PrettyGirls(可愛い少女達)ーレディースバンドの物語ー【学生時代とセミプロ時代】

本庄 太鳳

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Ovationとの出会い

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やはり高校の部活の練習は、ハードだった。
放課後から、6時まで演奏させられて。
家に着いたのは、7時前で急いで新垣の家に行った。

「おお  初日から絞られたかな?香織の練習はきついだろ?」

「あ そうですね。知らない今の曲とかをできるまで何度も演奏させられて、やっと100点満点の10点でした。」

「これからは、9時までだな。麗奈も、電話して迎えに来てもらいなさい。」

1時間はボイトレをやり、後はギターの練習だった。
母に連絡して、迎えに来てもらい2人で帰った。

「お母さん、すいません。迎えまで頼んじゃって。」

「近いからいいわよ。でも、毎日よね。協力するから、頑張りなさいね。」

父も帰っており、挨拶をすると。
ギターを置いて、1人で夕飯を食べた。
片付けをして風呂に入ると、もう10時前だった。
ギターの練習を2時間すると、今日の復習とかをして予定を鞄に詰めて。
1時に寝た。
毎日、こんな生活が続くのだろう。

新一年生ていうか、同級生なのだが。
13人、入部してきていた。
毎日麗奈達の練習を見学して、みんな入ってきたのだった。
1人は2日目から、ギターを抱えて入部してきた。
そこそこの腕前だった。 後の12人は本当の初心者ばかりだった。
13人は、譜面の読み方から教えられていた。
慣れると速読も出来るようになるのだが、みんな指で謎っていた。
麗奈達は、相変わらず。
次々と知らない曲を演奏させられて、ヘトヘトだった。
ロック系なら、意外としってるのだが。
みんな、ジャンルが違っていた。

香織が選ぶのは、みんなが知らないフォーク系の曲が多かった。
しかも、男性歌手の歌も混じっていて麗奈も苦戦していた。
こんな練習が、5月下旬まで続いていた。
まぁ、新垣のところでは色々と教えて貰うのでいいのであったが。
学校で、教えてもらうのは4人は初めてだった。
他の13人も、楽譜とか読める様になり色々な記号も理解していた。

あすかも、父が休みの土曜日にドラムを運んでくれて4月下旬からマイドラムで叩いていた。
ピンクのドラムとバスドラムには、Pretty Girlsと大きく書かれていた。
ドラム希望者とギター希望者は多かったが、シンセやベースがいなかった。
香織は、色々とテストをしていた。
まぁ、麗奈達はどんなテストなのかはわからなかった。
ドラム3・ベース3・ギター7で決まった。 
本人たちも、納得していた。

今後の活動内容も、発表された。 
夏の祭典・オータム祭・学園祭・クリスマスライブ・年越しライブだった。
春はもう、終わってしまっているので敢えて言わなかった。
ここに参加できるのは、香織が選んだバンドを出場させると言われた。
夏などは、今までの経験上。
何組も出場できるが、デメリットも多かった。
自信損失だった。 
その点、学園祭は気軽だった。
夏・オータム・学祭は、麗奈達1バンドが選ばれた。
その間に、各自練習をして。
香織の判断で、グループを振り分けて。
早ければクリスマスまでにと、言っていた。
麗奈達に、週の練習時間を発表させた。  
麗奈は、60時間と答えてみんなびっくりしていた。

「あら、これくらい普通でしょ? でも、それだけやってるのにヘタヘタよね。」

あすか達も50時間は練習をしていた。

「あ それと中間と期末で赤点じゃなくって50点以下の人は、出しませんからね。勉強もちゃんとしてくださいね。」

まぁ、今までの通りなら50は余裕だった。 
葉月など、殆どが90点以上なのだから。
みんなはびっくりしていたが、4人は平然としていた。

「あんた達もよ。わかってるわよね。勉強してるの?」

「毎日、やってるので大丈夫だと思います。」 

4人は、声を揃えて言っていた。
まぁ、4人は学校・部活・レッスン・家で練習・勉強しかやってなかった。

「明日からテスト期間に入るので、しっかり勉強してくださいね。今日は、早めに解散します。テストは全部見せにきてくださいね。」

それから1週間はテスト期間で部活は休止だった。

それでも麗奈達は、レッスンを受けていた。  
新垣にも、香織から連絡がいっていた。

「テスト期間中だろ?大丈夫なのか?」

「はい、今更やっても仕方ないので。毎日やってるから大丈夫です。授業もちゃんと聞いてますから。」

「じゃ、いつもと一緒でいいんだな。ビシビシやるけど、それで赤点取るなよ。」

期間中は、早く学校も終わるので3時から9時までレッスンだった。
家では、2時間の練習と2時間の勉強だったので2時を毎日回っていた。

テストも終わり、答案が返ってくると香織に見せに行った。
最低が79点で最高は96点だった。  
葉月などは、殆ど90点以上だった。
あすかも、75点以上だった。 
平均なのは彩香で80点そこそこだった。

「しっかり勉強して、練習してなかったでしょ?」

「ええと、1日8時間くらいになっちゃいましたけど。それでも、日曜日は12時間以上はしてました。」

部員の中には、50点に満たない者も数名いた。
その人達は、部活を3日休ませて勉強をさせた香織だった。
中間が終わると、やっと夏祭のオリジナルの演奏の練習が始まった。
新曲も練習してるので、高い技術で演奏はしていたが。
香織に、何度もダメ出しを出されていた。

「そこ、もっとベース柔らかく。弾けるわよね。ドラムも、ちょっと強すぎ。周りの音を聞いて。シンセ、そこ滑らかに。ギターなにやってんのかしら?本当にレッスン受けてるの?あいつの頭叩きにいこうかしらね。キレがないのよ。キレがね。歌は論外。楽譜読めるでしょ?フォルテじゃないのよ。あんた達演奏って強弱がないのよね。ただ、強く・きつく弾いたり・叩いてるだけね。メリハリをつけなさいね。最初から。」

他の部員は、これで怒られるのかと唖然としていた。
部員達はそれぞれ楽器を持って、カシャカシャとし始めていた。

「おい、うるさいわよ。まだ弾かなくていいから。押さえる練習してなさい。」

麗奈もやったが、この押さえる練習は地味で嫌になるが基礎であった。
ドラムの3人は、別室でメトロを聞かされる日々だった。
軽音の部室からは、殆ど人がいなくなりメトロを聞きながらみんな練習をしたり。
ギターとかベースは、集まって練習をしていた。
途中で何度も部室を香織は出ていき、指導を少しして戻ってきていた。

10曲以上の夏祭のレパートリーを演奏し始める日々が、続いていた。
部活も終わり、電車で変える時秀一に出会った。

「お久しぶりね。トロンボーンやってるの?」

「いや、辞めたよ。1年の終わりかな、人数も少なくなったからな。」

「そうなんだ、今なんかやってるの?」

「今は、お前と同じ軽音だよ。中学でお前ら見てて始めたんだけどな。高校でバンド組んでやってるんだ。」

「そうなんだね。秀一はなにやってるの?」

「俺はベースだけどな。今度も出るんだろ?夏祭。俺らも出るから会うかもな。」

「ええ、そうね。練習がキツイわよ。顧問が鬼だからね。登録とかも、全部してくれるから助かってるけどね。」

「高校のブースだろ?一緒のブースだよな?」

「さぁ、わからないわ。去年はメインで2日だったから。でも、今年はどうかわからないですけどね。」

「メインでやったのか?凄いな。」

「どうせ、女子とどっかで遊んでたんでしょ?マンションの前でキスしたりしてたし。」

「見られてたか。まぁ、普通だろ。」

「秀一達もオリジナルなの?」

「一応な、ギターのやつが作ってるから。」

「後輩のも見に行かなきゃいけないけど、時間作って見るわね。頑張りましょうね。」

2人は、マンションまで一緒に帰ると。
麗奈は着替えて、いつものように出かけた。
香織と吾郎は連絡を取り合って、練習方法を模索して。
吾郎は、麗奈達を修正していた。

7月に入り、再びテスト期間に入ると。 
中間と、同じ様な生活が始まった。
テストも前よりもできていて、一安心だった。
夏休みに入り、部活にも熱が入ってきていた。
4人は、部にイヤモニがないので部費での購入を香織に頼んでいた。
その代わり、ミネラルウォータや弁当は自分で買えと言われた。
プログラムを香織から、渡され。
今回はメインから1番遠い、高校生のブースで2回の出演だった。
麗奈には、2曲はアコステで弾くように言われた。
アコスティックなど持っていないので、どうしようかと悩んでいた。

エレキはなんとか音は誤魔化せても、アコステはギターの音がそのまま出てしまうので。
安価なものは、買えなかった。
かと言って。貯金は15万しかなかった。
学校の帰り道に、楽器店に寄りアコスティックを眺めていた。
エレキの様に、アンプ内蔵ならOvationだった。
後のは、別で付けてもらうしかなかった。
まぁ、ピンキリで6万くらいから80万近いものもあった。
店長は見ていたが、そのまま家に帰り。
支度をして、新垣の所に向かった。

「おーい アコースティックも弾くのか? 大丈夫かよ。」

「ええ なんとか弾けますけど。ギターが無いので困ってて。」

「まぁ、ここまで来ると高いの欲しくなるものな。貯金も無いだろうしな。」

「そうですね。今も見てきたけど6万から80万までありましたからね。とても悩んでますよ。どうしようかなって。香織先生も急に言うから。」

「あいつは鬼だからな。優、お前のくれてやりゃいいじゃないか。どうせ使ってないんだしよ。あんな高いのつかってないなんてもったいないからな。」

「まぁ、いいですけど。メンテしてからあげるわね。それまではこの間弾いてたスタジオので練習するといいわよ。」

「あ、もらえませんよ。高いんでしょ?結構ですよ。」

「じゃ、麗奈ちゃんの貯金全部でいいわよ。それで買ってね、いいでしょ?」

「あ、そんな高いのなんですね。でも15万しかないですけど。」

「いいわよ。それで十分よ。じゃ、明日メンテに出してくるわね。」

その日も、ボイトレとギター練習を行っていた。

8月に入り、夏祭まで10日を切っていた。
新垣の家で、優にOvationが渡された。

「え 優さんこれって・・・・・・・・・」

「Ovation USA Custom Adamasu ね。いいでしょ?電池交換もして、ちゃんとメンテしたから大丈夫よ。」

「これ、お店で見た時 凄く高かったでしたよ。」

「高かったかしらね? でも、麗奈ちゃん買えないでしょ? いいわよ。もう5~6年使ってなかったし。ネックも直してあるから大丈夫よ。さっき弾いたけど、音も新品と変わらない音出してたからね。」

「明日、お金持ってきますね。あ 多分、今日頼むから明後日になるかも・・・・」

「いいわよ。急がなくてもね。それより練習しましょう。」

家に帰り、母に話してお金を全額下ろしてもらう様にお願いした。

「もう、そんな高い物を譲ってもらっちゃって。お母さんが払いに行きますから。あんたは頑張って演奏しなさいね。」

次の日からは、Ovationを持って部活に向かっていた。
みんな寄ってきて、覗き込んでいた。

「おい、麗奈3本目かよ。おっかねもちーーーーーー」

「いえ、これ70万ちょっとするんだけど、譲って貰ったんです優さんに。」

「いくらで? また、ちょびっとだったろう?」

「はい 貯金が15万しかなくて。今日お母さんが渡しに行きます。」

「定価の1/4か。凄いな。弾いたの?」

「いえ、まだですけど。説明だけしてもらいました。」

「でも、ワイヤレス2個しかないよ。どうしようか?」

「あすか、いいんじゃない。2個は部費で購入してもらえば。それでダメなら私達3人で買うからさ。どうせ、麗奈は小遣いしか持ってないんだろ?」

「ええ、毎月弦とかピックとかで使ってるので。お小遣い5000円になったけど。貯金しながらいっぱいいっぱいですね。」

「まぁ、葉月以外は小遣いはそんなもんだろうな。葉月は小遣い10万かな?」

「そんなもらってないですよ。1万くらいですかね。」

香織が来て、練習が始められた。
やはり、香織の言うようにアコースティクの方が曲にマッチしていた。  
それにしても、美しい音色が出る楽器だった。

「おーい 下手くそ。そんな高いギターが泣いてるよ。もっと歯切れよく、そしてダイナミックにね。わかった。」

「はい、わかりました。注意します。」

何度も、やり直しはさせられていた。  
香織は納得いかないと、先に進まなかった。
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