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8.神から与えられたのは、罰と……
そろそろ時間もない
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このタイミングで出てくる「彼女」は、ここまできたら一人だけだろう。
「カサブランカ……と言うこと?」
「そう、君が推理する根拠は?」
「……え」
待て待て待て。
この期に及んで、何故こんなところで勿体ぶるのか。
「……ここまでの流れで、それ以外の登場人物の関与の可能性、あります?」
「その言い回し、さては思考を放棄したね。君の悪い癖だ。前世からのね」
「ぐっ……」
確かに、仕事柄思考を繰り返すことは慣れている。
だが、疲れたなと思ったら
「もういいや」
と投げ出すこともわりかし多く、このクソ上司には確かにそこをものすっごい詰められたことはある。
(また、つまらぬことを思い出してしまった……)
「まあ、流石にそろそろ時間もないしね」
「時間?」
「これ以上無駄な話はできない、と言うことさ」
「…………誰の」
せいだよ、と私が言おうとした時だった。
「事情はちっともわからない。でもノア……お前が、ランカの邪魔をしている風にしか見えないが?」
エディ王子が助けてくれた。
横顔が、いつもより凛々しい。
(ふおおお。成長したな)
そう思ったのは私だけではなかったらしく
「へえ。カシーカシーと、泣き叫んでいただけのガキから少しは脱皮したのかな」
「っ……!」
「王子!ストップ!!」
今度は王子が殴りかかりそうになったので、私が止めることになる。
人体を司る魔人、オプションに性悪あり。
そんな人物には半径3m以内近づいてはならない。
「少しは丸くなったみたいだな……まあそれくらいじゃないと、ここから先は役に立たなくなるから、ちょうどいい」
(役に立たない?)
「それはどういう」
「ストップ」
今度はノアさんに、私の言葉を遮られた。
「この後、君たちには僕と一緒にある場所に向かってもらうよ」
「ある場所?」
「そう。そこで君たちを、首をながーくして待っている人がいるから」
「そこに行ったら、私たちはどうなるんですか?」
ここまでされて、素直に言うことを聞いていられるほど私は単純馬鹿ではない。
思惑がわからない以上、動くのは得策ではないだろうとも思った。
……動かない場合の策が思いついたわけではないけれど。
「このアルストメリーで本当は何が起きているか。その本質を知ることになるかも、しれないね」
そう、ノアさんが言った時だった。
いつの間に呼んだのか。
どうやって呼んだのかはわからないが、馬車がどこからともなくやってきた。
(もう、こんな無茶苦茶な世界で何が起きても、驚きはしないけど……)
心臓にはとにかく悪い。
私の価値観が一切通じない世界なのだから。
「もちろん、来ますよね?」
ノアさんの私達を見る目から感じてしまう。
断ることは許さない、と。
「来ない以外の選択肢は、くれないですよね」
「よくわかってる。さすが僕の優秀な、部下だ」
「口だけならいくらでもいえますから。……エディ王子も、行きましょう」
「……ああ」
軽く空気になりかけてたエディ王子にも話しかけた私は、嫌味の軽い仕返しとばかりに1番の上座に座ってやった。
「ああそうそう」
馬車が動き出してから、ほんの少し経った頃。
唐突にノアさんがエディ王子にも聞こえるような声出こう話しかけてきた。
「道中でちゃんと教えてあげますから」
「何を」
「あなたが、ちょっと犯されたい願望がある、と言う性癖を知った理由ですよ」
「っ!?」
そう言うことを突然ぶっ込んでくるの、ほんとやめてくれ……。
「カサブランカ……と言うこと?」
「そう、君が推理する根拠は?」
「……え」
待て待て待て。
この期に及んで、何故こんなところで勿体ぶるのか。
「……ここまでの流れで、それ以外の登場人物の関与の可能性、あります?」
「その言い回し、さては思考を放棄したね。君の悪い癖だ。前世からのね」
「ぐっ……」
確かに、仕事柄思考を繰り返すことは慣れている。
だが、疲れたなと思ったら
「もういいや」
と投げ出すこともわりかし多く、このクソ上司には確かにそこをものすっごい詰められたことはある。
(また、つまらぬことを思い出してしまった……)
「まあ、流石にそろそろ時間もないしね」
「時間?」
「これ以上無駄な話はできない、と言うことさ」
「…………誰の」
せいだよ、と私が言おうとした時だった。
「事情はちっともわからない。でもノア……お前が、ランカの邪魔をしている風にしか見えないが?」
エディ王子が助けてくれた。
横顔が、いつもより凛々しい。
(ふおおお。成長したな)
そう思ったのは私だけではなかったらしく
「へえ。カシーカシーと、泣き叫んでいただけのガキから少しは脱皮したのかな」
「っ……!」
「王子!ストップ!!」
今度は王子が殴りかかりそうになったので、私が止めることになる。
人体を司る魔人、オプションに性悪あり。
そんな人物には半径3m以内近づいてはならない。
「少しは丸くなったみたいだな……まあそれくらいじゃないと、ここから先は役に立たなくなるから、ちょうどいい」
(役に立たない?)
「それはどういう」
「ストップ」
今度はノアさんに、私の言葉を遮られた。
「この後、君たちには僕と一緒にある場所に向かってもらうよ」
「ある場所?」
「そう。そこで君たちを、首をながーくして待っている人がいるから」
「そこに行ったら、私たちはどうなるんですか?」
ここまでされて、素直に言うことを聞いていられるほど私は単純馬鹿ではない。
思惑がわからない以上、動くのは得策ではないだろうとも思った。
……動かない場合の策が思いついたわけではないけれど。
「このアルストメリーで本当は何が起きているか。その本質を知ることになるかも、しれないね」
そう、ノアさんが言った時だった。
いつの間に呼んだのか。
どうやって呼んだのかはわからないが、馬車がどこからともなくやってきた。
(もう、こんな無茶苦茶な世界で何が起きても、驚きはしないけど……)
心臓にはとにかく悪い。
私の価値観が一切通じない世界なのだから。
「もちろん、来ますよね?」
ノアさんの私達を見る目から感じてしまう。
断ることは許さない、と。
「来ない以外の選択肢は、くれないですよね」
「よくわかってる。さすが僕の優秀な、部下だ」
「口だけならいくらでもいえますから。……エディ王子も、行きましょう」
「……ああ」
軽く空気になりかけてたエディ王子にも話しかけた私は、嫌味の軽い仕返しとばかりに1番の上座に座ってやった。
「ああそうそう」
馬車が動き出してから、ほんの少し経った頃。
唐突にノアさんがエディ王子にも聞こえるような声出こう話しかけてきた。
「道中でちゃんと教えてあげますから」
「何を」
「あなたが、ちょっと犯されたい願望がある、と言う性癖を知った理由ですよ」
「っ!?」
そう言うことを突然ぶっ込んでくるの、ほんとやめてくれ……。
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