19 / 57
クリスマスライブに向けて
しおりを挟む火曜日に、いつもの様に学校に出かけていった。
これから、クリスマスまでやることは多かった。
果たして、今年は商店街でライブができるのだろうかとも思っていたが。
教室の窓際の席に座って、ぼんやり校庭を眺めていた。
昼休み、お弁当を1人でゆっくり食べていた。
まぁ、なんと今日は豪勢な弁当だろうと思った。
おかずが、5種類も入っていた。
いつもは、女の子の弁当らしからぬ。
2~3種類のおかずだった。
小さなお弁当箱を鞄に入れて、再び窓から外を眺めていた。
まぁ、こんな物思いに耽ってる時に詩とかは浮かぶのであるが・・・・・
いつもの嫌味な男子生徒が近づいてきたので、何を言われても無視しようと思っていた。
「おい、田中。悪かったな、写メとかでヤジ言ったりして。」
「ああ いいです 気にしないでください。」
か細い声で、受け答えしていた。
「歌上手いし、ギターも凄かったぞ。1日何時間練習してるんだ?」
「1年前から、当時は8時間だったけど。今は来年受験なので6時間しかやってないですね。土日はそれでも12時間以上はやってますけどね。」
「今度、俺ギター持ってくるから教えてくれよ。アコステしかないけどな。」
「えっと 弾いたことないですけど。エレキしか弾いたことなくって。」
「チューニングとかあるだろ? それでいいからさ。」
「チューナー買えば楽ですよ。簡単にできるみたいですからね。」
「じゃ、田中のチューナー貸してくれよ。1週間でいいからさ。」
「私、持ってないですよ。自分でそのままチューニングするので。」
「チューナーなしで、チューニングするのかよ?すっげーな。」
「そんな特別な事じゃないと思ってたけど、バンドのメンバーは異常だって言ってますけどね。」
そんな話しをしていて、昼休みは終わっていた。
せっかく浮かんでた詩も、どこかに消えていたのは事実だった。
放課後は、いつもの様に音楽室に集まっていた。
あすかが部員全員に、学祭の成功を称えていた。
「それでですけど、これから、1ヶ月ちょっと。クリスマスライブをどこかでやろうかと思っています。昨年は、商店街でやらせてもらいましたけど。今年も頼んでダメなら他を探しますね。みんなどこでもいいでしょ? 公園とか街のイルミネーションの大きなツリーの側とかでも、いいわよね。これからの演奏次第では、1年も全員出れるかもしれないからね。」
その頃、職員室では父兄が来て騒ぎになっていた。
麗奈の母親から全員の部活の親に連絡が行き、学校の問題を問いただしていた。
校長・教頭・顧問の美羽だった。
「中学生が祭りに参加してはいけないって規則はいつ作られたんですか?」
「祭りでも、制服でステージに立てと言うんですか?」
「あの格好は悪くて、ミニスカートとかは許されるんですか?」
「学園祭に体育館を使わせなかったのは、どう説明するんですか?」
次々に、親達から問正されていた。
「しかし、あんな薄着で最後はブラジャーも透けて見せてたんですよ。」
「あの暑い中、必死に動き回れば汗もかくし当然でしょ?あんなの見せブラに決まってるでしょ。少しは生徒の事を、理解してくださいよね。それとも、中学生のブラジャー見て興奮してたんですか?教師達は、ロリコンですか?」
校長達は、父兄に謝罪をして。
その場は、丸く収まっていた。
麗奈が家に帰ると、一本の電話が入ってきた。
「はい、もしもし。田中ですけど、どちら様でしょうか?」
「初めまして、新垣吾郎と言います。突然の電話すいません。今、お時間ありますか? 学校から田中さんのお宅の電話番号を聞いたので怪しい者ではありませんよ。」
「ええ、時間ならありますけど。少しでいいですよね?練習時間とかもありますので。」
「じゃ、お宅の近くの喫茶店で待ってますので、支度したら来てください。待ってますね。」
麗奈は、なんだろうと服を着替えて。
セーターとジーンズで、出かけていた。
小さな喫茶店だが、いつも賑わっていた。
麗奈は、ここへは小さい頃連れてきてもらった記憶しかなかった。
店の扉を開けると、チャリンと鈴の音がして麗奈は店に入っていた。
1人のサングラスをかけて細面だが、顎髭を生やしている男性が麗奈に手を挙げていた。
「新垣さんですか? こんにちわ。田中です。」
「ああ どうぞ座って。」
2人席の正面に向かい合って座った。
「何飲むのかな? おごるよ。」
「じゃ、レモンティーを貰えますか すいません。」
ウエイトレスを呼んで、おかわりのコーヒーとレモンティーを注文していた。
「じゃ、そろそろ話しを始めるね。ギターはいつから? 先生は? 練習量は?」
「えっと、1年2ヶ月です。独学です この頃は来年受験なのであまり練習できなくて、普段の日は6時間と土日は12時間以上やってます。」
「ねえ、いつもそんなに声小さいの?話し方もおっとりしてるし。ステージとは違うね。それでも、そこまでいつも弾いてあれだけの演奏出来るようになったんだな。天才かな。」
「まだまだです。昨日はCDを6枚買ってきて、昨日やっと1曲コピーできました。」
「楽譜読めないのかな?CD聞いてやるってことは。」
「えっと、楽譜は小4からユーフォやってたので読めますけど。聞いたらわかるので、そっちが簡単でそうしてます。」
「チューニングは?」
「チューニングはしてますよ。」
「えっとね。そうじゃなくって、なにでチューニングしてるのかな?」
「自分でです。チューナー後輩にあげちゃったので。」
「こりゃ驚いた、絶対音感だな。だから、CDでも、すぐコピーできるんだ。速弾きとかの練習は?」
「最初は、できなくって。ゆっくりから始めて、除々にテンポあげていきました。ユーフォの時もそうだったので、一緒ですね。」
コーヒーと紅茶がテーブルに置かれ、2人は飲みながら話していた。
「発声練習とかしてるのかな? 確か4オクターブくらい出てるよね。」
「発声も、独学ですね。地声だと4オクターブ半くらいです。先日は5オクターブの曲歌わされて、裏声で歌いましたけど。」
「もっと、うまくなりたいと思っていないか?学校に指導者もいないみたいだし、先輩もいないだろ?」
「うまくなりたいですけど、色々コピーなどしていけばいいかなって。普通には歌は歌えるから、あまり高音な曲は書かない様にしようと思ってますので。」
「作詞と作曲はだれがやってるのかな?」
「作詞はほとんど今は私です。作曲は私とシンセサイザーやってた人です。」
「今まで、何曲くらいできたのかな?」
「多分、40曲くらいはあると思います。去年の学園祭の時8曲作って1年経ってるので。」
「うまくなりたいなら教えてやろうか? これでもプロ目指していたからね。」
「ありがたいんですけど、両親とも相談しないといけないし。月謝も高いと払って貰えないですから。」
「やりたいんだね? 田中さんの意思を聞いてるんだよ。どうなの?」
「やりたいです。みんなの足引っ張りたくないから。」
「ご両親はいつ帰られるのかな?」
「母は7時頃で、父は9時頃になります。」
「わかった。それじゃ、俺が両親は説得してあげるから任せなさいね。」
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
Guys with the Dragon Tattoo
Coppélia
ライト文芸
それは「華胥の夢」。
美しき「彼」と聖なる光に祝福された、輝く時間をあなたと重ねて。
You may have looked of love.
「アルバム」をめくるように。
さあ、手に取って、一緒に開いて。
宇宙との交信
三谷朱花
ライト文芸
”みはる”は、宇宙人と交信している。
壮大な機械……ではなく、スマホで。
「M1の会合に行く?」という謎のメールを貰ったのをきっかけに、“宇宙人”と名乗る相手との交信が始まった。
もとい、”宇宙人”への八つ当たりが始まった。
※毎日14時に公開します。
僕の彼女は幽霊少女
津嶋朋靖(つしまともやす)
ライト文芸
男子高校生、水原夢人は、横暴な部活の先輩に絞め技をかけられて落ちてしまう。
そのまま夢人は臨死体験に入るが、その途中で一人の少女と出会った。
少女の名前は辻村珠美。彼女も臨死体験中だったらしい。
二人で霊界を進んでいるうちに夢人は珠美に微かなトキメキを覚えていく。
三途の川まで来たところで、二人は現世に追い返されるのだが、その時に二人は現世に戻ったらもう一度会おうと約束した。
現世に戻った夢人は早速、珠美に教えられた電話番号に電話をかけるのだが……
【ガチ恋プリンセス】これがVtuberのおしごと~後輩はガチで陰キャでコミュ障。。。『ましのん』コンビでトップVtuberを目指します!
夕姫
ライト文芸
Vtuber事務所『Fmすたーらいぶ』の1期生として活動する、清楚担当Vtuber『姫宮ましろ』。そんな彼女にはある秘密がある。それは中の人が男ということ……。
そんな『姫宮ましろ』の中の人こと、主人公の神崎颯太は『Fmすたーらいぶ』のマネージャーである姉の神崎桃を助けるためにVtuberとして活動していた。
同じ事務所のライバーとはほとんど絡まない、連絡も必要最低限。そんな生活を2年続けていたある日。事務所の不手際で半年前にデビューした3期生のVtuber『双葉かのん』こと鈴町彩芽に正体が知られて……
この物語は正体を隠しながら『姫宮ましろ』として活動する主人公とガチで陰キャでコミュ障な後輩ちゃんのVtuberお仕事ラブコメディ
※2人の恋愛模様は中学生並みにゆっくりです。温かく見守ってください
※配信パートは在籍ライバーが織り成す感動あり、涙あり、笑いありw箱推しリスナーの気分で読んでください
AIイラストで作ったFA(ファンアート)
⬇️
https://www.alphapolis.co.jp/novel/187178688/738771100
も不定期更新中。こちらも応援よろしくです
人生負け組のスローライフ
雪那 由多
青春
バアちゃんが体調を悪くした!
俺は長男だからバアちゃんの面倒みなくては!!
ある日オヤジの叫びと共に突如引越しが決まって隣の家まで車で十分以上、ライフラインはあれどメインは湧水、ぼっとん便所に鍵のない家。
じゃあバアちゃんを頼むなと言って一人単身赴任で東京に帰るオヤジと新しいパート見つけたから実家から通うけど高校受験をすててまで来た俺に高校生なら一人でも大丈夫よね?と言って育児拒否をするオフクロ。
ほぼ病院生活となったバアちゃんが他界してから築百年以上の古民家で一人引きこもる俺の日常。
――――――――――――――――――――――
第12回ドリーム小説大賞 読者賞を頂きました!
皆様の応援ありがとうございます!
――――――――――――――――――――――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる