【R18】処女だったのに、異世界転生したら俺様王子の伽の相手として調教されていました

9.過去の清算

知ってしまったきっかけ

私が小説として知っているこの世界を知ったきっかけは忘れもしない。
仕事で大きな失敗をして、上司に死んだ方がマシと思うくらいの嫌味を言われ続けた日。
それが、ノアさんなのだが……。
ノアさんの事を苦手になったのも、その出来事がきっかけだったりする。
それがなければ

「ちょっとイケメンだし目の保養」

くらいだったのだが。
ちなみにどんな失敗かというと、社会人であれば1度は誰もが経験あるだろう。
メールの誤送信だった。
アプリのエラーではあったのだが、別の企業の情報が入ったメールを重要なクライアントに送っていたのだ。
すぐに上司……つまりノアさんに報告をし、根回しをしてもらったことで、企業間でのトラブルは大事にならずに済んだ。
だが、その後だった。

「何を考えてる」
「寝ぼけているのか」
「お前の脳は本当に人間の脳なのか」

など、彼がその時思いつくであろう罵詈雑言を全て受け止める羽目になった。
そうして数時間後にようやく解放された私は久しぶりに「死にたい」と思いながら、電車に乗った。
まだこの頃は、夜遅くに帰宅するとは言え、満員電車は避けられない時期。
気持ち悪い他者の臭いから気を反らせたい一心で、私はスマホを操作して、気を紛らわすことができるWEB小説を探した。

（違う……これじゃない……もっと、どっぷりと世界観に浸れて、この虚しさを忘れられるものが読みたい……）

そんなことを考えながら、タイトルを選んでいる中で見つけてしまったものこそが「アルストメリー王子は聖女を孕むまで抱きつくす」だったのだ。

ちなみに「孕む」という単語を見た瞬間にタイトルクリックをしていたので、性欲はまだそれなりにあったのかもしれない。
漫画でエッチなシーンを電車で見る勇気はさすがに持ち合わせてはいないが、文章なので許される気がした。というか、許されなくてもそれを読む、となぜか決めてしまったのだ。