374 / 455
8.神から与えられたのは、罰と……
一連の出来事の謎を解く鍵の中の鍵は?
しおりを挟む
「え、ちょっと待って……待って……」
仮にそうだったとしても、この体を出て行ってから戻ってくるまでの記憶がないのも、やはり違和感だ。
(やっぱり違うよな……)
そう考えてからふと、ここで私は思い出す。
ステラのことを。
私とステラが会話をした内容を。
「普通は、肉体と心と魂の軸……だっけ?バラバラにできるものなわけ?」
「いいえ」
「少なくとも、生きたままそれをするということは、本来はできるはずはないのです。肉体も心も魂も、全て繋がって初めて、その人として存在することができるのですから」
「でも、実際カサブランカはそれをした。いうことは、あなた達が持っている、間を司る魔はそれができるってことでしょう?」
「魂も心も、肉体の細胞に絡み付いています。私たちが持つ魔は、肉体にまで干渉することは、不可能です」
「そんなこと言われたって……!何か方法があったから、できちゃったわけでしょう?」
「そうですね……理論上は、可能な方法はあります。条件がクリアできれば」
「条件……?」
「はい。大きく関わるのは、人体を司る魔です」
「人体を司る魔人は、具体的にどうやってコントロールしていくの?」
「まず、脳細胞にアプローチをして、肉体と心の連携を遮断する。それが、当時の人体を司る魔人、トラヴィスがよく使っていた魔です」
(そうか。そうであればまだ辻褄は合うかもしれない)
霊を司る魔人のアザレアよりも、人体を司る魔人のノアと時間と空間の魔人カサブランカのペアであれば、私が考えている課題はあっさり解決してしまうのだろう。
人体から魂と心を分離させるノア。
彼は、脳すらも操る。
そして空間を操ることができれば、いろいろなことができてしまうカサブランカ。
私をこの体に入れたのもカサブランカ本人だ。
この2人が協力体制であるならば、やっぱり話は簡単だ。
カサブランカが1度この体に入り、王子の魔の暴走を止めるために簡易的な伽、つまりはセックスをする。
その後、カサブランカが別の場所に行き、代わりに私の魂を戻してから脳をいじると、その記憶のほとんどは消える。
大体こんなところ、だろうか。
(だとしたら中途半端な……)
どうせなら全部消してくれればいいのに。
私はそう考えた。
もし全てが消えていたら、疑惑すら生まれることはなかった。
(ノアは、一体私に何をさせたいの……?)
カサブランカとノアがやはり協力関係なのは間違いない。
そして、ノアは間違いなく今のカサブランカの居場所を知っている。
(じゃあ何故それを隠す……?)
隠さなくてはいけない理由があるのか。
その上で、私に、何か期待していることがあるのか?
それとも全てが偶然なのか。
「もうほんと、意味不明……!!」
ごちゃごちゃ考えすぎたので、もう1回冷静になろうと水の中にもう1度潜る。
ゆらゆらと水流に揺られながら、私は次のネクストアクションを決めた。
「ノア……あなたが知ってること、全部吐いてもらう」
この体を人質にしても。
それだけの価値がある体であることは、もう知っている。
あとは、この体をどんな形で利用すれば最適解に近づくのか、考えなくてはならない。
カサブランカがどこにいるのか。
何の目的を持っているのか。
やはり、それがわからなければ、次へは進んではいけない。
カサブランカがこの体に戻ってきた。
この仮説が果たしてイエスかノーか。
この見極めが、一連の出来事の謎を解く鍵の中の鍵ではないかと、私は直感で思いながら、水の中から顔を出した。
「あ……月……」
この世界に来て初めて、月をちゃんと眺めた気がする。
私の世界と同じ綺麗さだと思った。
仮にそうだったとしても、この体を出て行ってから戻ってくるまでの記憶がないのも、やはり違和感だ。
(やっぱり違うよな……)
そう考えてからふと、ここで私は思い出す。
ステラのことを。
私とステラが会話をした内容を。
「普通は、肉体と心と魂の軸……だっけ?バラバラにできるものなわけ?」
「いいえ」
「少なくとも、生きたままそれをするということは、本来はできるはずはないのです。肉体も心も魂も、全て繋がって初めて、その人として存在することができるのですから」
「でも、実際カサブランカはそれをした。いうことは、あなた達が持っている、間を司る魔はそれができるってことでしょう?」
「魂も心も、肉体の細胞に絡み付いています。私たちが持つ魔は、肉体にまで干渉することは、不可能です」
「そんなこと言われたって……!何か方法があったから、できちゃったわけでしょう?」
「そうですね……理論上は、可能な方法はあります。条件がクリアできれば」
「条件……?」
「はい。大きく関わるのは、人体を司る魔です」
「人体を司る魔人は、具体的にどうやってコントロールしていくの?」
「まず、脳細胞にアプローチをして、肉体と心の連携を遮断する。それが、当時の人体を司る魔人、トラヴィスがよく使っていた魔です」
(そうか。そうであればまだ辻褄は合うかもしれない)
霊を司る魔人のアザレアよりも、人体を司る魔人のノアと時間と空間の魔人カサブランカのペアであれば、私が考えている課題はあっさり解決してしまうのだろう。
人体から魂と心を分離させるノア。
彼は、脳すらも操る。
そして空間を操ることができれば、いろいろなことができてしまうカサブランカ。
私をこの体に入れたのもカサブランカ本人だ。
この2人が協力体制であるならば、やっぱり話は簡単だ。
カサブランカが1度この体に入り、王子の魔の暴走を止めるために簡易的な伽、つまりはセックスをする。
その後、カサブランカが別の場所に行き、代わりに私の魂を戻してから脳をいじると、その記憶のほとんどは消える。
大体こんなところ、だろうか。
(だとしたら中途半端な……)
どうせなら全部消してくれればいいのに。
私はそう考えた。
もし全てが消えていたら、疑惑すら生まれることはなかった。
(ノアは、一体私に何をさせたいの……?)
カサブランカとノアがやはり協力関係なのは間違いない。
そして、ノアは間違いなく今のカサブランカの居場所を知っている。
(じゃあ何故それを隠す……?)
隠さなくてはいけない理由があるのか。
その上で、私に、何か期待していることがあるのか?
それとも全てが偶然なのか。
「もうほんと、意味不明……!!」
ごちゃごちゃ考えすぎたので、もう1回冷静になろうと水の中にもう1度潜る。
ゆらゆらと水流に揺られながら、私は次のネクストアクションを決めた。
「ノア……あなたが知ってること、全部吐いてもらう」
この体を人質にしても。
それだけの価値がある体であることは、もう知っている。
あとは、この体をどんな形で利用すれば最適解に近づくのか、考えなくてはならない。
カサブランカがどこにいるのか。
何の目的を持っているのか。
やはり、それがわからなければ、次へは進んではいけない。
カサブランカがこの体に戻ってきた。
この仮説が果たしてイエスかノーか。
この見極めが、一連の出来事の謎を解く鍵の中の鍵ではないかと、私は直感で思いながら、水の中から顔を出した。
「あ……月……」
この世界に来て初めて、月をちゃんと眺めた気がする。
私の世界と同じ綺麗さだと思った。
0
お気に入りに追加
570
あなたにおすすめの小説


転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~
トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。
旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。
この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。
こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる