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8.神から与えられたのは、罰と……
迷宮の脱出方法
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「大丈夫!?」
「あ、ああ……平気だ……」
(絶対平気じゃないぞ、これ)
言葉とエディ王子の体の反応が明らかに一致していない。
「ごめん、セクハラじゃないから」
一体誰に向かって言い訳しているんだ……と内心思いつつも、あえて声を出してからエディ王子に触れてみる。
(あつっ!!)
間違えてサウナの中にある鉄部分に触り、火傷した時と同じような熱さを、エディ王子の皮膚に触れて感じた。
(確か、脳は42度でダメになるって聞いたことがあるけど……)
この熱さは、42度なんかとっくに超えている。
この熱がもしエディ王子のところに来たら終わると思った。
これは、急いで冷やさなくてはいけない。
いや、そもそも冷やしてどうにかなるものなのか?
魔の暴走への対処法は、今のところたった1つしか思いつかないから、それ以外は正解なのかどうかすら怪しい。
ただ、今はその1つすらできる状況でもない。
(まずは、どこか落ち着けるところ……)
私は必死で周囲を見渡すが、ずっと土壁が続くだけ。
このまま彷徨っていたところで、居場所なんかわかるはずもない。
(この現象……どこかで見たことあるような……)
そこまで考えて、私は思い出した。
これは、新宿駅ラビリンス現象によく似ている。
初心者が迷い込んだら最後、2度と這い上がれなくなるかもしれないと恐れられているほど、複雑極まりない新宿駅の地下迷宮のことを、地方出身の会社の同僚がそう呼んでいた。
私もそれで言えば、何度も迷い込んだ経験があるので、納得しかなかったわけだが。
(あの時の対処法は確か……)
そこまで考えて、私は閃いた。
「エディ王子!ごめんもう1回だけ頑張って!!」
「……え?」
息も絶え絶えのエディ王子に罪悪感はあったが、私は私で1回の解決法をする覚悟をしようとしているので、大目に見て欲しいと心の中で考えながら、エディ王子にお願いした。
「天井ぶっ壊して!」
新宿迷宮の解決法で最も簡単なこと。
それは1度上に出てしまうこと。
そうすれば、景色が違うからこそ、行き先がクリアになりやすい。
今まさに、同じことをしようと私は考えたのだ。
「できる?」
「……わかった……!やってみる……!」
「すまん」
(その代わり、あんたの苦しみはどうにか私が何とかしてやるから)
私はエディ王子が魔を使うのを見守りながら、腹を括った。
そして、無事にエディ王子が天井をぶっ壊し、空の青さが広がったのを見ながら、私はぐったりと倒れ込むエディ王子を抱きかかえる。
エディ王子は、私の上での中でさらに力を振り絞ってくれた。
おかげで、天井から外に出ることができた。
目の前には森と湖が広がっていた。
綺麗だ、と感動した。
「あ、ああ……平気だ……」
(絶対平気じゃないぞ、これ)
言葉とエディ王子の体の反応が明らかに一致していない。
「ごめん、セクハラじゃないから」
一体誰に向かって言い訳しているんだ……と内心思いつつも、あえて声を出してからエディ王子に触れてみる。
(あつっ!!)
間違えてサウナの中にある鉄部分に触り、火傷した時と同じような熱さを、エディ王子の皮膚に触れて感じた。
(確か、脳は42度でダメになるって聞いたことがあるけど……)
この熱さは、42度なんかとっくに超えている。
この熱がもしエディ王子のところに来たら終わると思った。
これは、急いで冷やさなくてはいけない。
いや、そもそも冷やしてどうにかなるものなのか?
魔の暴走への対処法は、今のところたった1つしか思いつかないから、それ以外は正解なのかどうかすら怪しい。
ただ、今はその1つすらできる状況でもない。
(まずは、どこか落ち着けるところ……)
私は必死で周囲を見渡すが、ずっと土壁が続くだけ。
このまま彷徨っていたところで、居場所なんかわかるはずもない。
(この現象……どこかで見たことあるような……)
そこまで考えて、私は思い出した。
これは、新宿駅ラビリンス現象によく似ている。
初心者が迷い込んだら最後、2度と這い上がれなくなるかもしれないと恐れられているほど、複雑極まりない新宿駅の地下迷宮のことを、地方出身の会社の同僚がそう呼んでいた。
私もそれで言えば、何度も迷い込んだ経験があるので、納得しかなかったわけだが。
(あの時の対処法は確か……)
そこまで考えて、私は閃いた。
「エディ王子!ごめんもう1回だけ頑張って!!」
「……え?」
息も絶え絶えのエディ王子に罪悪感はあったが、私は私で1回の解決法をする覚悟をしようとしているので、大目に見て欲しいと心の中で考えながら、エディ王子にお願いした。
「天井ぶっ壊して!」
新宿迷宮の解決法で最も簡単なこと。
それは1度上に出てしまうこと。
そうすれば、景色が違うからこそ、行き先がクリアになりやすい。
今まさに、同じことをしようと私は考えたのだ。
「できる?」
「……わかった……!やってみる……!」
「すまん」
(その代わり、あんたの苦しみはどうにか私が何とかしてやるから)
私はエディ王子が魔を使うのを見守りながら、腹を括った。
そして、無事にエディ王子が天井をぶっ壊し、空の青さが広がったのを見ながら、私はぐったりと倒れ込むエディ王子を抱きかかえる。
エディ王子は、私の上での中でさらに力を振り絞ってくれた。
おかげで、天井から外に出ることができた。
目の前には森と湖が広がっていた。
綺麗だ、と感動した。
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