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第26回夏の祭典 2日目

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麗奈は6時前に、葉月に起こされ目を覚ました。

「おはよう 麗奈。」

「葉月ちゃん、おはよう。」

「ほら、最後だから口紅くらい塗ろうね。」

「いいですよ。このままで大丈夫ですから。」

「あら、みんな塗り終わってるわよ。ピンクで可愛いでしょ?」

見渡すと、葉月もあすかも彩香も口紅を塗っていた。

「持ってないですよ。口紅なんて。普通のリップならありますけど。」

「大丈夫よ、みんな私のを塗ったからね。任せてね。」

葉月はコンシーラを塗ると、下唇から口紅を塗り始めすぐに塗り終わっていた。

「はい、鏡。別人みたいよ。麗奈。」

確かに、口紅だけで少し大人っぽくなっていた。

部員達と一緒に、メインステージに向かっていた。
前のバンドは、凄い熱狂的なファンがいて熱いステージだった。
6時半を過ぎて、チューニングやイヤモニのセットなど作業をしていた。
21人は再び、輪になって円陣を組み掛け声を掛けると。
高らかに、人差し指をあげていた。
前のバンドが、最後の曲となっていた。
あすかを残して、3人はそれぞれ所定の位置についていた。
まぁ、もう恒例なので感づいている客もチラホラいて。
精神統一してる中、声もかけられた。
前のバンドがアンコールの声が響き、あすかはどうぞと言っていた。
2回のアンコールが終わり、部員達によってセッティングが開始された。
慣れてきたのか、手際がよかった。
ステージの汗や水を、モップがけしたりもしていた。

「まじかよ 次、中学生だろ。」

「メインで中学生なんて、ありえないけどな。」

「しかもトリだぜ。どんな野郎なんだよ。」

スポットに照らされて出てきたのは、可愛い少女だった。
スポットを浴びながらあすかは、心地よいリズムを刻みだしていた。
右手から彩香が出てきて、ベースを肩にかけるとドラムに合わせて演奏し始めていた。
同じ間隔で、葉月もでてきてメロディーを奏で始めていた。
まぁ、初めて見る人はビックリするであろう。
部員が中央にいて、花道を作っていた。
中央後方で飛び跳ねていた麗奈は、花道を駆け抜けステージに上がっていた。
ピンクのストラトを肩にすると、演奏を始めていた。
この日の麗奈は、最初から全開だった。
イントロから飛ばし始めて、チョーキングなど取り入れて演奏していた。
指を高々と上げると、ドラムの音が変わり曲がスタートした。

歌い始めると、客席から歓声が湧き上がっていた。
1曲めの間奏は、ベースが担当していた。
彩香は中央の前に出て、弾き始めていた。 
彩香も、ノリノリだった。
シンセの葉月も、軽くステップを踏んで演奏していた。
1曲目が終わり、マイクに向かった麗奈は。

「こんばんわーーーーーーーーーーーーーーーーー
Pretty Girlsでーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーす
こんな大勢の前で歌えて、演奏出来て、私達はしあわせでーーーーーーーーす
大舞台に立たせてくださった関係者のみなさんに感謝しまーーーーーーーす
ありがとーーーーーーー   祭りもクライマックスですねーーーーーーー
良い思い出できましたかーーーーーーーーーーーーーーーーーー
彼女と来てる貴方に次の曲を   【恋人たちのキス】【渚の少女】」

レスポールに持ち替えて、演奏をしだしていた。
イントロ中、後ろのペットの水を口に一口含んでいた。
前年とは格段に、音色がみんな違っていた。
この1年で、どれだけの練習をしたのか、
前年を知ってる者は、すごすぎると思っていた。
間奏中は、左右でギターを弾いていた。 
ノリノリの麗奈は、ステージを駆け回っていた。
3曲終了すると、マイクの前に立ち。

「忘れて、後でいつもメンバーに怒られるのでここでメンバー紹介しまーーす
パワフルなドラマー   ドラム担当  ASUKAーーーーーー  拍手 
ベーシストの兄を持つ、ベース一家 ベース担当 AYAーーーーーーー  拍手
お嬢様は音色の達人 シンセサイザー担当  HAZUKIーーーーーーーーーー   拍手
そして、ボーカル兼ギター担当の私  REY でーーーーーーーーーーす よろしくーーー

【夜空の彼方】【夜行列車】 2曲続けていきまーーーーーす」

イントロが始まり、再び水を飲みストラトに変えていた。
チョーキングやトレモロを使って、イントロ・間奏を弾いていた。
左右で、膝をついて演奏を始めていた。 
メンバーは、戻るまでは待っていた。

「たのしいですかーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
私は最高にたのしいでーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーす
みんな みんな 皆さんのおかげでーーーーーーーーーーーーーーす
今夜はぐっすりねむれそーーーーーーーーーーーーーーー
3ステージで演奏をしてくれた、バンドの皆さんにも感謝でーーーーーーーーーーーーーす
夏休みの良い思い出できましたーーーーーーーーーーーーーーーーー
来年も参加したいでーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーす
【夏の少女】【流れ星】いきまーーーーーーす」

もう、吹っ飛んでる麗奈だったが。演奏と歌は完璧だった。
麗奈の暴走にも、みんなはついてきていた。 
アレンジされても、対応していた。

「さてさて、クライマックスです ラストの曲になりましたーーーーーーーーーーー
名残惜しいですが、また来年でーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーす
ラスト  【恋人達の夜空】」

メンバーは、もう汗だくだった。 
麗奈は3曲時点で、すでに大量の汗をかいていた。
タンクトップは、ずぶ濡れで。
首筋の汗を振り乱して、弾いていた。
曲が終わると、横一列に並び手を繋いでお辞儀をしてステージから降りた。
後輩達から、タオルと水をもらい顔や首を拭いて水を飲んでいた。
アンコールの声が鳴り止まず、再び登場すると。

「ありがとーーーーーーーーーーーーーー 
みんな、ありがとーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ここで、裏方に回ってくれてる部員を紹介しますねーーーーーーーーーーー」

部員を手招きして 整列させると、お辞儀させていた

「私達が演奏できてるのも、みんなの力のおかげです 
みなさーーーん  温かい拍手をお送りくださーーーーーーーい」

再び、部員はお辞儀をして、ステージ脇に引っ込んでいた。

「そうですねーーーーーーーー   いきまーーーーーーーーーーーす
【打ち上げ花火】【彼女に夢中】」

高音では観衆を魅了して、ステージ後ろから花火が打ち上がられていた。
麗奈はステージを、飛び跳ねていた。   
2曲目は、ストラトに変えて演奏していた。
あまり激しく演奏していて、途中でチューニングをしながら演奏をしていた。
アンコールが、終わり。
ギターを置いて、再びステージを後にしていた。
観衆のアンコールは、止まなかった。 
実行委員に、後20分の時間でなんとかと言われた。

再び、4人が登場すると。
大勢の観客は、拍手と歓声をあげていた。

「ありがとーーーーーーーーーーーー
いっぱいのアンコール 感謝しまーーーーーーーーーーーーーす
あんまりお話してると、時間オーバーで怒られちゃうので、歌いきますねーーーーーーー
後は、学園祭で私達の中学での活動は最後になりまーーーーーーーす
3曲つづけていきまーーーーーーーーーーーーーーーす
【海岸】【夏風】【風鈴】 歌うよーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

麗奈は、もう嬉しくてたまらなかった。
ステージを駆け回ったり、飛び跳ねていた。
ベースの彩香も、踊りだしていた。  
シンセの葉月もステップを踏み、身体を大きく動かしていた。
3曲終了すると、3人は再び前に出て手を繋いで挨拶するとみんなに手を振っていた。

「さよならーーーーーーーーーーーーー  
また、来年あいましょーーーーーーーーーー」

袖に下がると、部員みんなとハイタッチをして幕を閉じた。
明日、朝の8時に集合して器材の片付けを学校ですることになった。

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