PrettyGirls(可愛い少女達)ーレディースバンドの物語ー【学生時代とセミプロ時代】

本庄 太鳳

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軽音部復活

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自宅に帰り、教材を置くと。
着替えて、ギターを持って出かけた。
4人は学校の校門で、明日までに1人30枚のチラシを作る事を葉月から提案されていた。
麗奈は母にメールで、A4くらいの部活のチラシ用の紙を30枚買ってくださいと送っていた。
ほとんどが、メンバーとはこの頃メールでのやり取りだった。
なんせ、グループ送信できたので。
一々、各自に送らなくてもよかった。
麗奈の返事は決まって、【了解】だけだったが・・・・
新垣の家で、部活の承認を得た事と香織が顧問してくれたことも言った。

「麗奈の担任は香織だろ?あいつ頼み込んで自分のクラスにお前入れたからな。」

「そうだったんですか? 最初からイジられましたけど。明日から部活だそうです。土日もあるみたいなので、レッスンは少なくなっちゃいますけど。」

「ああ 香織に頼んでおいたからな。わかってるよ。」

その日もボイトレから始まり、8時までレッスンを受けていた。
帰って、風呂や食事を済ませると。
教材に名前を書き揃えて、新しいノートとかも入れていた。
練習を始めて、3時間くらいやると。
明日の予習の為、教科書に目を通していた。
チラシも、カラフルなサインペンで文字を書いて作っていた。
1時間くらい勉強をして、寝てしまっていた。
受験も終わったので、普通に1時間くらいの勉強でも間に合うはずだった。

翌朝は、シャワーを浴びて朝食を取ると片付けをして着替えていた。
言われた通り、ポニーテールにして登校していた。
中学より少し早めなので、母に言い少し中学の時より早めの朝食にしてもらった。
まぁ、手のかからない娘だった。 
親としては、なにも言ってこないので心配だったが。
ストラトを背負って、鞄を持ち。
電車で、通学していた。
少し早めの時間なので、電車もいつも混んでいなかった。
器材庫とか、まだわからないのでギターの置き場所にしても悩んでいた。
まぁ、そのまま窓際なので。
自分の席の窓に、立てかけていた。
ホームルームが始まり、香織が来て。
みんなで、挨拶をした。
ホームルームが終わると、香織は麗奈に。

「それ、放課後まで預かっておくわね。器材庫に入れておくから。」

慌てて、香織にギターを渡した。

「ねえ、あれって高いの?」

「高かったですね。あれは26万でしたから。」

「貴女の家お金持ちなのね。凄いわね。」

「いいえ、こっそりと中1年の夏休みにアルバイトしたお金と小1から貯めてたお小遣いですよ。家は、そんなお金持ちじゃないので。」

「あれだけなんでしょ?」

「えっと、もう1本25万のがあります。音色が違うので、使い分けてます。」

「スッゴいわね。傷とかつくでしょ?練習してるから、いっぱいついてるでしょ?」

「えっと、知り合いがメンテしてくれるので。殆どタダで塗装とかしてくれます。普通に頼むと10万するみたいですけど。わからないです。」

「へえ、どれくらいで今くらい弾けるようになったの?聞いたことないけどね。」

「まだ、初めてから2年半ですよ。だれでも弾けますから、簡単ですよ。今日はみんなでチラシ配ってから練習なんですけどね。」

「あ、じゃチラシ1枚もらうわ。」

「ありがとうございます」

麗奈は隣の娘と後ろとか、周りにチラシを配った。
母が50枚も買ってきたので、昨日は50枚も作ってしまった。

午前中が終わると、お弁当を食べ始めた。
みんなのお弁当は、流石お嬢様学校だけに豪華だった。
まぁ、家は貧乏ではなかったが麗奈のお弁当まではお金が回らなかった。
姉が音大に通っているので、仕方なかった。
お弁当を食べ終わると、上級生が教室にやってきてみんなビックリした。

「田中麗奈ってのは、だれ?」

周りを見回して、麗奈は少し手をあげていた。

「ちょっと話しあるから来てよね。」

無理矢理引っ張られて、屋上まで連れてこられた。

「貴女が、あの田中麗奈なの?」

「あ 違うなら、帰りますけど。すいません。」

「待って 待って、バンドのボーカルやってんでしょ? 違う?」

「ええ そうですけど、先輩達にご迷惑おかけしたでしょうか? 謝りますので。」

「違うって、あんなバンド抜けて。私達のバンドに入らないか?」

「いえ、4人で高校でも組むと決めて一緒に受験したので。それは無理です。ごめんなさい。お誘いありがとうございました。」

「あのさ。私達、ボーカルいないんだよね。上級生が頼んでんだよ。嫌じゃないよね?」

「本当に、ごめんなさい。それだけは、できないです。」

「そこまで言うなら、ギター弾けない指にしてやろうか。どうする?」

「それも、困ります。ごめんなさい。」

「おいおい、どれもダメじゃ納得できないんだよね。折っちゃおうか。」

煙草を吹かして、香織が影から出てきて。

「あんたら、まだそんなことやってるのか?あんたらのバンドじゃ、こいつは宝の持ち腐れだよ。自分達の演奏がひどいって事わかってるんだろ。そんな事して、みんな部員辞めさせといて、今更この学校の部活を乱すんじゃないよ。ほら、麗奈は教室行きなさい。」

クラスに戻ると、みんなに見られていた。

「なんか言われたの?先輩に。」

「えっと、先輩のバンドのボーカルやれって言われて。断ったら、指折るって言われた所を香織先生に助けてもらいました。」

「まぁ、こんな学校でも。猫被ってるお嬢様気取りな人いるからね。そんなに、上手いんだ。」

「上手くないですよ。ただ、メンバー4人でみんなで歌って。結局今、歌わされてるだけですから。」

「それって、上手いってことだよ。音楽とか得意だったの?」

「ええ いつも音楽だけは、よかったですから。」

午後に授業も終わり、放課後。
掲示板に、チラシを貼ったり。
校舎内や校門で各自のチラシを配ってから、職員室に行った。
香織先生に案内されて、器材庫に入ってびっくりした。
中学とは比べ物にならない器材が、いっぱいだった。
使われてなかった、軽音部の部室を掃除して。
器材を、運び入れていた。
セッティングが終了すると、香織は。

「じゃ、オリジナルじゃないやつ。なにか弾けるかな?そうね、春だからね。そんな感じの曲でいいわよ。そうね三日月でもいいわよ。楽譜あるから弾いてね。」

みんな知ってるのに、麗奈は知らなかった。

「先生 しらないんですけど・・・・」

「楽譜あるでしょ? できるわよね。 やってね。」

まぁ、曲調からしてしっとりとした曲だったがかなり高音だった。
楽譜に目を通して、あすかに合図した。
初めてでも、上手く歌い始めていた。 
間奏では、アドリブでギターを弾いていた。
1曲終わると、香織は立ち上がり。

「ギター 音の歯切れが悪い。ドラムも少し乱れてたわよ。シンセ、ちょっと音が出すぎ。ベース、ネック反ってるわね。調整してきなさい。こんなのも弾けないようじゃ、教える価値もないわよ。歌もヘボだしね。ちゃんとボイトレしてるの?」

4人は最初から、香織に貶されていた。
初演奏で、初合わせだったので仕方なかったが自分ではもっとできると思っていた。
軽音の部室から、音が流れていて。
新入生などが、集まってきていた。

香織は立ち上がり、ドアを開けると。

「下手くそ4人組だけど、見学ならどうぞ。耳腐るけどね。」

20人程の生徒が、入ってきていた。

「ほら、さっきの最初からやりなさいね。」

一度弾いて、合わせると。
だいぶ音が噛み合ってきたが、メンバーは不服そうで途中で演奏を辞めては最初から音弾き直していた。
何度も何度も繰り返し、やっと聞けるような音と歌を奏でるようになってきていた。

「そうね、それくらいで5点ね。勿論、100点万点でよ。自分達でも納得してないでしょうしね。ジャンルが違うとか、聞いたことないとか。言い訳だからね。ベースチューニング合ってないわよ。直して。ギターは途中でチューニングしてたわよね?自分でできるのね?私もできるけどね。そんなの普通だから。」

見学者は、見ていて。
これで、5点なんだ。
100点って、基準はプロなんだろうなと思った。

まぁ、香織の100点の基準は自分であったのだが。

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