。」

「何時間練習してんだよ。観客、独り占めにしちゃってたけどさぁ。」

「これから、夏休みは大体1日14時間くらいですよ。学校ある時も7時間くらいですかね。それでは失礼しますね。」

麗奈は秀一と別れて、家路に着いていた。

「ねえ、秀一。あの娘だれなの?」

「同じマンションの幼馴染だけどな。もう、人気者だよ。」

「普通に、可愛いだけじゃないの。それで人気あるの?」

「まぁ、お前も今年の桜花の学祭行くといいよ。俺らの演奏なんて、足元にも及ばないからな。女なのにド迫力だからな。」

「へぇー あんなおとなしそうなににね。隠れヤンキーかしらね。」

「真面目だよ。ステージだけ人が変わるんだよな。」

麗奈は急いで帰り、ギターを持って家を飛び出していった。

「おい 遅いぞ 下手くそ さっさと用意しろ。葉月来てるぞ。なにやってたんだよ。」

「えっと、弦を買って。アコースティックの消音器買ってきました。」

「お前、いい加減カポタスト使えよ。使えばもっと楽だぞ。ただ使う曲は限られてくるけどな。D♭とかのアルペジオは音が出ないだよ。SHUBB C-1これやるから、使ってみな。」

「はい ありがとうございます。」

「それとアルペジオ下手くそだな。どうしたら、あんな下手に弾けるのか不思議だわ。カポは使わない時はヘッドに挟んでおくといいからな。ボイトレは後にしてギターから始めるからな。」

こうして、夏休みの残り2週間は地獄の特訓が続いた。
この頃、小さな街の夏祭の動画を誰かがSNSで発信してかなり話題になっていた。
携帯は、電話と教えてもらったメールだけと思ってる麗奈には騒ぎは届いてなかった。
夏休みも終わり、ストラトだけ背中に抱え鞄を2個持って登校していた。
職員室で鍵を借り、器材庫にギターを置いてきていた。

2学期は、体育祭とか学園祭があった。 
行事が、いっぱいだった。
学園祭はいいが、運動は普通なので幼稚園の頃からあまり好きではなかった。
いつオータムフェアーがあるのだろうと、麗奈達は思っていた。
秋に向けて、新たに曲も作られていた。
歌詞などは、殆どが麗奈の妄想の中からの夢物語だった。
この4人には、練習ばかりで恋愛とかの経験はまるで無かったのであるから。
ロマンチックな乙女の夢物語が、題材となっていた。
9月下旬には、体育祭が開催されていた。 
運動は苦手なので、みんなと出る競技だけだった。
あすか達は3人で楽しそうだったが、麗奈は一人ぼっちでいた。
高校の体育祭は、たくさんの来賓とかお客さんが来ていた。
あちこちで、カメラとかビデオで自分の娘だろうか撮影していた。
携帯だろうか、それでも撮影をしていた。 
麗奈など写真とか、撮ったことはなかった。

体育祭が終わり、数日後に4人は香織に呼び出されていた。

「あんた達、自分の写真撮って配信してるでしょ?携帯持ってきなさい。」

4人は、クラスに戻り携帯を持ってきた。
あすか達は色々な機能を使って、電話登録も多かった。
葉月は、少なめだった。
麗奈の携帯を見て、香織は爆笑していた。

「ねえ、麗奈。クラスの友達の電話番号は?」

「えっと、あまり話ししてないので聞いてませけど必要ですか?」

「まぁ、必要じゃないけどね。あんた電話もかけてないし、かかってこないし。お母さんだけ毎日ね。使い方知ってるの?」

「はい、電話とメール覚えましたよ。それだけでいいから。」

3人も、笑っていた。
職員室でも、先生方が笑っていた。

「ほら、佐藤先生。思い過ごしですよ。誰かが隠し撮りして乗せたんでしょうね。こんなのは、調べさせればすぐわかりますけどね。」

「今、大騒ぎになってるのよ?知ってる?」

4人は、首を傾げていた。
まぁ、3人は薄々感づいていたが麗奈だけは全くわからなかった。

「誰かが夏祭のライブを流しちゃって、そこからアイツラはだれだから始まり。あんた達の制服姿とか、日常の様子とか先日の体育祭の写真とか動画も流されてたのよ。」

「まぁ、佐藤先生。彼女達がやったんじゃないから。こっちで流してた犯人をつきとめて行きましょう。知り合いに、そっち関係に、強いのもいますしね。」

「まぁ、見張られてると思って慎重に行動しなさいよ。」

「はい、すいませんでした。」     

4人は頭を下げて、職員室を出た。

オータムフェアーとは、今年から開催される近隣10個の街で合同で開催されるイベント。
当然、前もって出場することを決めて書類は提出してあったが。
この騒動で。香織は出場辞退も考えていた。
職員会議でも、議題にあがって辞退を言っていた香織だったが。
他の職員から、本人が悪い訳でもなく成績も優秀な彼女らを辞退させるのはどうかとの意見も出ていた。
まぁ、オータムフェスティバルが正式名称ではあったのだが。

SNSでは、人気投票など4人の知らないところで行われていた。
演奏・私生活・ルックス・スタイルの4部門で葉月がトップだった。
僅差だったのだが。
麗奈は、根暗とか無口と書かれていて。
他ではダントツだったが、総合はビリだった。
部費は、オータムフェアへ参加するためマイクロバスの料金などに当てられていた。
土曜から日曜の夕方まで演奏があり、移動の為使うのだった。
高校生からセミプロまで参加する、これには吹部も参加できた。
これだけの騒ぎになると、孤立していた麗奈の周りにも人が集まってきていた。
今まで話したことも無い、女生徒に電話番号を聞かれたりもしたが。
香織に4人は注意されていて、番号は教えてなかった。

新聞部の取材などもあったが、顧問の許可を得てくださいと言った。
仕方なく、部活開始の30分間4人と顧問で応対に応じた。
殆どは、あすかと香織が話しをしていたが。
書かれた事は、バンド歴3年・演奏歴3年・動機・オリジナルの曲数・練習量・彼氏歴などだったが。
彼氏歴は、香織がノーコメントにしていた。
そして、将来の夢などもあった。
3日後、学校新聞の号外が出されていた。

【Pretty Girls 特集】だった。 

少し過大な評価で書かれていたが。

結局、最初にSNS発信したのは観客だったが。
校内の様子とかは、1年の6人だった。 
彼女らは呼び出されて、キツく怒られていた。
校内、携帯禁止の規則なので当然であり。
隠し撮りは、犯罪でもあったからだった。
騒ぎも2週間もすると収まり、オータムには出場ができた。
その間にも、激しい学校とレッスンと自宅練習は欠かさなかった。
オータムは、テスト期間中なので4人は勉強も欠かさなかった。

オリジナルも、なんとかできて演奏に力を入れていた。
心配なのは、テスト期間中で音合わせがフェスタの前にできなかったことだった。
まぁ、いつもは流して10回以上は練習してるのだが。
今回は、8回しかできなかった。
無理を言い、出発の土曜日に2時間練習の許可を貰った。
出番は、土曜日の夕方なので。
早朝の8時から10時まで練習をして11時前に学校をみんなで出ることにした。
50点未満にならないよう香織は忠告をし、全員17人を連れて行くことにした。
この街から、車で2時間弱の場所だと聞かされていた。
前日まで、テスト期間中なのでレッスンはいつもよりも長く。
9時に新垣の家を出ると、母と共に家路についていた。
食事を済ますと風呂に入り、脇毛処理もしてゆっくりと湯船に浸かり手首の運動をしていた。
部屋に行こうとすると、母に父や弟のいないダイニングに呼ばれた。

「麗奈、何日に1回手入れしてるの?脇毛は。」

「えっと、2日か3日ですね。」

「お姉ちゃんもやってたけど、面倒でしょ? 次の夏までに永久脱毛しちゃいましょうか?」

「そうなんですけど、まだお金が貯まってないので。働く様になってからでもいいかなって思ってます。」

「まぁ、お母さんに任せなさいね。今は、まだ自分でやってなさいね。見えたら恥ずかしいでしょ?麗奈はみんなに見られてるんだからね。ほら、早く寝なさい。」

まぁ、今は関係ないかと勉強を2時間すると2時間練習をして2時前に就寝していた。






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