【R18】処女だったのに、異世界転生したら俺様王子の伽の相手として調教されていました

8.神から与えられたのは、罰と……

幼きファーストキスの真相

カサブランカの幼少期の記憶は、何度も遡ろうとしたことがあった。
とはいえ、幼少期に習ったことなど、自分の前世の時でさえまともに覚えていないのだ。
カサブランカに残っていたのも、彼女にとってインパクトが強い記憶だけだろう。
その中で、最も思い出すだけで、この体の心臓が痛む強烈な記憶が1個あった。

「ねえ王子。10歳の頃のこと、覚えてる？」
「10歳……」

そう呟いてすぐ、何かの思い当たることがあったのだろう。
悲しげに、エディ王子は微笑んだ。

「お前は、分かってるんだよな」
「そうだね」
「そうか……。ランカには、隠し事ができないな」

と言っても、エディ王子とカサブランカの間に起きた出来事だけだが。
でも、今それをつっこむのは野暮だと思ったのでやめた。

「カシーにキス、したでしょう」
「……ああ……」
「それでさ……」

本当は、私がカシーの代わりに言うべきではないのかもしれない。
でも、カシーの記憶を辿る度に、この記憶を通り過ぎる度に、この体の心臓が痛むのだ。
私の意思ではないのに、涙がこぼれそうになるのだ。
私はこれが、心からの後悔から来ていることを知っている。
だから、今のうちに伝えてあげたいとお節介にも思ってしまった。

「王子が急にキスした時、カシーは驚いたけど……でも、嬉しかったみたいだよ」
「そんなはずはない」

どうして、なんて聞かなくても分かる。

「カシーが、突き放したから、だよね」
「ああ……すごく嫌そうな顔をしてた……だから俺……カシーに嫌われたと思って……」
「違うよ、王子」
「何？」
「カシーは、王子が傷ついたような顔をしたのが辛くて、悲しい顔をしたんだよ」
「どう言うことだ？」

私は、何故カシーがあんな態度を取ったのかは分かっていた。
それは、カシーへの教育の結果。
キスは人前ですることは恥ずかしいものであることを、カシーは10歳にして叩き込まれていた。
そしてあの場には、王子以外２名のメイドがいた。
彼女は恥ずかしかっただけ。
メイドにキスを見られたのが。
でも、その理由を説明することを許されないまま、エディ王子との仲がおかしくなっていった。
それは、自分が拒否をしたせいだったのだと、カシーはずっと長い間後悔していたのだ。
私は、それをエディ王子に伝えた。
カシーは、もっと王子と仲良くしたかったと。
本当は会えるだけで幸せだったと。
恋していたのだと。
それらを聞いたエディ王子は

「そうか……あの日、カシーは……嫌じゃなかったんだ……」

と、涙を流しながら、ボソリと呟いた。