335 / 455
8.神から与えられたのは、罰と……
全て打ち明けてしまいたい
しおりを挟む
本当は、全て打ち明けてしまいたい。
そして、思いっきり土下座して、泣いて詫びたい。
そんな気持ちをアルフィーは抱いていた。
アルフィーは、ここまでくる間の道でも、メルキオールがいかにステラを愛しているかを聞かされていた。
あんなにお淑やかで可愛い女は知らない。
自分が辛い時に、そっと頭を撫でてくれるようなステラが愛おしくて仕方がない。
国では不気味な存在として忌み嫌われていたからこそ、誰かと夫婦になることを諦めていた。
だからこそ、ステラと初めて会ったときに直感した。
この女こそ、自分にとっての運命の女であると。
肉体が滅んで魂だけになっても、生まれ変わっても愛し続けることができる。
そんな風に、ただでさえ熱苦しい男が、より情熱を込めて語るのだ。
だからこそアルフィーは、自分がこれからしようとしていることが、どれだけメルキオールにとってもステラにとっても鬼畜なことか……ひしひしと感じてしまっていた。
「なあ……メルキオール……」
「何だよ」
「お前……言ったよな。俺と一緒に国を作りたいって」
「ああ、言った」
「それって……俺のことを……その……信用してくれてるってことか?」
我ながら馬鹿な質問だ、と思った。
「何だよ急に」
メルキオールは、ゲラゲラ笑いながらも
「当然だろ。お前以外の誰を、他に信じろっていうんだ」
と自信たっぷりに言ってくるのに、アルフィーはとても苦しかった。
「じゃあさ……メルキオール……」
「どうしたんだよ、さっきから変だぞ、お前」
メルキオールは、心から心配しているというのが分かる表情で、アルフィーの顔を覗き込む
「もし……目の前で……俺かステラどちらかが死にそうになってて、1人しか助けられないとしたら……お前、どうする?」
「は?」
いきなり何言ってんだ、と言いたげな目を、メルキオールはしている。
「どうなんだよ、メルキオール」
アルフィーも、自分で何故こんな質問をしているのか混乱し始めていた。
一体、自分はメルキオールから何を引き出したいのか。
あと数日後には、アルフィーがステラに何をしたかメルキオールにはバレてしまうだろう。
そうなれば、きっとこの真っ直ぐな瞳を持つ男は自分を軽蔑するかもしれないと、アルフィーは怯えていた。
だからこそ、アルフィーは確信が欲しかった。
メルキオールは、きっと自分のことをわかってくれる。
事情があったんだと、信じてくれる。
そしてまた、こんな風に話ができると、未来を語り合えると……。
「2人とも助けるさ」
「え?」
「だーかーらー。2人とも俺は助けてやるさ。俺は、自然を司る魔人、だからな」
そう言ってから、メルキオールはウインクをアルフィーに投げた。
その滑稽な表情に、アルフィーがホッとした次の瞬間。
それは急にきた。
メルキオールがすくっと立ち上がった。
険しい表情で、城の方向を見た。
アルフィーは、嫌な予感がした。
その時、強い風がさっとメルキオールとアルフィーの間を通り過ぎ、そして……。
「泣いている……ステラが……行かないと……」
メルキオールはぼそりとつぶやいた。
そして、思いっきり土下座して、泣いて詫びたい。
そんな気持ちをアルフィーは抱いていた。
アルフィーは、ここまでくる間の道でも、メルキオールがいかにステラを愛しているかを聞かされていた。
あんなにお淑やかで可愛い女は知らない。
自分が辛い時に、そっと頭を撫でてくれるようなステラが愛おしくて仕方がない。
国では不気味な存在として忌み嫌われていたからこそ、誰かと夫婦になることを諦めていた。
だからこそ、ステラと初めて会ったときに直感した。
この女こそ、自分にとっての運命の女であると。
肉体が滅んで魂だけになっても、生まれ変わっても愛し続けることができる。
そんな風に、ただでさえ熱苦しい男が、より情熱を込めて語るのだ。
だからこそアルフィーは、自分がこれからしようとしていることが、どれだけメルキオールにとってもステラにとっても鬼畜なことか……ひしひしと感じてしまっていた。
「なあ……メルキオール……」
「何だよ」
「お前……言ったよな。俺と一緒に国を作りたいって」
「ああ、言った」
「それって……俺のことを……その……信用してくれてるってことか?」
我ながら馬鹿な質問だ、と思った。
「何だよ急に」
メルキオールは、ゲラゲラ笑いながらも
「当然だろ。お前以外の誰を、他に信じろっていうんだ」
と自信たっぷりに言ってくるのに、アルフィーはとても苦しかった。
「じゃあさ……メルキオール……」
「どうしたんだよ、さっきから変だぞ、お前」
メルキオールは、心から心配しているというのが分かる表情で、アルフィーの顔を覗き込む
「もし……目の前で……俺かステラどちらかが死にそうになってて、1人しか助けられないとしたら……お前、どうする?」
「は?」
いきなり何言ってんだ、と言いたげな目を、メルキオールはしている。
「どうなんだよ、メルキオール」
アルフィーも、自分で何故こんな質問をしているのか混乱し始めていた。
一体、自分はメルキオールから何を引き出したいのか。
あと数日後には、アルフィーがステラに何をしたかメルキオールにはバレてしまうだろう。
そうなれば、きっとこの真っ直ぐな瞳を持つ男は自分を軽蔑するかもしれないと、アルフィーは怯えていた。
だからこそ、アルフィーは確信が欲しかった。
メルキオールは、きっと自分のことをわかってくれる。
事情があったんだと、信じてくれる。
そしてまた、こんな風に話ができると、未来を語り合えると……。
「2人とも助けるさ」
「え?」
「だーかーらー。2人とも俺は助けてやるさ。俺は、自然を司る魔人、だからな」
そう言ってから、メルキオールはウインクをアルフィーに投げた。
その滑稽な表情に、アルフィーがホッとした次の瞬間。
それは急にきた。
メルキオールがすくっと立ち上がった。
険しい表情で、城の方向を見た。
アルフィーは、嫌な予感がした。
その時、強い風がさっとメルキオールとアルフィーの間を通り過ぎ、そして……。
「泣いている……ステラが……行かないと……」
メルキオールはぼそりとつぶやいた。
0
お気に入りに追加
570
あなたにおすすめの小説


転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~
トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。
旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。
この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。
こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる